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潜入で予定の範囲……外?

戦闘描写は減らして、表現もソフトに眈々と進めます。

 縦ロールに描かせた見取り図を思い出し、堀の中を移動する。


 目的地にある屋敷の屋根は広く、雨水をそのまま上から落としたり、外部に管を這わせてすぐ堀に廃水するのではなく、飲料用の水が貴重なことから、大浴場、庭とかトイレなど、飲料水でなくてよい用途の中水として、貯水し余剰分を堀へ流す仕組みになっている。

 この排水路は、下水路とは別に堀の中へ導かれ外からは見えない。


 息をとめ堀からの水路を潜り、大きな貯水タンクのある部屋に出た。人は居ない。しかし両生類はいて、つい握りしめて感触に驚いた。

 この屋敷は子供の頃の縦ロール達兄弟にとって格好の遊び場だったらしい。

 いまは、次兄と達摩にした三兄の屋敷になっている。


 多くの人が集まりそうなところは、正面奥のひときわ高い建物の中に、1階の大広間、2階の中広間、3階の広間とある。その地下には大小2つの地下室があり、各々2カ所から降りるようになっていた。さあ正解はどこだろう。

 縦ロールの説明のほとんどが、家族構成だの昔話だのから始める説明力の低さに、あまり情報が伝わってこなかった。

 以前ネトゲで出会った、人物とイメージが重なりため息が出た。バケツ頭とか言ったっけ。疎遠にしていたのに、間違ってバレンタイン企画でチョコを送ってしまい、焦ったことを思い出した。

 思い出して気力がどっと減った。かったるくてモチベーションが下がるよな。



 マレビトは、ゲーム仕様が適用される異質な存在。

 いつだったか、スニーキングが大好きな蛇の物語とコラボしたときのキャンペーン後、一定の成績を満たした参加者パーティ全員にNPCを捕獲するタイムアタックモードが贈られた。

 パーティーは実行役、ナビ役、ヒーラー役、説得役で、役には最大一人までで、逆に一人が複数を受け持ってもよい。ボットは実行役の補助扱いとなり捕獲作業はメインが一人で行う必要がある。

 作品の時代設定が異なるので、無力化をしたNPCにバルーンを付けて飛ばせばステルスヘリが迎えに来ることはなく、重量無視の捕獲バッグへ入れる形に変わった。

 捕獲枠は、当初少なく、タイムアタックで得たポイントを使い増やしていく。

 企画側の判断なのかウリの段ボール箱を使った作戦がとれないため発見率が上がってしまう代わりに、HP 0は死亡だから論外だが、複数の状態異常を起こすか状態異常でHPを1割位下まで落とすことで無力化したと見なされる。状態異常で無力化しただけでは、捕獲した判定にはしてくれない。どこか身体に触る必要があるのだ。


 敷地全体が、アタックステージに選べることは確認済みだった。さて狩りますか。タイムアタック開始だ。


 貯水部屋の扉に背を当て、近づく足音が扉を通りすぎ遠ざかろうとする音に廊下に出て、下働きの女の背後から手を回して口をふさいだ。抵抗する反応がしばらくつづくと、ふっと手が軽くなり、バッグの中にアイコン表示された。

 単独でいる者を最優先に狙い、エンカウントとヘイトまでも下げてくれる忍者スキルの[隠遁]で近寄り捕獲していく。段ボール箱よか楽である。

 複数が室内に居る場合は、むしろ好都合で催眠と麻痺を起こすガス玉を放り込み一気に無力化し、まとめて捕獲していく。

 地上3階建てのこの建物、一部5階相当の塔が二本聳えている。既に、1、2階では索敵にあがったほとんどを捕獲した。異変に気づかれるのもそう遠くないだろう。

 別な塔からは死角になる側の壁をよじ登って、見張りを捕獲。階段を下り、途中にいた交代要員達を狙う。建物との継ぎ境に屋根へとつづく開口部があり、屋根伝いに残った塔へ向かう。

 遠目に確認できていたが、目的地にも屋根とつながる開口部がある。

 こちら側の塔にいる見張の動きに違和感はおきない。ここまでは順調だ。気になる3階を制圧しないまま、地下の処理にとりかかる。

 狭い部屋への扉を少し開き、階下へ複数のガス玉を投げ込み、閉じると、出られないように閂をかけた。ボットに警戒させていた反対側の出口へ廻れば出てきた形跡もないので、こちらも閂を掛ける。

 広い部屋へもガス玉を増やすぐらいで同様にしてから、先に塞いだ側から狭い部屋に降りていく。


 教室2部屋分ぐらいのそこに奴隷となった者しか居なかったようで、檻の中だけにしかない。鍵をアイテム[盗賊の鍵]を使って開け、拷問跡のある倒れている者達の頸に手を当てていく。比較的ましなほうかな。

 反対側の出口まで行ったが、他には居なかった。

 そのまま出て、広い部屋も先に塞いだ側から入る。煙から逃げるために反対側に詰め寄り、ガス玉が効いていない場合もあるからだ。

 2人のボット達を3階までの通路の警戒に向かわせる。

 残り時間を気にしつつ、階段を下りていくと、体育館2つ分ぐらいの広さがあり、壁からの鎖に継がれたり責め具に掛けられた者達。中央にステージと囲むように椅子がある。すこし離れたところに大きなベッドが用意されていて、ぐったりとした数人が絡み合っている。

 手前から徐々に捕獲していくが、広すぎてガスの充満が不足していたようだ。わしに気づいたまだ身体の動く十数人の者は、戸口に掛けられた槍や剣を持ち罵声を上げながら、掛かってきた。

「女か?」「新しいのが来た」「ヤられに来たのか」「おとなしくさせろ」

 口々に聞くに堪えない言葉を吐き出している。

 よく観察すると、動きに精細さが無くぎこちない。あと一息だな。麻痺効果のガス玉を投げつける。効果が現れるのに少し掛かりそうだ。捕獲でなく屠ることも視野に入れて踏み込んだ。


 さてこちら側だが、残タイムも余裕だが、手こずっているわけでもないので、そろそろ終わらせるとしよう。保護した者達の中に、ターゲットり名前が含まれていない。

 追加のガス玉の効果も現れ始めて殆ど抵抗されない。サクサクと終わらせることが出来た。


 『!?』地上への階段のを半ば頃、ボットの一体がHPを一気に半分以下へと減らした。予想外の敵が居るようだ。

 ボット達にも反映される回復薬を飲み回避と防御を優先させて、こちらに呼ぶ。残り一体には、強敵について探らせる。

「申し訳ありませんマスター。不意を突かれ不覚をとりました」

 呼び寄せたボットとは、2階への階段の手前で出会った。装備は大きな斬り跡が残されている。

「魔力を動力にした不思議な道具を使っていました」

 相手は、魔道具を操る人物と聞いて、わしはワクワクしている自分に気がついた。

 しかしなぜ3階から追撃に来ないのかが不思議だったが、3階に上がると理解できた。


「お前だったか」

 背もたれのない車いすに座った、目が逝っちゃってる達摩がいた。

「探す手間が省けたぞ。」

「そりゃどうも」


 背もたれの代わりに、椅子の四隅から細い支柱が頭上まで伸び、箱の四隅に固定されている。箱の底面には、皿をひっくり返したような窪みがあり、ここで魔力を受けているのだろうかと思われる。

 身体は、腰と胸当たりのベルトで固定され、頭上の箱からは長いマニピュレーターが左右から2本ずつ伸び、項部の一組が、下の車輪を操り移動し、前部が剣と盾を構えている。


「『動く(モビル)スツール』とは……苦しいネタだ」

 魔動部分は頭上の箱とそこから伸びる腕だけだ。期待した落差で、がっくしだよ。

「なにをわけのわからんこと言っている。顔色が悪いようだな。オレの武におじけづいたのだろう」

「落胆しているのは事実だが、認識が違うよ」

 ボットに、『アレにやられたって?』と顔で聞くと、はずかしそうに頭をかいている。

「魔法が使えたんだな、見直したよ」

「ぎひひ、貴族様の嗜みだ」

「爵位持ってねーだろ」

「その減らず口も聞けなくしてやるぞ」

 軽いバーサク状態になっている、達摩男が更に激高して襲いかかってきた。


 もう一体のボットが帰ってきたので、手早く作戦を伝え、捕獲した。


 省略しすぎた? だって相手はあの達摩男だよ。


 面倒だなあ。ぢゃ少しだけな。


 まずね、剣を持つ腕をよけながら、軽量化のためなのか車輪に穴が空いてるので、そこに剣の鞘を挿し込んで、車輪の回転イコール移動の阻害をすると、鞘を抜くため腕が伸びてきたとこを叩き折り、その勢いで支柱4本もベキ、ボキッとね。まだ剣と盾を持った腕は健在だから箱が悪さしないように、アイテムボックスに頂くことにした。この腕は箱の上部に収納できるようだ。


 倒れた状態の達摩男を踏む。ビンタする。殴る。罵る。などを経て……捕獲した。



 さあ、囚われているターゲットがいるであろう3階広間の扉の前に立つ。強敵反応もここからだ。


既存のナニかを連想させる、ワードがありましたら……そうかもしれません。(^_^;)


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