恋する気持ち
積み重なっていたカードの山が、まるでスイーツ店のパフェのように少しずつ減っていく。
それを眺めているうちに、俺は次第に眠気を感じ始め、あくびを一つ漏らした。
すると。
隣から視線を感じる。
「じー……」
「何だよ。ずっと俺のこと見て」
俺が尋ねると。
「別に。ただ……部長って、なんかすごく退屈そうだなって思って」
「そもそも質問が簡単すぎるんだよ」
俺は答えた。
「言ってしまえば、だいたいお互い知ってることばかりだし」
「まあ、そうだよね」
宋玥綺は小さく笑った。
そして視線を、今まさにカードを手に取った韓江へ向ける。
韓江は穏やかに微笑んだ。
「じゃあ、この質問で最後にしようか」
そう言って、カードをそのまま捨て札の山へ伏せる。
そして問題を読み上げた。
「今までに、二人以上の異性を好きになったことがありますか?」
「えっ!?」
宋玥綺は小さく息を呑んだ。
「そんな質問もあるの!?」
「まあ……あるな」
俺は答えた。
「えっ!?」
今度はさっきより大きな声だった。
「まさか部長……女の子の気持ちを弄ぶ最低男!?」
「だから、ただ『好きになったことがある』ってだけだろ」
俺は呆れながら言う。
「それに、何人もの女の子と同時に付き合ってたわけじゃない」
「何人も!?」
宋玥綺が目を見開く。
「部長って、可愛ければ誰でもいいタイプなの!?」
「本当に一定以上可愛いなら、誰だって好きになるだろ」
「うわ……」
宋玥綺は一瞬、許諾が乗り移ったかのような表情を浮かべた。
「童貞臭全開の陰キャオタク部長……キモい」
言葉の刃が飛んでくる。
しかも。
俺には反論できなかった。
……これは屈辱的すぎる。
【なんで俺の部員って全員こうなんだよ……】
「はいはい、今日はもう帰ろう」
韓江はそう言うと、全身の力を使っているかのように俺と宋玥綺を強引に部室の外へ押し出した。
【この恋愛に関して何も分かってない奴……】
俺は心の中で呟いた。
その隣では、宋玥綺が不満そうに足を踏み鳴らしている。
紫色のセミロングの髪が揺れる。
まるで風に吹かれて乱れる紫苑の花のようだった。
そして下半身。
一般的な女子生徒より少し短めのスカートが、大きく波打っていた。
まるで小さな渦潮のように。
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The other view
「キーンコーンカーンコーン」
国語の授業開始を告げるチャイムは、もう少し前に鳴り終わっていた。
それでも教室内には、まだざわめきが残っている。
私は――陳墨妍。
背筋を正し、教室の一番左側の席に静かに座っていた。
朝、昇ったばかりの太陽が薄い光の膜を教室へ落としている。
「……まだ来ないのかな」
授業開始から、もう五、六分が経過している。
普段、田先生が遅刻することはない。
本人曰く、
「できるだけ早く君の顔を見たいから」
らしい。
……まあ。
自分で言うのもなんだけど、私はそこまで特別綺麗なわけじゃない。
それでも、お世辞でも褒められて嫌な人は少ないだろう。
【そういえば……後輩くんは、私が褒めるとすごく嫌そうな顔するよね】
【もしかして、照れてるのかな?】
【……いや】
【たぶん違う。ただ単純に、私みたいな人間が苦手なだけかも……】
そんなことを考えていると。
知らない女性教師が教室へ入ってきた。
そして少し高めの声で告げる。
「今日は田先生が体調不良でお休みです。皆さん、今日は自由に復習してください」
【え……えええ……】
その日一日。
私の心は、勉強とは全く別の場所にあった。
昼休み。
生徒会の仕事のせいで、後輩くんと一緒に昼食を食べる時間を諦めざるを得なかった。
お弁当も数口食べただけ。
退屈な時間を耐え抜き。
生徒会の仕事を急いで終わらせた私は、一秒も惜しまず玩楽部へ向かった。
階段を降りている途中。
「ビリッ」
制服の左袖が、突き出た鉄片に引っかかり破れる。
「……また新しい制服買わないと」
【だったら今日は郭錫にご飯を奢ってもらわないと……】
【……いや】
【先輩が後輩に奢る方がいいかな】
私は走った。
玩楽部の前へ到着すると、破れた部分を隠し、袖を整える。
スカートの皺も伸ばす。
乱れた呼吸を、必死に落ち着かせた。
「変な人」
通りすがりの知らない人が呟いた。
私は覚悟を決めて、扉を開ける。
そこには。
広い部室。
隅には銀髪の少女。
そして郭錫。
二人はゲームをしていた。
しかし。
予想外だったのは。
その見知らぬ銀髪少女が、私の名前を呼んだことだった。
私は急いで二人の関係を知りたかった。
【黎思妙と別れたばかりなのに……】
【どうして、もう新しい彼女がいるの?】
そう思った。
そして。
現実は、ある意味で予想通りだった。
ただの、普段誰も来ない玩楽部に。
可愛い新入部員が増えただけ。
……そう思った。
でも。
私が声をかけようとした瞬間。
目の前の二人は、ずっと言い合いを続けていた。
私は完全に置いていかれていた。
【ど、どうして……無視するの……】
なぜか。
少しだけ、腹が立った。
幸い。
最後にはちゃんと会話できた。
銀髪少女の名前は許諾。
なぜか彼女は、ずっと私と郭錫の関係をからかっていた。
【……恥ずかしい】
彼女が帰った後。
私は郭錫へ、一緒に帰ろうと誘った。
きっと大丈夫だと思っていた。
けれど。
結果は。
あっさり断られた。
私はその場でしばらく呆然としていた。
気づいた時には。
部室には誰もいなかった。
私は何の表情も浮かべず。
静かに校門へ向かった。
そして。
そこにいた。
一个紫色头发的可爱女孩。
她正把手搭在郭錫的肩膀上。
私はただ。
黙って見ていた。
「……」
小さな音。
私は足元の小石を蹴り飛ばした。




