第1話 暇で暇で
お待たせ致しましたー
少しばかり、暇な時期になってきた。
「う〜〜ん……」
女子大生、眞島怜。三回生にもなって、学生としてすべきことはだいぶ減ってきた。講義であったり、必要な単位であったり。就活もだんだんと近づいてきたが、まだ夏手前なのでほとんど準備する必要はない。
卒業論文なども、まだまだ縁が遠い立ち位置だ。
つまり、講義も何もない日は暇で仕方がない。バイトについても、今日はシフトが空きの日。ホテルでの宴会サービスを業務とするバイトは……夏になると特に減っていく。
夏になると、ビジネスホテルの場合は宴会などのパーティー業務より、会席や会議などに利用されることが多いのだ。
だから、削減されるのは費用よりも人員。ようは、怜のようなバイトからとなる。
週末となれば、まだ結婚式などの業務も多いのでシフトに入ることもあるが……平日は特に暇だ。シフトに入るようになるのは、王達のような準社員になるのは仕方がない。
「暇だ〜〜……」
講義も何もない平日の過ごし方、となれば。部屋の掃除などを終わらせれば、あとは趣味の時間。
と言っても、怜には彼氏である小森裕司の美味しい美味しいご飯を食べる以外、あまり趣味と言えるものがなかった。
彼と出会うまでは、一応電子図書などで暇な時間を潰すとかしたりしていた。ソーシャルゲームなどは、ほとんどログインボーナスとキャラのピックアップガチャを回す以外特にしていない。
それは数年経った今でも変わりがないのだ。
じゃあ、裕司に会いに行けばいいのかと言われるかもしれないが……そうもいかない。
「こもやんの研究を邪魔したくない……!」
大学生の怜と違って、裕司は専門学生。四年制もある、調理専門学校で今年は最高学年だ。就活生でもあるし、卒業に必要な調理実技試験もあるので……週のほとんどを学校か自宅で日夜メニューの特訓をしている。
味見役でたまに呼ばれたりはしているが、今日はお呼ばれではない。
だから、邪魔をしたくないのだ。彼女としては会いたくて、ぎゅっと抱きしめてほしいがそれはしばらく我慢だ。
親公認で交際していても、将来のことを考えると我慢するところはせねば。一緒に生活する日は刻々と近づいていても……まだ半年以上先。
そう思うと、この苦難は別に大したことではないのだ。どこかへ遊びに行こうにも……ひとりは寂しい。
どうしようかと思っていると、スマホからLIMEの通知が来た。
今考えていた裕司からだった。
『怜やん、うちにちょっとおいで?』
と、召喚魔法のような言葉をもらえたので。身支度を整えてから、怜は急いで裕司の部屋へ走っていくのだった。
次回はまた明日〜




