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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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反抗する必要がないんじゃないかな

最近の子供は大人を尊敬してないって言う人がいる。だけど僕は、昔から子供は大人をそんなに尊敬してたのかなっていうのが正直な印象だった。


実際、僕が子供の頃に大人を尊敬してるっていう子は見たことがなかった。みんながみんな大人を馬鹿にしてた。煩いから言うことを聞いてるふりをしてるだけっていうのが普通だったと思う。さらにもっと昔からでも、結局は大人の前では良い子のふりをしてるだけだったんじゃないかな。


反抗期っていうのは、要するにそういうことなんだっていう気がして仕方ない。本当は大人のことなんて尊敬も信頼もしてないから反抗するんだ。


美智果には、ここまでのところ、そんなのは殆どなかった気がする。<魔の二歳児>とか<イヤイヤ期>とか言われるものもあったような気がしない。


離乳食が始まってしばらくした頃にあまり食べなくなったこともあったけど、僕と妻の分から取り分けて食べさせたあげたらまた機嫌よく食べるようになったし。その分、取り分けることを前提に作ってたから僕と妻の食事もその頃はすごく薄味だったりもした。


それが功を奏したのかどうか、とにかく美智果のワガママに振り回されたりとかダダこねに手を焼かされたとかいう覚えも殆どなかった。


六年生になった今でも、生意気なことを言ったりはしても、僕に対して攻撃的になったりすることがあった覚えはない。


これから中学高校と成長していく中でそういうこともあるかもしれないけど、今のあの子の様子から見てもそんな風になるっていう予感はまったくなかった。


それはたぶん、美智果が僕を信頼してくれてるからだと思う。尊敬してくれてるかって言えば僕はぜんぜん立派な人間じゃないからその辺りは微妙だと感じてるにしても、ひどく反抗的になる必要は、美智果自身が感じてないと思うんだ。


僕が美智果のことを認めてるから、反抗する必要がないんじゃないかな。偉そうにもしてないし。


だからってあの子が僕を馬鹿にしてるかと言えば、それも違うと思う。馬鹿にする必要もないんだろうな。


だって、子供にとって親っていうのは、本来はそれこそ自分が生きるか死ぬかの生命線そのものの筈なんだ。親に見捨てられれば命に係わる重大な事態だ。実際、野生の動物とかでは親に育児放棄されて死んでしまう子だって珍しくないらしいし。


それで言えば、親に反抗するっていうのは、子供にとってはある意味では命懸けの行為なんじゃないのかな。そこまでしなきゃならないくらい、親や大人に対して憤っているってことじゃないのかな。


信頼や尊敬してたら、そんなことしないと思うんだ。



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