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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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他人と揉めたくないから

時々、僕みたいに延々とあれこれ考え続けて何とか持ちこたえようとしてる人間って他にいるのかなと思ったりもする。でも、実際には他にもいるんだろうな。他人と関わるのがあまり得意じゃないからお互いに接点がないだけで。


何度も言ってる通り、僕がこんなことを考えてるのは殆どが自分に言い聞かせる為、美智果にとって悪い手本にならないようにする為っていうのが一番の理由だった。


後は、他人と揉めたくないからっていうのもある。


『他人が自分の思い通りに動いてくれなくても自分は自分の信じる道を貫くんだ』ってことで。他人が自分の思い通りになってくれないことにいちいち腹を立てて揉めたりしないようにって。


ああでも、それも結局は美智果の前で他人と揉め事を起こす自分の姿を見せたくないっていうのもあるのか。自分の考えを他人に押し付けて反発を招いて揉め事を起こすっていうのも、トラブルの定番だもんな。それで相手がキレたら『自分は被害者だ』って言う。反撃されるのが嫌なら最初からやらなきゃいいのにって思ってしまう。どうしても言いたいのなら、相手と揉める覚悟の上でやるべきなんじゃないかな。


相手には『批判されたくらいでブロックするな』とか言いつつ、自分がされたらブロックするのとかもいるな。自分もブロックするのなら、他人に『ブロックするな』って言うのはおかしいんじゃないかな。


僕は弱いし力も無い。自分より間違いなく強い相手に強く出ることもできない。だから僕より間違いなく弱い美智果に強く出ることもしないようにしてる。


僕は知ってる。モモカちゃんとマサトくんのお祖父さんは、子供にはすごく強く出るけど、怖そうな相手にはそんな風にできないんだ。そして、モモカちゃんとマサトくんのお祖父ちゃんに怒鳴られた子供達も、それに気付いてる。


名前も知らない子が言ってた。


「なんだよ。俺達には偉そうに言うくせにヤクザ相手には何も言えないのかよ…!」


って、黒塗りの高級外車がマンションの前にものすごく邪魔になる形で駐車してたのに何も言わずなかったのを見て言ってたのが聞こえてしまったことがあった。あれでもう、あの子は『自分より弱い子供には口煩いのに怖そうな相手には何も言えない大人』を信用しなくなると思った。そうして、いつか別のことで別の大人に叱られても『どうせ自分より強い相手にはヘこへこするんだろ?』ってバカにして、大人の言うことなんて聞かないようになるんだろうな。


だから僕は、自分にできないことを美智果にやれとは言わないようにしてるんだ。



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