【揺花草子。】<その2247:心構え。>
【揺花草子。】<その2247:心構え。>
Bさん「スパイと言えばハニートラップじゃないですか。」
Aさん「えっ・・・あれなに昨日の続きなの?」
Cさん「阿部さんが某国に潜入するための訓練を始めたと聞いたから、
その任務に有益な情報を聞かせてあげようかと思ってね。」
Aさん「某国に潜入したりしませんけど!!?
ちょっとホントそう言うキナ臭い話やめてくれません!!?」
Bさん「ともかく、スパイものではお約束のハニートラップ。」
Aさん「スパイものって言っちゃったよ。完全にフィクションの話する気だよ。」
Cさん「阿部さんなんかあっさりトラップに引っかかりそうよね。
潜入した初日にハニートラップに捕まって速攻で身ぐるみ剥がされそうよね。」
Aさん「いやそんなことはないですけど!!?」
Bさん「そんなことあるって。
阿部さん実は
『俺って意外とイケてるし
ミステリアスな旅人と一夜のラブ・アフェアを望む女の1人や2人も
そりゃ寄って来るだろうさ』
ぐらいに思ってるもんね。」
Aさん「思ってないよ!!? なにその意味不明な思い込み!!?」
Bさん「とにかく阿部さんはスパイとしては致命的にそう言うところスキだらけだから
任務に就く折には充分に気を付けなきゃいけないよって話ですよ。」
Aさん「いやそもそもそんな任務に就くこともないし、そんな心配は無用かと・・・。」
Cさん「今はそうかも知れないけれども、
阿部さんみたいに一寸先は闇の人生を歩いてる人は
いつどんなきっかけでスパイの道に足を踏み入れるか判らないじゃない。
気づいたら片棒担がされてたみたいなことだってあり得なくはないわ。」
Aさん「一寸先が闇の人生でもないですし
片棒担がされることもないかとは思いますがね!!?」
Bさん「でも、もし万が一阿部さんがそう言う仕事をすることになったとして、
任務についたその時に妙に蠱惑的な女性が近付いて来たとしたら、
阿部さんはぼくらの今日の話をきっと思い出して欲しい。
そして、心の中でこの言葉を反芻して欲しい。」
Aさん「えぇー・・・? どんな言葉・・・?」
Bさん「『俺がこんなにモテるはずがない』」
Aさん「酷いねきみ!!???」
落とし穴はそこら中に開いている。




