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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
192/201

別に男らしくなくても

僕は、『男らしく』とか『女らしく』とかいう言葉が好きじゃなかった。だってそれを言うってことは、『男らしくない男は価値が無い』、『女らしくない女は価値が無い』ってことだろ? でもそれって、誰が作った価値観だよ?


別に男らしくなくても生きてはいけるし仕事もできる。僕は自分を男らしいなんて欠片も思わないけど、こうやって結婚もして子供もいてちゃんと仕事もして、勤労・納税・子供に教育を受けさせるっていう国民としての義務も果たしてる。


『男らしさ』や『女らしさ』なんて、生きていく上では必須じゃないんだよ。ということはそんなの結局、一部の誰かの<好み>ってことでしかないってことだよね。じゃあ僕はそんなどこの誰とも分からない人の好みになんて合わせたいとは思わない。そんな好みを持ってる人が、僕に何をしてくれるって言うんだ?。言うだけ言って何もしないだろ?


美智果に対してだってそんなこと言ってもらいたくないし、あの子がそんなのを気にしてストレス抱えるとか考えたくもない。『女は女らしくしろ!』とか言う奴にあの子を任せたくなんかない。


そういうことなんだ。


あの子に女の子らしい格好をさせないのも、家でパンツ一丁でいても煩く言わないのも、そんなことで人間の価値を測る奴を寄せ付けさせない為でもあるんだよね。そんな人間に敬遠してもらえるなら、それこそありがたいよ。


僕もそれを実践してきた。無駄に見た目を取り繕わず、いい恰好をせず、でもまあ不潔だったりあまり他人を不快にさせるような奇怪だったり異様だったっていう感じにもしなかった。いわゆるオラオラ系とかDQNとか言われるタイプって、特に『男らしい』とか『男のメンツ』ってのに拘ってそうだからそういう見た目も避けてきた。


地味で質素で気を遣う必要がなくてもし何か咄嗟のことで汚れたりしても気にしなくて済んで、でも不潔じゃない。っていう感じかな。だからあんまりオタクっぽい見た目でもなかったかもしれない。


とにかくどこにでもいそうな、自己主張が強くない<モブ>だっただろうな。でも、見た目はそれでも僕にはそれなりに拘りもあった。


『好きになった人は大切にしたい』


っていう拘りかな。傷付けたくないし苦しめたくない。DVもストーカーも有り得ない。そんなの相手を大切にしてるとは思わない。単に自分の感情しか考えてないだけだ。


もちろん、器用な人間でも高い能力を持ってる訳でもないから苦労は掛けてしまうと思う。でもその分、相手の苦手なことに対してもしつこくあれこれ言うつもりもない。


妻は『女らしく』なんてのが苦手な女性だったけど、そんなのはまったく問題じゃなかったんだ。



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