現実はフィクションとは違うんだ
僕は、<仕返し>というものが好きじゃない。だから当然、復讐とか報復とかいうのも好きじゃなかった。
だって、面倒臭いじゃないか。
仕返しが本当に成功してそれで解決することなんて、現実にはそんなにあることなのかな?。僕はアニメとかドラマとかの中以外でそんなのが上手くいった、それですべてが万事丸く収まったなんて話、聞いたこともないんだけどな。
むしろ、そこから仕返しし合うようになったり、別の方向に飛び火したりって形でますます面倒なことになったという話しか聞いたことがない。
現実はフィクションとは違うんだとしか思わないんだ。
嫌がらせとかされてる時って、大抵は自分が一方的な被害者だと考えるよね?。でも、本当にそうなのかな?。自分は本当に何一つ落ち度のないただの被害者なのかな?。もしそういうものなんだったら、どうして『イジメは、イジメられる方にも原因がある』なんて話が出てくるのかな?。
嘘ばかり吐く子がいて、それを理由にその子をイジメてたっていう話がある。イジメた側からすると、『嘘を吐くから悪い』ってことでイジメてたんだよね?。でも、イジメられた方の子は、イジメられたことを理由に仕返ししたいと思ったとしたらどうだろう。そうして仕返ししたら、相手は納得するのかな?。イジメた自分が悪かったって思うのかな?。
そんなことないよね。『嘘を吐くお前が悪いんだろ!』ってますます怒るだけだよね。
イジメの加害者が百人いたら、その百人のうちの殆どが『向こうが悪い』『原因を作ったのは向こうだ』って言うんじゃないかな。それどころか、イジメてる自覚さえなくて、自分は正しいことをしてると思ってるのさえいるんじゃないかな。ううん、もしかしたら大半がそう思ってるかも。
そう、イジメそのものが、<仕返し>だったりするんじゃないかな。何か嫌なことをされたとか、良くないことをしたとか、そういうことの<仕返し>として始まったりしてるんじゃないかな。
僕は、どっちにも肩入れせずに完全に第三者の立場でそういうのを見た時に、最初の原因がどっちにあるのかなんて結局はよく分からないことの方がずっと多いと思うよ。
美智果がアイドル好きの<リンちゃん>にきつく当たられたのだって、当のリンちゃんにしてみれば、美智果の『私、アイドルとか興味ない』という発言で自分の好きなアイドルを馬鹿にされたとかディスられたとか感じたからその<仕返し>としてきつく当たるようになった筈なんだ。
仕返しなんて、所詮、そういうものだと思うんだよね。