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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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あからさまな予兆があったのに

どうも最近、嫌なニュースのことばかり考えてたからかどうも自分が荒れてるなと思ってしまった。


いけないいけない。こうやって自分でも気付かないうちに攻撃的になっていくんだろうな。


他人を攻撃する父親の姿を、美智果の前で見せたくはない。そういうものだと、それが正しいんだとあの子に思わせたくない。


クールダウン、クールダウン。


はあ、でも、どうしてこう嫌な事件が多いのかな。どうして事件なんか起こすのかな。他人を攻撃してもそれを理由に反撃されて、結局は嫌な思いをするだけなのにな。


事件なんか起こせば、それこそ一生、言われ続けることになるんだよ?。<若気の至り>って感じの事件だって掘り起こされて叩かれる人とかいるじゃないか。


どうしてそういうのから学ばないんだろうな。


僕は、美智果がそんな風に他人から言われるのは嫌だ。だから事件とか起こしてほしくない。


僕に迷惑が掛かるくらいは別にいいんだ。だいたい、僕が先にこんな世の中にあの子を送り出して迷惑を掛けてるんだ。それが返ってきてるだけだと思えばどうってこともない。親が子供に迷惑を掛けられるなんて、それを受けとめられればむしろ誇らしい。だからそれは別にいいんだ。


だけど、事件なんか起こしたら、それがどれほど相手が悪くてそっちに大きな責任があったとしても、『事件を起こした加害者』っていう事実は消えてくれないんだ。


いつまで経っても<そういう目>で見られて、ちょっと何か行動を起こせば『やっぱり反省してない』『更生なんかしてない』って言われてってしてるじゃないか。そういう実例があるのに、どうしてそれを自分に当てはめて考えることができないんだろう。


そう考えてみれば、そんなことができるうちは、そんなことができるほど冷静でいられるうちは、事件なんか起こさないっていう風にも考えられるのかな。


だったらやっぱり、事件を起こす前には冷静に物事を見られなくなるとか、普通だったらやらないようなことをやってしまったりしてるんじゃないかな。そういうのを<予兆>って言うんじゃないかな。


僕は、それを見逃したくない。


美智果は、本質的には他人を平気で傷付けられるような子じゃない。そんな美智果が事件を起こすなんてことになるまでには、相当な積み重ねがあると思う。


自分の子供がそんなことになってるのに全く気付かないような親にはなりたくない。そんな親でいたくない。


あからさまな予兆があったのに見て見ぬふりをして自分の子供が一生『この犯罪者が!』って罵られるようになるのなんて、嫌なんだ。



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