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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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パッと見の印象だけで判断して善悪を決めてしまうのは危険だ

『僕は猫より美智果が大事だ。美智果を守る為なら、猫を見殺しにだってする』


それは、僕の嘘偽りない正直な気持ちだ。猫と美智果のどちらを選ぶかって言ったら、僕は躊躇なく美智果を選ぶ。


だけどそれは同時に、もし、猫の飼い主が猫と美智果のどちらを守るかってなった時には猫を助けて美智果を見殺しにしたとしても仕方ないという覚悟の上での話なんだ。以前にも似たような話をしたと思うけど、それと同じだよ。


そして、それとはまた別の考え方もある。うなだれる美智果に対して僕は言った。


「もし、猫を助けて、その上でこの子達を懲らしめる為にボッコボコにしたとする。でもその後で、イジメられてた猫は、この子達の誰かが飼ってたハムスターを弄って殺した猫だったって分かったらどうする…?」


その僕の言葉に、うなだれてた美智果がハッとなってまた僕を見た。


「猫をイジメてるように見えたのは、実はハムスターを殺されたことの復讐だった……。そういうことだって有り得るんだよ。


ハムスターの仇をとる為に猫を懲らしめて良かった良かったって言ってるあの子達と、


猫を助ける為に彼らをボッコボコにして良かった良かったって言ってる人の何が違う?。


パッと見た状況だけで事情のすべてを把握することはできないんだ」


「……」


言葉もなく僕を見詰めてる美智果にさらに言う。


「猫をイジメてるように見えたから、通りがかった正義感の強い人があの子達をボッコボコにしてた。


だけど、さらにそこに通りがかった別の人からは、何者かが一方的に中学生の子達をイジメてるように見える。後から通りがかった人にはこの子達が猫をイジメてたことは分からない。


さあ、後から通りがかった人はどうするべき?」


「…分かんない…」


「そう、分からない。美智果がそう判断するなら、僕はそれでいいと思う。まあ僕ならその場で警察に通報するけどね。猫がイジメられてるように見えた時点でもそうする。昔は猫がイジメられてるくらいだと警察は動いてくれなかったかもしれないけど、今は動物虐待も警察が動く案件だから。


スーパーヒーローじゃない僕達にできることなんて、結局はその程度だと思うよ」


「そっか…。そうだよね……」


完全には納得できてない感じだったけど、美智果はそう言って頷いてくれた。美智果と猫のどっちを守るかっていうこともそうだけど、パッと見の印象だけで判断して善悪を決めてしまうのは危険だっていうことも、この子には分かってほしいと思う。


昔、毒ガスが撒かれた事件で、本当は被害者だった人が犯人みたいに報道されて、その報道を見た人もその被害者の人を犯人だと決めつけたっていうことがあった。そういうことの反省も、僕は活かしたいんだ。



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