期待と現実の大いなる差
うきうきと身辺整理や異界間での設定調整などを行いやってきた異世界で、私は呆然とした。
お出迎えされたのはいい。
異世界転移の先にいたのは能面じみた顔の青年になった勧誘者。それから、お好みの人見つけましたと言われ期待してたのに!
「なんで! 猫耳なの!」
イケメンに猫耳ついてた。尻尾もあった。三人もいた。ショタ、王子、おじさまと揃っていた。
好き!
でも今はこれじゃないっ!
「え。熊のほうが良かったですか?」
「そっちも好き!
って、ちがうっ! 異世界でしょ! 豹頭の王みたいな素敵な方、出してこないのっ!」
その叫びで、枯渇しかかっていたエネルギーがフル充電された、らしい。
大変余談ではあるが、豹頭の王は我が二次元の初恋である。大いに性癖を狂わせた偉大なる推しである。ついでに人生も大狂わせたといっても過言ではない気がしてきた。
「だめでした?」
「ニーズにあってない」
異形頭はいいよ、映画館のやつとか、ロウソクとか、つるんとしたやつとか、野獣とか……。
なのに、耳としっぽだけ。いや、これもこれで好きなんだけど。
情緒がぐちゃぐちゃである。涙が出てきた。
困惑する青年たち。
泣き崩れる私。
とりあえずお部屋にと連れていかれた。
小一時間後、ようやく気を取り直して、この世界に勧誘した青年を呼び出す。
「想定と違うんですけど」
「そちらの世界的にそういうのがいいのでは? 頑張って探したんですよ」
「それはそれでおいしくいただきます。甲斐甲斐しく世話されたい。ご褒美です。
じゃなくって、異世界なら異世界らしいほんとのモノホンの人外生物を」
「……えー」
すごく嫌そうな顔をされた。
「そういう人たち、保護種で外に出すのはちょっと……。生贄はかわいそう」
「生贄」
「すはすはしたり」
「うっ」
「撫でまわしたり」
「い、いや」
「鱗拾ったりするんでしょ? 抜け殻とかも残したりするんでしょ」
「すみません……」
「人相手にそれしないのに、人外だからとそういうことするのエッチだと思います」
「ごめんなさい」
ため息をつかれてしまった。あくなき異世界への願望がやば過ぎたらしい。
なぜバレたとおもったら、欲望のエネルギーからわかったそうな……。やばい性癖が大公開。もっともルール以外わからない仕様でちょっと安心。
ただ、ドン引きされている。現在進行系。評価下方修正待ったなし。
それでもルールは私の要望の人を探してくれるらしい。何かの端末で検索をかけている。
「ケモ度40%くらいで不憫な人がいるんでそのあたりで手を打ってください」
「それどのくらい」
「二足歩行、人間ボディ、顔は獣より。ちょいと毛深いくらいですね」
「ああ、なんかどこかの狼男みたいな……。マッチョ?」
「レスラー系」
「よし! 拾おう」
かくして、人外ハーレム計画が始動したのである。




