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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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幸せにもしてあげられないなんて

僕の言うことを『何様だ!?』って感じる人もいると思う。だけど、これは僕自身が親だからこそ思うことなんだ。僕自身が親として子供とどう接するかっていうのをいつも考えてるから。


僕は、美智果がネットで誰かを誹謗中傷したり陰口を叩いてたりなんて嫌だ。だからいつもあの子の顔を見る、表情を見る、仕草を見る、話を聞く。


荒んだ顔をしてないか、荒れた言葉遣いをしてないか、普段と比べて雑な振る舞いをしてないか。


イライラしてたり不平不満を抱えてたら、そういう小さなところに変化が出ると思う。実際、あの子が学校で嫌な思いをしたりした時には表情が暗くなったりしてた。だから僕も『何かあったんだな』って気付けた。


そんな時は、『大変だったね…』って声を掛けて抱き締めてあげたりもした。すると、『パパ…あのね……』って打ち明けてくれたりもした。


これは、僕が他人の顔色とか機嫌とかを察することができるからっていうのもあるかもしれないけど、それでも注意深く見ようとしてるからこそ気付けるんだと思うんだ。


そもそも見ようとしなければ分からないんじゃないかな。


一時的に感情的になってしまってるんじゃなくて、しつこく誰かに誹謗中傷をぶつけないといられないくらいの精神状態になってるなら、当然、そういうものは普段の様子にも出る気がする。もし分からないというのなら、もう、そこまでせずにいられない精神状態がずっと続いてて、それが普通の状態になってしまってるってことじゃないのかな。


僕は、美智果がそんな状態でいること自体が嫌だ。


僕には、あの子をこの世界に送り出してしまった責任がある。だからせめて、『幸せだ』って感じさせたあげたいし、『生まれてきて良かった』って思わせてあげたい。そう思わせてあげなきゃいけない責任が僕にはある筈なんだ。


でなければ、本当に<ただの無責任な奴>ってことになるじゃないか。あの子をこの世界に送り出しておきながら幸せにもしてあげられないなんて。


幸せだったら、他人に対して誹謗中傷なんてする必要がないと思う。そんなことして反感を買ったり恨みを買ったり憎まれたりしなきゃいけない理由がないよね。せっかく幸せなのにそれを壊すようなことをする理由がない。


わざわざ他人を傷付けようとするのなんて、自分が幸せだという実感がないからなんじゃないかな。たとえ他人から『幸せそう』に見えてたとしても、自分で『幸せだ』と思ってたとしても、それは本心から感じてることじゃないんじゃないかな。


だから壊れてしまっても構わないって思うんじゃないかな。



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