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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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『立派な人』と『立派そうに見える人』

『立派な人間になんてならなくていい』


僕が美智果に対していつも言ってることだ。それは、


『他人からいかにも立派そうに見える人間に、無理にならなくていい』


という意味でもある。


『無理に自分の外面そとづらを良くして立派な自分を演出しなくていい』


と言い換えることもできるかな。


僕は、『立派な人』と『立派そうに見える人』とは違うと思ってるから。


立派な人には、そう簡単には成れないと思う。簡単には成れないからこそ『立派』なんだろうしさ。


それと、『すごい人』も『人の上に立つ人』も『人を使う人』も、無理に目指さなくていいと言ってる。だって、すごい人と言われるようになれる人なんて、ごく一部の人だけだからね。誰でもがなれる訳じゃないから『すごい』んであって、誰もがなれるんならそれは『普通』のことだから。


『人の上に立つ人』とか、『人を使う人』もそうだと思う。だって、それって、『下に就く人』とか『使われる人』がいなきゃなれないことだし。


『最初からそうやって上を目指さない人間なんて怠惰な負け犬だ』


なんてことを言う人もいるかもしれないけど、それっておかしいと思うんだ。だって、全員が全員、上を目指してるなら、『下に就く人』とか『使われる人』は全員、『上に立てなかった負け犬』ってことになるし。そんな人がみんな、自分の立場や現状に満足して真面目に働ける気がしないんだけどな。自分を負かした相手を恨んだり妬んだり、裏で足を引っ張ろうとしたり、『上に立とうという意識』が強ければ強いほど、そうなれなかった時の反動も大きそうだよね。


当然、上を目指した人が全員、そういう立場になれる訳じゃないから、そこからドロップアウトする人もいる。だけど、『下に就く人』とか『使われる人』が全員、そうやってドロップアウトした人っていう世界なんて、正直、陰惨で気持ち悪いとしか思わないよ。


始めから無理をせず、身の丈をわきまえて自分の現状に満足できる人もいなくちゃ、世知辛くって仕方ない。上を目指して挫折してドロップアウトした人のことも、そんなことを気にせず温かく迎えてくれる人がいなくちゃ、立ち直ることだってできないんじゃないかな。


この世界を、『ごく一部の勝ち組と、多くの負け組でできている』なんて考える人ばっかりの世の中って、住み易そうに思う?


僕は少なくともそうは思わない。


自分の身の丈に合った立場で努力して真面目に働いて真っ当に生きることができれば、僕はそれで十分に『成功』だと思うよ。


だから美智果も、自分の身の丈に合った成功を掴んでくれればそれでいいんだ。



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