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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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みっともない大人の行状

今日も今日とて、みっともない大人の行状がニュースで流れてた。古希を迎えた、本来なら分別を備えてるべき年齢なのに、酒を飲んで飛行機の中で暴れたそうだ。


本当に情けない。どんな事情があるにせよ、いくら鬱憤が溜まってたにせよ、いい歳をした大人として恥ずかしくないのかな。家族がどんなに情けない思いをするのか、理解できないのかな。


それとも、そんな自分のことでも敬えと家族に強要してたりするのかな。


僕は、自分がみっともない人間だってことを美智果の前では敢えて隠さないようにしてるから今更だけど、自分の父親が普段は立派なことを言っててこういう行為をしてるようじゃ、まったく尊敬も信頼もできないという実感しかない。


こんな事じゃ、『人を傷付けてみたかった』と言って人を傷付けた少年のことを責められないよ。


やったことの程度が違うって言うかもしれないけど、半世紀以上の年齢の開きがあって、人生経験を積んで来てもなおこれじゃ、思春期の頃の不安定な子供よりも性質が悪いっていう気しかしないんだけど?。


もしかして認知症とかで自制心とか判断力とかが低下してたのかもしれないけど、そうなってくると今度は監督する立場の家族に責任がいくよね。本人はそれで本当にいいんだろうか。


僕の父親も確か同年代の筈だった。どうしてこんなに分別のない大人が多いんだろう。厳しく躾けられて育った筈の世代だよね。それなのにどうして?。


だから僕は、<厳しい躾>なんてまやかしだとしか思わないんだ。ただの幻想だって。


『他人に迷惑をかけるな』って言われて育ってきてる筈なのに、ほんの身近な大人を思い出してみても他人に迷惑をかけまくってるじゃないか。自分はそうやって他人に迷惑をかけまくってるのに、子供に対して偉そうに『他人に迷惑をかけるな』って怒鳴っても何の説得力もないよ。


そういう現実を目の当たりにすればこそ、僕は『昔の躾は良かった。正しかった』なんていうのは、単なる懐古趣味の幻想としか思えないんだ。


別に、自分の上の世代の人間をただ責めたい訳じゃない。あくまで『偉そうにするのならそれに見合った言動をしたらどうなのさ?』って言いたいだけなんだ。


僕はそんな風に偉そうにできるような人間じゃないことを自覚してる。だから偉そうにしようとは思わない。だけど、情けなくてもみっともなくても人間は生きていて、それでもこうやって楽しく幸せに生きることができるんだっていうのを、美智果に見せたいだけなんだ。



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