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最強魔王が異世界で勇者になりました  作者: 湯切りライス
第4章ダンジョン編
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勇者守護精霊との契約を見守る

「そうしたら、そのまま守護精霊を召喚しちゃいましょうか」


 そう言うシュリに案内されたのは聖樹ユグドラシルの幹の前だった。

 守護精霊との契約は一番魔力が濃く、精霊の数が多い精霊ユグドラシルの前で行うのが通例だそうだ。


 リーラが守護精霊と契約するという噂を精霊達から聞いたらしいエルフ達が見物に集まっていた。


「リーラちゃん頑張ってねー!」


 ターラがぶんぶんと手を振りながらリーラに声を掛けた。

 リーラは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして縮こまっていた。


「どんな精霊が来るのかしらね」


 エミリアは楽しそうであった。

 まぁたしかにリーラがどんな精霊と契約するのかは気になる。


「普通だとどんな精霊と契約するものなのですか?」


 同じ精霊使いとして興味があるのか、ララはリーラに尋ねた。


「大体は基本4属性のうちのどれかの精霊ね。たまに複数の精霊と契約する人もいるけれど。大抵は1体のはずね」


「・・リーラなら複数の精霊と契約しちゃうかも」


 エルザの言葉に、俺達は確かにと頷いた。

 リーラは既に基本4属性全ての精霊魔法を使えるし、その上シュリから受け継いだ固有魔法である"木属性魔法"も持っているのだ。

 それにリーラほど周囲に多くの精霊が付いてくるエルフはシュリを除いて他にいない。

 その辺りの理由から複数の精霊と契約してもおかしくはないと思えた。


「そんな、きっと1体との契約が限界よ」


 リーラは自信が無いのか、首をぶんぶん横に振りながら言った。


「リーラなら強力な精霊と契約できるさ」


 俺は自信を持ってそう言った。

 広場で彼女が操られた時の様子は見てる。

 固有魔法の"木属性魔法"も凄かった上に、それと同時に基本4属性の魔法も行使していた。

 それだけの魔法の同時行使を行えるような、才能に溢れる彼女が強力な精霊と契約出来ないわけがない。


 まぁ、彼女は魔法の行使は得意だが肉弾戦はからっきしなので、ぜひ彼女の身を守ってくれる精霊と契約して欲しいものだ。

 そうなれば俺の心配も少しは減る。


「出来たわ」


 ずっと地面に魔法陣を描いていたシュリが声を上げた。

 魔法陣の構成を見てみると、使い魔召喚の魔法陣とよく似ていた。

 やはり基本的な事は使い魔召喚と同様なのだろう。


「さ、リーラ。この魔法陣の中心に立って」


 リーラがシュリに言われた通り、魔法陣の中心に立った。


「イメージするのよ。貴女が精霊に求めるものはなに?」


「イメージ・・」


 リーラはゆっくりと目を閉じた。


(私が精霊に求めるもの。私はサタンの力になりたい。サタンと共に並び立てる力を私に)


 リーラの想いに呼応するように、魔法陣が光り輝き始めた。

 そして、周囲に漂う精霊の中でひときわ大きく輝く4体の精霊がリーラに近寄っていった。

 4体の精霊はそれぞれ赤、青、茶、緑の光を放っていた。

 恐らく基本4属性の精霊であろう。


「あなたたちがあたしと契約してくれるの?」


 リーラの問い掛けに4体の精霊達はふわふわと上下に動いた。

 その姿はまるで頷いているかのようであった。


「ありがとう。あなた達の名前は、サラ、ディーネ、ノーム、シルフよ」


 リーラが精霊達に名を与えた瞬間、精霊達の姿が輝き、次にはそれぞれの色の小人になった。

 名を得て力を増したのだろう。

 どの精霊も体長30センチほどであろうか。

 頭が大きく、身体は頭と同じくらいの大きさしかなかった。

 どの精霊も大きな目が可愛らしい。


「ふふ、これからよろしくね」


 リーラは4体の精霊と楽しそうに触れ合っていた。

 流石リーラだ。

 まさか4体もの精霊と契約するとは。


 そう思って見ていると、聖樹ユグドラシルから大きな緑色の光を放つ精霊が現れ、リーラにふわふわと近寄っていった。


 その精霊はパッと強く発光すると、次には人型となった。

 体長はリーラと同じくらいだ。

 腕や足は木のツルになっている。


『私は聖樹の精霊ドリアード。名はニンフ。私も貴女と契約しましょう』


 なんと。

 聖樹の精霊までもが契約するとは。


 リーラもこれには驚いたようで、固まっていた。

 見物していたエルフ達にもどよめきが走っている。

 基本4属性の精霊全てと契約した上に、更に聖樹の精霊とまで契約するというのだから当然だ。


 森を愛し、信仰する彼女たちエルフにとって森の精霊ドリアードは神に等しい存在だ。

 その上、聖樹の精霊と言えばドリアードの中でも最上位の精霊である。


「そんな、あたしなんかと契約してくれるんですか?」


『貴女の願いは聞きました。その願いのためには大きな力が必要でしょう』


 聖樹の精霊ニンフはそう言うと、次に俺を見た。


『それに、彼は私を救ってくれました。彼の力になれるというのなら、私も本望です』


 俺が聖樹ユグドラシルに魔力を送り込んだ事を言っているのだろう。

 ニンフは俺に向けてにこりと微笑んだ。


「わかったわ。ニンフ。私と契約しましょう。私に力を貸して」


『ええ。共に戦いましょう』


 ニンフと4属性の精霊達は再び魔力の光となってリーラの身体の中に消えていった。


 エルフ達から、歓声が沸き起こった。

 この日の出来事は、この里のエルフ達の間でずっと語り継がれる事だろう。


「どーよ!サタン!私やったわ!」


 とりあえず俺は満面の笑みでVサインを送ってくるリーラを褒めることにした。

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