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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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本当に尊敬される人って

世の中には、自分の駄目な部分を隠して誤魔化すことで立派に見せかけようとする大人が多いと思う。でもそんなのは、えてして子供には見透かされると思うんだ。


だから子供に舐められる。馬鹿にされる。信頼もされないし、尊敬もされない。


信頼してもらえないのも尊敬してもらえないのも自分に原因があるのに、信頼しない尊敬しない相手が悪いってするから、余計に信頼も尊敬もされないのになっていつも思うんだ。


親を敬え。教師を尊敬しろ。


そんなことを言わないと駄目な時点でもう駄目なんじゃないかな。そういうのは強要するものじゃない筈なのに。相手が自然と尊敬したいと思ってこその筈なのに。


そういう薄っぺらい人間だから尊敬されないのにな。


僕は自分がどういう大人を馬鹿にしてきたか、信頼も尊敬もできないと思ってきたかっていうのを忘れないようにしてる。


外面だけを取り繕って『どうだ、立派だろう?』なんてしてる大人なんてそれこそ馬鹿にしてきてた。だったら自分がそういう大人になって『どうだ、立派だろう?』ってやって子供に『立派だね』って思ってもらえると考える方が無理があるんじゃないかな。


それよりは、駄目なら駄目ななりに努力してる大人の方がまだ共感できる。他人を傷付けたり苦しめたりしない大人の方がまだ信用できる。僕はただ単にそうしてるだけに過ぎない。


僕は、好きな女性一人守れない駄目な大人だ。その僕が美智果の前でいくら偉そうにしてもそんなのはメッキにすらならないと思う。


僕はただ、生身の人間としてどう生きてるかっていうのを美智果に見せたいだけなんだ。立派でもない、美しくもない、だらしなくて非力で格好悪い僕でもこんなに楽しく幸せになれるっていうのを見せたいだけなんだ。こんな僕でもそうなれるんだから、何も心配要らない。美智果だって楽しく幸せに生きることはできるんだって思えるようにしてあげたいだけなんだ。


だからか、美智果はいろいろ不安もありながらでも毎日を楽しく幸せに生きることができてると思う。いつも笑顔でいられてるんだと思う。


別に立派な人間になんてなれなくてもいいんだよ。大人なんてそんなに立派なものじゃないんだから。立派なふりをしてる大人なんて、大体ロクなものじゃないんだから。


『自分を尊敬しないお前が悪い』なんてことを平気で言っちゃう大人が尊敬されると思う方がどうかしてる。尊敬できる人だと感じれば、勝手に尊敬してくれるよ。


本当に尊敬される人って、本来はそういうものの筈なんだよな。



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