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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
178/201

あけましておめでとう

「あけましておめでとう」


「おめでとう」


夜更かしして日付が変わった瞬間、僕と美智果はそう挨拶を交わした。


「今年も一年、よろしくお願いします」


僕がそう言って頭を撫でると、


「よろしくお願いされてあげます~」


と返してした。悪戯っぽい笑顔で振り向いた美智果に、僕も頬がほころんでしまう。


「はい、お年玉」


用意してたポチ袋を渡すと、美智果はさらに「うっしっし」って感じで笑ってた。


「よ~し、これでゲームが買えるぞ~!」


僕が渡したお年玉まででゲーム機本体とソフトが一つ買えて、後はお祖母ちゃんからもらうお年玉はまた何に使うか考えようということのようだった。


こうやって、きちんとお金を、それも自分の身の丈に合った形で得たお金をやりくりして欲しいものを得るというのを学んでいってほしいと思う。


美智果はファッションに興味が無くて、携帯電話も持っていなくて、あまり派手に外で遊ぶということもしないから、こうして僕やお祖母ちゃんからもらうものだけで間に合っていた。


正直、お金遣いの荒い子とは付き合ってほしくないと思ってる。だからそういうタイプの子と合わない、決して<友達が多い>タイプじゃないことも、むしろ身の丈に合った振る舞いをする上では役に立ってると思う。友達が少ないとか、ボッチだとか、そんなことで僻む必要はないよ。逆に、見栄を張って自分の器を越えた遊び方や着飾り方をするくらいなら、そういうことをしなければ付き合えないのなら、そんな相手とは友達になんてならなくていい。


見栄を張るために、そういう友達との付き合いを続ける為に、自分の体を売ったり、万引きとかで節約したりするくらいならね。


その点でも、好美よしみちゃんや真理恵まりえちゃんはいい友達だと思う。お互いに決して無理をせず、不必要に見栄を張らず、お互いの感性に干渉しすぎず、良い距離を保ってくれてる。二人以外の友達も、うちにはそんなに遊びに来ないけどそういう感じらしい。


お正月も、好美ちゃんや真理恵ちゃんと一緒に初詣に行った後にカラオケに行くらしい。そのお金は、ゲーム機とソフトを買った残りで足りるそうだ。


思えば、僕は決して何でもかんでも買い与えたりしてないのに、家にはかなりの種類のゲーム機があって、ソフトも充実してる気がする。それは結局、僕とお祖母ちゃんからもらうお小遣いとかをやりくりしてこの子が手に入れたものだ。その辺りの充実ぶりは、美智果の周りでもかなりの上位に入るらしい。他のことに使わないからそうなれるんだろうな。


ちゃんと自分の器みたいなものを承知してるのが本当にすごいと思うよ。



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