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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
179/201

今日は、美智果と一緒に帰省する

今日は、美智果と一緒に帰省する。いつも電車とバスだ。乗ってるうちに居眠りしてても勝手に着いてくれるし時間もおおむね正確だからこれが結局、一番楽だと思う。電車もバスもないところに行くんじゃない限りね。


二泊三日分の着替えとかをリュックに詰めて、向こうで仕事する為のノートPCも持って、美智果は買ったばかりのゲーム機を持って、さあ出発だ。


マンションから最寄り駅まで十分ほど。インドア派の美智果だけど、自分の行きたいところに出掛ける時には文句も言わずに歩いてくれる。小さい頃からそうだった。と言うか、小さい頃の方が歩くこと自体が楽しかったのか、一時間以上歩いても『足が痛い』とか言い出すことはなかった。


途中、さすがに何度か抱っこしたけど、それさえ五分も抱っこしてない。すぐに降りて自分から歩きたがった。


今はさすがにそこまで歩くのは嫌がるけどね。


基本的に我慢強いんだろうな。我慢とか強いてきたつもりはないんだけど。母親を亡くした悲しみを我慢してると言えばそうかもしれないけど、それ以前から我慢強い面があったからね。


たぶん、本当に辛い時には言えば対処してくれるっていうのが分かってるんだろうなって思う。だから我慢できる分は我慢してくれるんだろうな。不安がないんだ。早々に音を上げて甘える必要がないんじゃないかな。


だから、ママを喪った辛さも我慢できるのかもしれない。


だけど僕は、この子のそういう我慢強さに甘えないでおこうと気を付けてる。この子が我慢してくれるからって皺寄せをしようとは思わない。僕が背負うべきことは僕が背負う。荷物もね。美智果が背負っているのは、自分の分の着替えだけだ。


いずれこの子も、大人として大きな荷物を背負うことになると思う。その時に、僕がしっかりと荷物を背負っている姿を見てもらって、大人とはそういうものだと学び取ってほしいと思ってる。


大人が大人としての姿を見せていれば、子供はそれを見て学ぶ筈なんだ。


だって僕は、本当はいい加減なクセに嘘で塗り固めた体裁だけを取り繕って偉そうにしてる大人を見て馬鹿にしてきた。ということは、僕が馬鹿にしてきた大人のやり方を真似しなければ子供に馬鹿にされないっていうことだから。


大人だって人間だからいい加減なところはある。それを嘘で誤魔化して外面だけ良くするんじゃなく、いい加減なところもありながらも大事なところはしっかりとこなしていれば、子供もそれを真似るだけでできるようになる筈なんだ。


僕はそうして美智果と接してきたんだ。



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