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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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クソガキのお守りとかやってらんねぇ…

僕は、美智果の前で他人の悪口は言わないように心掛けてる。


『悪口は良くない』と子供には言いながら自分は悪口を言ってる大人は多い。でもそれを見た子供はどう思うかな?


『大人は、悪口は言うなって言ってるくせに自分は悪口言ってんじゃん』


って思われないかな? いや、そう思う子供は多い気がする。何しろ僕もそういう子供だった。小学校の担任が『悪口はやめましょう』と言ってたのに、校舎の裏で煙草を吸いながら、


『あ~、だりぃ……クソガキのお守りとかやってらんねぇ……教師とかやるんじゃなかった』


とか言ってたのをたまたま耳にして、『あ、こいつ尊敬できねー』と思って、心の中ではもう二度と『先生』とは呼ばなかった。


『表の顔と裏の顔を使い分けるんなら、もっと完璧に使い分けてみせろよ。それができねーんなら綺麗事言うな…!』


って思ってた。だから卒業式の時の<蛍の光>だって、『わが師の恩とかありえねー』って思ってただけだった。


もちろん、建前と本音っていうのがあるのは分かってる。どんな時も本音しか口にしないなんて無理だっていうのも分かってる。でも内心では子供を馬鹿にしてるのに子供から尊敬されようなんてムシが良すぎないかなって思うんだ。


僕は立派な人間じゃないから美智果に尊敬されようとは思ってない。ただ、立派な人間じゃなくてもこうやって笑って生きてられるんだっていうのを見せたいだけなんだ。だから醜い顔で他人の悪口を言ってる自分の姿を美智果には見せたくない。


『悪口は言うな』って言ったその口で誰かの悪口を言いたくないんだ。少なくとも、美智果の前では。


その為には、他人に対してもなるべくイライラしたくない。イライラしてたらついつい言ってしまいそうだし。馬鹿にもしたくない。


お隣の奥さんがお子さんを締め出してしまったことについても、実は僕も同じことを美智果にしてしまったことがある。急用ができて出掛けたんだけど、美智果が帰ってくるまでに家に戻れなくて、あの子がドアの前でノートにお絵かきしながら僕の帰りを待ってたことがあった。


「あ、お帰り、パパ」


僕の顔を見て嬉しそうにそう言ってくれた美智果に、僕は何度も頭を下げて「ごめん!」って謝ってた。


美智果が泣き喚いたりしなかったのは、待ってれば僕が帰ってきてくれるっていうのを信じてくれてたからだと思う。それだけ美智果に信じてもらえるように、この子の前では嘘を吐かないようにしてきたのが実を結んだんだと思う。それは逆を言えば、守れない約束とかをして結果的に嘘を吐いたことになったりしないようにっていうのを心掛けてきたっていうのもあるんだ。



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