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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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理解できるように説明して

僕は、他人を傷付け苦しめようとする<行為>については批判する。それを認めようとは思わない。


ただ、だからといって<攻撃>する気はないんだ。そういうことをせずにいられない背景というのはそれぞれあるとは思うから。そういう背景や事情は人によってさまざまだと思うし、それについてどうやって対処すればいいのかもそれぞれだと思うから、あまり迂闊なことは言えないと思ってる。


攻撃っていうのは、結局、相手を傷付けようとする行為なんじゃないかな。それを肯定してしまうのは危険だと思う。相手をとことんまで追い詰めようとしてしまうことにもなりかねないし。


どんな事情や背景があったとしても、相手を自殺するくらいまで追い詰めるのはやっぱり異常だよ。


ましてや、ミチカちゃんのように、本人にはどうしようもない理由で思うに任せない状況になってる子の場合にはさ。


ミチカちゃんは、どうしてそれをしないといけないのかというのが理解できないことがあるらしい。だから『これをしておいてね』と言われたことをせずに放っておいて、『どうしてやらないの?』って言われたら『なんでやらなきゃいけないの!?』って食って掛かることがあるんだって。


やるように言われたことをやらないというのは良くないことだっていうのは確かだと思う。もし美智果が宿題とかをやらなかったりしたら僕も『やらないとダメだろ』って言ってしまうと思う。


でも、ミチカちゃんの場合は、どうしてそれをやらなきゃいけないのかどうしても理解できない場合があるんだ。


美智果は、宿題はやらなくちゃいけないって理解してる。理解した上でやらなかったのならそれについて『そういうのは良くないよ』って諭すことはできると思う。


だけど、本人がそもそも理解できてないことを諭すのは無理なんだろうな。だからそういう場合は、本人が理解できてる部分から繋げていく形で『だからしなくちゃいけないんだよ』っていうのを、本人が理解できるように説明しなくちゃいけないんだろうな。


直接それを理解する能力がないミチカちゃんに『理解しろ!』って言うのは、強度の近視の人に眼鏡やコンタクトを使わずに黒板の文字を見ろと言ってるのと同じだと思うんだ。だから僕は美智果に、


「ミチカちゃんが、美智果の思ってる通りにできなくても、すぐにそれを責めるのは待ってほしい。どうしてできないのか、その理由を考えてあげて欲しいんだ。


美智果だって、百メートル走で一位になれなかったから自分達のチームが負けたって責められたら嫌だろ?」


そう説明する僕に、


「うん。分かった」


って美智果は頷いてくれる。


でもこれも、僕が美智果に理解できるように説明してあげられたからだって思うんだ。



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