【揺花草子。】<その2246:夜明け。>
【揺花草子。】<その2246:夜明け。>
Bさん「そんなわけで春も近づく八十八夜。」
Aさん「八十八夜ではないよ? 適当なこと言わないでくれる?」
Cさん「この八十八夜と言うのは去年のクリスマスイブを基準とした数え方よ。」
Aさん「なぜクリスマスイブを基準とするんですかね。」
Bさん「今年も我々はなんとか冬将軍の南征を退けることができたわけだけど。」
Aさん「いやさも自分の手柄のような言い方をしてるけれども。
その手柄は決してきみのものじゃないからね。」
Cさん「私たちが当局に働きかければそんなことは造作もないのよ。」
Aさん「どこの機関に所属してるんですか!!
気候をコントロールできるとかってどんだけ強大な組織なんですか!!」
Bさん「冬の訪れを冬将軍と呼ぶのは長らく言い慣わされているけれども、
そうなると毎年毎年冬の陣が繰り広げられていると言うことになるね。
英仏百年戦争なんて目じゃないレベルでこの国は何千何万年もの間
大自然を相手に戦争を続けて来ていると言うことになるね。」
Aさん「そう言うキナ臭い言い方はしないで欲しいな?」
Bさん「もうこの負の連鎖は終わりにするべきではないか。」
Aさん「えっ・・・な・なに?」
Cさん「冬将軍の侵攻を止めることを試みてもいいはずだと言うことよ。」
Aさん「いや・・・なにそれどう言うことです・・・?」
Bさん「将軍が支配する国家と言うことは、言うなれば軍事政権と言うことになるよね。」
Aさん「いや・・・そうなるの・・・?」
Cさん「日本だって武家の棟梁たる将軍家が政権のトップであった幕藩体制は
世界史的な見地で言えば典型的な軍事政権よ。」
Aさん「まあ・・・そうなりますかね・・・。」
Bさん「日本の場合は西洋諸国との接触を機に討幕の機運が高まり
明治維新と言う形で軍事政権である江戸幕府を倒し明治政府が誕生した。
それよりも時代は少し遡るけれども、
ヨーロッパ諸国でも政権をひっくり返す多くの市民革命が起こったよね。」
Aさん「あぁ・・・イギリスとかフランスとかでもね・・・。」
Bさん「民衆の蜂起を促し、革命を起こす。
国体の転換を達成することにより国家を、奪われた自由を民衆の手に取り戻せしめ、
それをもって無益で無為な戦争を止めようと思うんだ。」
Aさん「えー・・・。」
Bさん「そう言うわけで阿部さんには
工作員として潜入してもらおうと思うよ。」
Aさん「なんでそんな危険な任務を
負わされるの!!???」
スパイの訓練を受ける。




