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小話よん。 美希ちゃん目線

電子書籍化いたしました!

めでたいので更新です!

 この日、翔馬君のたっての希望で兄に翔馬君を紹介することになった。

 兄夫婦の家は兄が35年ローンで買った比較的一等地の新しい家だ。


「美希ちゃん、僕変なところない?」

「変なところとか言ってるのが変だよ」

「緊張してきたんだけど………ヤバイ!」


 私は翔馬君の背中をさすってあげた。

 するとその時玄関のドアが開き兄の息子の亮太が顔を出した。


「美希ちゃん?美希ちゃんだ~いらっしゃい~!………あ、アッセンレッド?」


 亮太の言葉に翔馬君はキリッと顔を作ると持っていたお土産の菓子おりを私に預けてポーズを作って叫んだ。


「゛家族の生活守るため働くお父さんの助けたいアッセンレッド!゛……゛全ての働く意欲のある人の味方ハローワーク戦隊アッセンジャー!゛」


 亮太の瞳がキラキラと輝いた。

 

「ギヤ~~~~!!」


 亮太の雄叫びが響いた。


「か、格好良い!!アッセンレッド僕と結婚してください!」


 亮太、間違ってるぞ。


「ごめんね。僕は美希ちゃんと結婚するから君とは結婚出来ないんだ」

「男どうしだしね」

「美希ちゃん冷静だね」

「翔馬君は私のものよ!って5歳児の男の子とバトれと?」

「美希ちゃんのものって言われるの嬉しい」


 私が赤面してしまったのは仕方がないと思う。


「亮太どうした!」

「亮ちゃん!」


 そんな中、慌てたように兄夫婦が家から出てきた。

 亮太が変な雄叫びを上げるからだ。


「よ!美希!………」

「倉田翔馬………ギヤ~~~ファンです!サイン!握手してください!」


 兄嫁が今にも泣きそうな妙なテンションで翔馬君の手を握っていた。


「き、今日はどうして……」


 兄嫁の言葉に翔馬君はまたキリッと顔を作ると言った。


「今日は美希さんとの結婚を了承していただきたく、うかがわせていただきました」


 兄夫婦がフリーズの後キョロキョロと周りを確認し始めた。


「何?」

「いや、何処にカメラがあるんだ?」

「ドッキリじゃないから」

「ドッキリじゃないわけないだろ!」


 翔馬君は更にキリッと顔を作った。


「ドッキリじゃありません。美希さんを僕のお嫁さんに下さい」


 兄は驚いた顔でフリーズした。


「美希ちゃんは何処で倉田翔馬と知り合ったの?」


 兄嫁の由佳理さんが不思議そうに聞いてきた。


「友達の若葉の旦那さんの知り合い」

「若葉ってあの美人でスタイル抜群で一日で良いからお付き合いしてほしいって拝み倒したいぐらいの女神の若葉?あの子結婚しちゃったのか~勿体ね~」

「心ちゃん、嫁がヤバイよ」

「ヒッ!」

「お前今何言った?」

「由佳理を世界一愛してます」


 翔馬君の笑顔が凍りついたのが見えた。


「由佳理さん、元ヤンなので気にしないで」

「翔馬様に言っちゃ嫌~!」

「浮気」

「あ゛ん?」

「すみません」


 兄よ、嫁に逆らうなかれ!

 

「兎に角お家に入って」


 何もなかったように兄嫁がそう言ってくれたので、私達は兄の家に上がったのだった。

 





 ただ今、絶賛宴会中。

 兄がかなりの量のお酒を翔馬君に飲ませている。

 大丈夫だろうか?


「美希ちゃん、悪いんだけど亮太とお風呂入っちゃってくれない?」

「良いよ」


 兄嫁は今、おつまみを作るのに手が離せないから仕方がない。

 

「今日は美希ちゃんとお風呂?やった~!」


 亮太め、可愛いやつめ!


「亮太!じゃ、お風呂場行こっか?」

「うん!」


 亮太と手を繋いでお風呂場に行こうとしたその時だった。

 目の前に翔馬君が立ちはだかった。


「美希ちゃん、駄目だよ」

「へ?」

「亮太君、アッセンレッドとお話をしよう」

「うん!」


 亮太が私から離れて翔馬君の前に行くと、翔馬君はしゃがんで言った。


「美希ちゃんは僕の宝物だから、一緒にお風呂に入ったり抱き付いたりキスしたら駄目だよ」

「え?」

「亮太君がもし、美希ちゃんと一緒にお風呂入ったり抱き付いたりキスしたら僕はアッセンレッドじゃなくなって亮太君の敵になっちゃうんだ。それで良い?」

「嫌~!」


 亮太の瞳に涙がいっぱいです。

 翔馬君大人げないですよ。


「翔馬君、亮太は子供なんだよ」

「美希ちゃん、僕嫉妬深いみたい………いくら子供でも許せないの。だから、僕以外の人とお風呂入ったり抱き付いたりキスしたら駄目だよ!そういう事しないって約束!」


 翌々見れば翔馬君の顔はほんのり赤らんでいて酔っぱらっているのが解る。

 翔馬君はニコッと笑って私に小指を絡めるように小指を私の方に突きつけた。


「翔馬君、その約束は出来ないよ」

「何で!」

「だって、私達に子供が出来たら一緒にお風呂入ったり抱き付いたりキスするもん。違う?」


 私の言葉に翔馬君は耳まで真っ赤に染まった。


「美希ちゃん……」


 なんだか艶っぽく名前を呼ばれた。


「美希ちゃんは子供欲しいの?」

「欲しいよ?駄目?」

「………」


 何故か翔馬君が私に近付いてきた。

 翔馬君がなんだか色っぽく見えるのはお酒を飲んだからなのか?

 なんだか雰囲気が妙に艶めかしい………

 私は威圧感に後ずさった。

 まあ、逃げようにも壁極に追い詰められてしまったんだけどね。

 

「美希ちゃんとの子供欲しい」

 

 翔馬君はそう言うと私にキスをした。


「う!うぎゃゃゃゃゃゃ!」

「美希ちゃん?」


 何故キスした!


「な、なん、何で!」

「だって、子供欲しい」


 駄目だ!酔っぱらいだ!


「妹のラブシーンを見させられる苦行」

「え~翔馬様が相手だとドラマ見てるみたいで見てられるよ」

「見ないで~!」


 兄夫婦に見られた~!

 な、泣いて良いだろうか?


「美希ちゃん、子供作ろ」

「酔っぱらい!周りを見て!」

「美希ちゃん、僕言ったよ」

「え?」

「僕の理性ペラッペラだって」


 私は泣きたくなった。

 翔馬君を酔わせるの危険!


「美希、タクシー呼んだぞ」

「心ちゃん!」

「俺の家でお前らが子作りするのとか考えたくないから帰れ。お前らの家で子作りしろ」

「子作りって言うな!ハゲろボケ!」


 私は酔っぱらいの翔馬君に抱き締められながらそう叫んだ。

 




 私達の子供が若葉の子供達よりも先に産まれるなんて、あの時の私は知るよしもなかったんだ。

どうでしょう?

楽しんでいただけたなら嬉しいです!

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