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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
94/201

とことんまで貫けるんならね

でも同時に僕は、誰かに媚びを売って猫を被って仮面を被って相手にとって都合のいい自分を演じ続ける生き方そのものを否定するつもりもないんだ。


それをとことんまで貫けるんならね。


僕も美智果と同じでアイドルには興味が無い。ただ、たった一人だけ、『すごいなあ』って思えるアイドルがいる。その人は、僕がまだほんの子供の頃からアイドルをやってて、今でもそれを貫いてるらしかった。


僕はその人が、泣き言を並べたり不平不満を並べたり誰かのことを悪く言ったりっていう話を聞いたことがない。事務所とかがそういうのを揉み消してるのかもしれないけど、でも他のアイドルや芸能人の人からはなんだかんだでそういうのも漏れ聞こえてくるのに、その人からのは聞いた覚えがないんだ。


その人は、アイドルとしての自分を完璧に演じ切って貫いてるんだろうなって気がする。そこまでできるならもう何も言えない。だけど誰かに媚びを売る生き方っていうのは、ちょっと相手のツボを外しただけで手を平を返されるリスクっていうのも承知の上じゃないと辛いだけにしか僕には見えない。だから僕にはそういう生き方はできない。


だったら、多数の評価を集めず、自分と噛み合う身近なほんの数人とだけ楽しくできればそれでいい。それ以外の人とは、社交辞令で対応して無駄に諍いを起こさないようにだけしてれば十分だよ。その上で、自分のやりたいことをする。


自分に媚びを売るような生き方を僕に期待してもらっても無駄なんだ。僕が認めてほしいと思ってる相手はこの家の外にはいない。僕はただ、美智果に認めてもらえればそれでいいんだ。それ以外のことは全て<ついで>に過ぎない。ただのオマケなんだ。


凡人の負け惜しみだと言うなら言ってもらってもいい。でも僕は自分が凡人だということを恥じようとは思わない。こんな大切な宝物を見付けられたんだから凡人で十分だ。どんなに世間から評価を集めたって、どんなにお金を持ってたって、今の美智果との生活がなければ僕にとっては何の価値もないから。


それを手に入れられた以上は、無理をしてまで手に入れたいものなんて他にはないよ。


今日も僕の膝で僕と一緒にアニメを見てる美智果の頭を、そっと撫でる。「ん~っ」ってくすぐったそうにしてるこの子の姿を見てるだけで満たされる。僕には、この小さな世界を守る程度の力しかない。だったら、無駄に世界を広げようとせずに、自分の身の丈に合った小さな世界を守りたい。


それでも十分に幸せに生きられると思うんだよね。



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