大人に苦しめられた子供の話
そう言えば今年の初め頃、母親の葬式の最中に父親を包丁で刺して、すぐ後に自分の喉も刺して自殺を図ったっていう女性のニュースがやってた。
第一報を聞いた時には、また、大人が何をやってるんだろうって思ってしまったりもしたけど、その後、その女性が虐待を受けてたらしいっていう話が出てきてからは、流れが変わった気がする。
本当かどうかは分からないにしても、その女性は小学校の頃から売春をさせられていたとかいう話もあった。それが本当なら、それも結局、大人に苦しめられた子供の話だったんだなって思った。
その後、裁判で一緒に売春をしていたという女性の証言もあって、どうやらそれは本当のことだったらしい。しかも、週刊誌とかでは、その女性の両親がやった虐待の内容とかについて詳しく書かれた記事も出てたとか。更には、女性の父親がまた、違法な売春組織を立ち上げようとして、それを知った女性が止めさせる為に刺してしまったっていう……。
正直、その女性のしたことは確かに良くないことだったとは思いつつも、そこまで思い詰めてしまっても仕方のない事情が背景にあったんだなとも思ってしまった。
どうしてそんなことができてしまうんだろうって僕は思う。美智果にそんなことをさせる?。有り得ない。どう考えたって有り得ない。この子がそんな目に遭うとか考えただけで正気を失いそうだよ。
それなのに、実際にはそういう目に遭った子がいたってことなんだよな。
本当に、『大人って何だ?』って思ってしまう。子供をいいように操って自分に都合よく利用するのが大人っていうのもなのか?。もしそうなら僕は大人になんてなれなくたっていい。大人って言われなくたっていい。だけど僕は本来、大人ってそういうものじゃないって思いたい。
子供を守る力と余裕があるのが大人ってものじゃないのかな。子供ってこうやって守るんだっていうのを自分の身で示して教えていくのが大人ってものじゃないのかな。子供はそういう大人の姿を見て子供の守り方を学んで、自分に子供ができた時にそれを参考にして大人として子供を守るんじゃないのかな。だから大人がそれをできないってのは本当に怖いことなんだってつくづく思う。
自分の親に売春を強要されて大きくなった女性は、実の父親を刺して殺そうとしたけど、自分の罪をすべて認めて、執行猶予付きの有罪判決を受けたっていうのもニュースでやってた。普通なら自分がされたことを情状酌量の材料にして無罪を訴えてもおかしくないくらいだっただろうにね。
その女性は今、どうしてるんだろう。他の人の養子になって今は別の名前で暮らしてるっていう話も聞いた。
やったことは良くないけど、その罪を認めて反省してたらしい。それが本当であってほしいと、僕は心から思うんだ。