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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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運動とかだるいわ~

今年ももうすぐ運動会だな。五年生と六年生は組体操だから、今年も組体操か。


「運動とかだるいわ~」


と美智果は不満たらたらだった。この子も僕と同じで運動は好きじゃないからなあ。でもまあ、何だかんだ言っても本番では頑張ってるんだよな。毎年。


「今年もちゃんと見に行くよ。美智果。しかも小学校最後の運動会だもんな」


「うん、そうだね。私も小学校卒業か~」


「なんか不思議だな」


「だよね~。私も不思議な感じする。中学生なんて遠い未来みたいに思ってた」


「言ってる間に大人だぞ~。二十歳までもう半分以上過ぎたぞ~」


「そっか~、そうなんだよね~」


「けどまあ、とにかくまずは運動会だな。中学になると一気に生徒数が増えて、見付けるのも大変になるらしいし、よっぽどじゃないと個人なんて目立てなくて、見ててもあまり面白くないって聞くから、余計しっかり見とかないとなって思うよ」


「私なんて、それこそ、ザ・モブだもんね~」


「何しろモブ・オブ・モブなお父さんの娘だからな~」


「モブでも私のパパだから。ちゃんと好きだよ」


「ありがとう。お父さんも美智果のこと大好きだよ」


運動会とかについても妻は結局、保育園のそれまでしか見ることができなかった。しかも、保育園最後の運動会も見ることができなかった。ホントに誰がそんなことを決めるんだろうなって思ってしまう。


それを気にしたって意味がないのは分かってるけどさ。やっぱり納得できないよ。


でも、だからこそ僕は美智果の運動会を見届けたいと思う。妻が見られなかったものを僕がしっかり見届けたい。


膝に座らせた美智果を後ろから見てると、日に日に妻に似ていく気がする。髪質とかも良く似ててクセっ毛だし、髪の毛を伸ばすのが嫌いで似たような髪型してるし。


だけど、美智果は妻の代わりじゃない。美智果は美智果だ。この子にはこの子の人生を生きてほしい。


他人から見たらただのモブにしか見えなくても、僕達には僕達の人生がある。他人のそれとは違う。たとえ親子であってもそれぞれ違う。僕や妻の人生とは別の人生をこの子は生きていくんだ。まあ、変わり映えはしないものかも知れないけどさ。それでもこの子の人生なんだ。


僕にもたれながらアニメを見てる美智果の頭をそっと撫でる。こんな風にしてられるのももうそんなに長くない気がする。中学に上がったらこうして膝に座ったりもしてくれないかもしれない。でも、それでいい。そういうこともこの子の成長の一つだろうからね。



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