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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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敬う価値なんてないとしか思わない

自分の境遇を呪って他人に八つ当たりするのは簡単だ。一番手っ取り早く憂さ晴らしができると僕も思う。だけどそれで自分が救われるとか、自分が楽になれるとか本当に思うんだろうか?。


それとも、『自分がこんなに苦しいんだからお前も苦しめ』とか思ってるんだろうか?。


僕は、美智果のことを考えればこそそんなことをしたくないと思う。僕がそんなことをしてる姿をあの子に見せたくないし、母親を亡くした苦しみを他人にぶつけて憂さを晴らしてるあの子の姿も見たくない。


そういうことをしてる人間達は、一体、それで何を得ようとしてるんだ?。そんな自分の姿を誰に見せようとしてるんだ?。


誰かを罵って、貶めて、蔑んで、何を成そうとしてるんだ?。


美智果がもしそんなことをしてたら、僕はただただ情けなくて悲しい気持ちにしかならないと思う。自分の子供がそんな形でしか鬱憤を晴らせないことを、恥ずかしいと思う。無関係な他人に八つ当たりするくらいなら、それを僕にぶつけてほしい。言いたいことがあるのなら、僕に言ってほしいんだ。僕は、美智果のそういう言葉にも耳を傾けられる人間でいたい。自分の子供に、無関係な誰かに八つ当たりさせておいて、自分の前では良い子のふりをしてるのを見てるだけで『うちの子はすごくいい子で』とか言っていたくない。


そんなの、<親>じゃない。ただの法律上の<保護責任者>っていうだけでしかないって思うんだ。


自分が親として未熟なのを他人に尻拭いさせて、どこが<大人>なんだよ…!。自分の親に面と向かって不平不満をぶちまけられないのを、匿名の陰に隠れて他人にぶつけて悦に入ってるような人間に育てておいて一人前の親面すんなよ…!。


って、自分が<親>でありたいと思うからこそ感じるんだ。


僕は未熟で駄目な親だからこそ、それで何か不平不満があるのなら、親である僕に言ってほしい。僕には、美智果をこの世界に生み出した責任がある。それは他の誰でもない、僕自身の責任だ。


他人を罵って、貶めて、蔑むくらいなら、僕に向かって言ってほしい。美智果が感じてる苦しみの全ての元凶は僕にある。美智果をこの世界に生み出してしまった僕自身に。


その責任を負うこともできないで一人前の親のふりをする人間には、僕はなりたくない。


この世の中に対して不平不満があるのなら、そんな世の中に送り出した張本人は誰かっていうのを考えるべきなんじゃないかな。文句があるならまず自分の親にぶつけるべきなんじゃないかな。


もし、そうやって子供に本音をぶつけられることを避けたいが為に『親を敬え』とか言ってるのなら、それこそ僕は敬う価値なんてないとしか思わない。



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