14話 ストリートチルドレン
糞によるダメージを受けた俺はメルティとともに素早く宿を探した後、ひとまず1日分の代金を払って滞在していた。
「あー最悪だ」
「も、申し訳……ありません。私の説明不足……でした」
「あーいや、メルティのせいじゃないさ。俺の不注意……とも言えないか?まぁ事故だ事故」
街中でいきなり人糞降ってくるとか普通思わんだろ。
あ、思い出したらあまりの気持ち悪さに吐き気が……。
街中での投糞はここらでは普通のことらしい。
首都でも昔はあったそうだが罰金を支払わなければならなくなってから首都ではさっぱり無くなったそうだ。
しかし、首都から離れれば離れるほどこの行為は多く見受けられるようになるらしい。
この街はアルトニア連合国の国境になっており、大きな壁の門を一度出れば中立の場となる。
その中立区域は主にモンスター討伐や戦争の場として多く使用されているようだ。
話が脱線したが、国境沿いともなれば特にこの投糞行為は多く見られるらしく、国境沿いの街では外套を纏っていなければ自身のように陥ること間違いなしだそうだ。
しかし、ワコクという何処か近親感を覚える国ではそのあたりを徹底管理しており、例え国境沿いであったとしても投糞行為は見られないらしい。
(早くワコクに行きてぇなぁ……)
俺達の目的は一先ずワコクに向かうこととなっているのだが、悲しいかな、現在隣国のソドム女帝国が挑発行為を現在繰り返しているため首都に続く道以外を封鎖されてしまっている。
まぁその気になろうと思えば神装の力を使えばこの街から出ることは容易いが外でその挑発行為に出会う可能性が無きにしも非ず。
そういうことで暫くと言っても本当に僅かな間ではあるがこの街に滞在することとなってしまった。
その晩は元の世界の文明レベルの高さを改めて実感し、自分が如何に恵まれていたのかを噛み締めながら就寝するのであった。
***
その日の昼の話である。
俺はスラムと呼ばれている場所に足を運んでいた。
元の世界で争いとは遠くかけ離れた地日本で、更にスラムなんてない平和な町に住んでいた俺は、メルティにスラムがあると聞いた瞬間興味を抱かずにはいられずに、こうして足を運んでいる訳だ。
「衛生面が酷すぎるぞ……放置してると感染症が蔓延しそうだ」
この場はとにかく汚い。ゴミは道端に捨て放題で、そのゴミを漁る者もいる。
死んだ魚のような目の者がいればギラギラした目の者もおり、それらを見て思う、これがスラムなのかと。
(この世界に来てからとにかく如何に自分が恵まれていたのかを思い知らされる出来事しか起きないな……)
そう内心で吐露していた時である。衝撃とともに一人の小汚い少年らしき者にぶつかったと理解したが、その少年らしき者はすぐに何処かへと行ってしまう。
(一体何だったんだ?)
そう思いながらローブのポケットに手をツッコミ違和感を覚える。
「あのガキやりやがった」
こうなることを予測していなかったわけではないがこうも堂々とやられるとは思わなかったのはスラムへの認識の甘さからであろう。すぐに少年を追う。
***
少年を捕まえるのにそう時間はかからなかった。
そもそもスペックが違うのだ。自身の身体能力を持ってすればアッサリと捕まえることが出来た。
しかし、やはりスラム育ちだからなのか、スラム街を利用した立ち回りは自身の身体能力を持ってしてもほんの少しの時間を凌ぐことが出来たと考えれば中々のものである。
「で、何か言うことはないのか?」
「……」
そう言うが案の定返事は帰ってこない。もう一度問いかけようとすると少年から反応があった。
「うっうっ……ご、ごめんなさぃ……ぐすっ……」
泣き出したのだ。
こうなられてはお手上げ、どう対応したら良いかわからない。
盗んだことを怒りたいけれども泣かれてしまうと怒るに怒れない。
(あ~もう!どうすりゃ良いんだよ!)
この子にどう対応すれば良いのか分からずに頭を掻いていると、路地裏から数人の子どもたちが出てくる。
「あんちゃんを泣かすな!」
「……ッ!」
「に、にいちゃんをかいほうしろ!」
ストリートチルドレン。
彼らに当てはまる総称を言えばこうだろう。
元の世界でも外国にそのような人間が存在していることは知っていたが、ここにきて見られるとは思いもしなかった。
彼らの容姿の総合的な特徴として、灰色がかった汚れた髪に、使い古されたボロボロの服、靴などはなくその足には布を巻いている者、または素足の者まで。
盗みを働いた少年(先程子どもたちの一人が兄ちゃんと言ったのだから男の子であっているだろう)を含め皆そのような出で立ちであった。
(ダメだ、ドンドン面倒くさいことになってきやがった)
そう思わずにはいられないだろう。元々周りに適当に合わせた生活を送ってきたのだ。この様な面倒くさいことが自身に降りかからないように普通に暮らしてきた。
しかし、この世界に来てからと言うものやたらとハプニングに見舞われる。
面倒事を避けてきてはいたが別に面倒事が嫌だというわけではない。
だが面倒事は一つ一つ処理していきたい主義でこうも立て続けにやってくると、流石にキツい。
「ふぅ……別にこいつにどうこうしようって訳じゃない。こいつはやるからさっさといけ。それと……あんまり無茶ばかりやってっと死ぬぞ」
取り上げていたこの世界の金……1銀貨。
これだけでおよそ2~3週間は生活できると聞いている。
まだ使ったこともないし大まかなことしか聞けていないのでまだまだこの世界の通貨には理解が及んでいない。
しかし、スキル並列思考と思考加速のせいかのんびり考え事ができるようになったからか、どうにも話の脱線が多くなっている気がするが話を戻そう。
その取り上げた銀貨を彼らに渡した後に気遣いと忠告を含めた言葉を投げかけておいてあげた後に帰路につく。
(並列思考に思考加速……どう制御したものか……)
こうして思考の渦に揉まれながらスラム街を後にした。
さて、実は数日前に短編を出させていただきました。
この作品に対する思考が泥沼化していたからですね。
そのおかげかはわかりませんが少しだけスムーズに書けたような気がします!
前話は焦って投稿したのでいつになるかわかりませんが多少手入れすると思いますがご了承願います。




