第4話『失敗からの和食ディナー』②
お待たせ致しましたー
「やあやあ! 一個宴会が急にドタキャンなっちゃったから来ちゃったよ!」
講義は普通にあったが、バイトで急にキャンセルが入ってしまったらしい。
しかし、怜のようにごく普通のアルバイトが関与出来る業務内容ではないからと。まかないが無しになり……裕司の部屋に行きたいと連絡があった時に、皐月と智也の家にいると伝えた。だからと、缶チューハイなどをいくつか買ってきたとか。
「あ、怜。いらっしゃい」
智也ももうそろそろ帰宅してくる頃合いだからと、テーブルのセッティングなどはだいたい済ませた。食器については、ふたり暮らしをスタートする時に色々買い込んだようで人数分は用意出来たのだ。
「おお!? 和食、おうちご飯って感じ!!」
メインの塩肉じゃがも、味見はしたのできちんと食べられる。炙ってからまた冷やしたしめ鯖は格別だろう。怜には、甘いのもいいがさっぱり系の缶チューハイを頼んだので、きっと合うはず。
怜のチューハイを冷蔵庫で冷やそうかどうか、と女性ふたりで話し合っている時に、玄関から鍵を開ける音がしてきた。
「ただいま」
智也が少しくたびれた顔で帰ってきた。昼間はまだ余裕があったのに、やはり会社の業務は疲れるのだろう。普段から、肉体労働に近い裕司とはまた違った仕事に興味がないわけではないが……多分、合わない気がした。今のバイトもだが、学校での実習も十分楽しんでいるから。
「智やんせんぱーい! お邪魔してますー!!」
「おー。眞島ちゃん、いらっしゃい」
「お酒少し買ってきたですよー!」
「そいつはありがたい! 裕司君も今日はありがとう」
「んもー。わざわざ小森さんに頼まなくても」
「あのダークマター製造過程はもう見たくない」
「……わかっているわよ」
とりあえず、ダイニングテーブルの上にそれぞれ座ることにして。怜の買ってきた缶チューハイで乾杯することにした。
「「「「かんぱーい」」」」
裕司が選んだのは、生搾りが売りのレモンチューハイ。爽やかな酸味とコクとキレが絶妙。まだ酒の味を知って一年も経っていないのに、ナイスチョイスと褒めてあげた。
「ほんと、飲みやすいー!」
「一気に飲み過ぎないようにね? 変に酔いが回るから」
「はーい」
ではでは、と晩酌もとい夕ご飯に箸を伸ばすことにした。サラダは海藻サラダ。汁物は味噌汁。
味噌の加減と、入れてから再沸騰させようとした皐月の行動には何度も驚かされたが。
無事に作れた料理はどれも美味しく出来た。特に塩肉じゃが。
(……味付けの時もビビったけど。加減教えれば大丈夫そうだな)
塩。
酒。
ニンニクと胡麻油。
砂糖。
あと今回は鶏ガラスープの素。
肉も使っているので、肉じゃがは肉じゃがだが甘辛い味付けに慣れているのが普通だと、これは意外性ではあっても美味しいものは美味しい。
芋の煮え具合も、男爵芋を使ったのであまり煮崩れしていない。味加減も最初と思えば成功だ。
「おいひー!」
「マジ、美味っ!? 裕司君に教わったから……ほんと、ありがと!!」
「ちょっと!? 私も加減覚えたんだよ!?」
「そう言っても、今までのアレをどう払拭すれと?」
「う……はい」
「私もまだまだ始めたばっかだから頑張るー」
「眞島ちゃんには、裕司君がいつでもいるでしょ?」
「えへへー」
怜とふたりで食卓を囲むのもいいが。
大勢で食卓を囲むのも悪くはない。
そして……皆それなりに笑顔だから、裕司は昼間に悩んでいた試験のテーマはやはり変えないと改めて自覚出来た。
それと、あぶりしめ鯖は智也もだが怜もめちゃくちゃ気に入り、最後はじゃんけん大会になってしまった。
次回はまた明日〜




