三角コーナー公園
楽屋に用意されていた唐揚げ弁当をもらって、劇場から徒歩3分ぐらいのところにある三角コーナー公園に行く。
三角コーナー公園と言う名は三國がつけた。
三角コーナーは生ゴミが入れられる場所で、生きてるゴミみたいな僕らだけが行けるとこだかららしい。
そんなところでご飯を食べようとするのが本当に生きてるゴミのようだ。
三國は唐揚げ一口にご飯7口を食べるほどの豪快さ。
僕は端っこについている切り干し大根をちまちまと食べている。たわいもない会話が続く。
「お前最近華奈ちゃんとどうやねん」
華奈は僕と2年付き合っている彼女である。
「どうって別にぼちぼちやけど」
「ぼちぼちってなんやそれしょうもな」
「お前こそどうやねん。親父さんの具合。」
「もうあの人はあかんと思う。お金で解決できんのやと。」
「どう言うこと?」
「手術代があったとしてもな、親父は頑なに手術受けようとせぇへんらしいわ」
「俺らみたいやな。どれだけお金出されても中々治る気ないと言うか」
「俺らとはちょっとちゃうやろ。俺らはお金を出されたら死ぬ気で人を笑わせようとするけど、あの人にはそう言うのがないねん。まぁ頑固なんはちょっと似てるかもな。そんなんええから華奈ちゃんとどうなんって」
「同棲始めてから俺が帰ってくるまで起きててくれんねん」
「嫁やん」
「ただ俺の稼ぎがないから中々デートに連れて行ったり、プレゼント渡したりできてないねん」
「アホやん」
「それでも笑って許してくれてる」
「ええ嫁やん」
「嫁ちゃうねん!でもほんまにええ子で、どれだけ滑っても家帰ったら笑ってくれる子がおるの安心やわ」
「なんか、惚気られたからはよ帰りたなってきたわ」
「帰ろか」
「おん」
この3日間同じ会話である。弁当のおかずは毎日変わるので、ループしているわけではないと分かるのがやっとである。
家に帰ったのは23時半ごろだった。
華奈はやはり起きていてくれた。
「綾ちゃんおかえり!たまご焼きつくってみたんだけど、スクランブルエッグみたいになっちゃって、なんか量が多くなった気がして余ったから食べてくれない?」
「それどう言う状況やねん。食べとくから先寝といていいよ。」
「うん。お疲れ様。おやすみ。」
ある程度支度を終えて、テーブルの上にあった黄色い物体を見ると、2人前ぐらいの量がまだ残っていた。急いで冷蔵庫を見ると5個残っていた卵が1個になっていた。
慌てて華奈を起こして聞いた。
「この卵4個使ったん?」
「うん。綾ちゃん卵好きだから、大きい方がいいかなって思って。」
「卵の値段今なんぼか知ってる?めっちゃ高なってるから節約しようなって言ったやん」
「ごめんなさい」
稼ぎのない一匹の小さな男が大口を叩いている。
華奈はスーパーでパートをしているので卵の値段の高騰ぐらいは知っていると思っていた。
稼ぎのない一匹の小さな男が傲慢な考えを抱いている。
そこから華奈はシフトを増やし、お金に関する知識を増やそうと必死だった。そう言う必死さが好きなのである。華奈があまりにも必死なので、僕も背筋を伸ばして気合いを入れ直した。




