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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
122/201

妻にキスされて嬉しくなってしまうのとは

前にも言ったけど、美智果は一人でお風呂に入れない。怖くて無理なんだそうだ。だから僕が一緒に入る。体も僕が洗う。さすがに体くらいは自分でも洗える筈でも、「パパがあらって」って言われたからそうしてる。


甘えたいんだ。ママがいない分まで僕に。


それが分かるからその通りにする。頭も体もお尻も割れ目も足の指の間まで全部僕が洗った。そうすると美智果もすごく安心した様子になる。


もちろん、美智果がそれを望まないなら洗ったりしなかった。だけど彼女がそうしてほしいと言うならそれくらいは拒む理由もない。


それを羨ましいとか言うのもいると思う。でも僕にとってそれは、そんな色っぽい話じゃなかった。美智果の心を守る為に必要があったからやってただけだ。体を洗いつつ、この子が今、どういう精神状態にあるかっていうのをつぶさに観察する意味もあったんだ。


僕と一緒にお風呂に入って、僕に体を洗ってもらって触れてもらって、この子が安心できてるかどうか、精神的に落ち着いてるかどうかっていうのを確かめる為にやってたから、色っぽいことなんて考えてる余裕もなかった。それに、僕にとってはこの子が赤ん坊の頃におむつを替えたりお風呂に入れたりしてたことの延長でしかなかったし。


そういうのを邪推する人間には理解できないだろうけどね。


お風呂の後で、ママがやってた美智果のお尻をはぷっとかじるのもやった。


「おしりかじってぇ~ん♡」


と言いながらお尻を突き出してくるから。そういうところはすごく可愛いと思ったし癒されもした。


たぶん、僕がそれを色っぽいものとして捉えてなかったのを、美智果も感じてたんだろうな。だから安心して甘えられたんだと思う。僕がもし、邪な気持ちで接してたらここまでさせなかったんじゃないかな。


以前にも言ったと思うけど、だから余計に感じるんだ。自分の娘を性的な目で見てしまう父親がいるなら、それは他人として見てるからなんだろうなって。僕だって他人の女の子ならそういう目で見てしまうこともある。でも美智果のことはそう見られない。自分の娘だっていう認識がものすごく強いからだと自分では思ってる。


変によそよそしく接してるから、他人の女の子と同じような目で見ることができてしまうんだろうなっていうのをそれで実感した。


「パパ、だいすき~!」


そう言って頬にキスされると顔がにやけて止まらなくなる。だけどそれも結局は、<僕の可愛い娘>だからなんだよな。


妻にキスされて嬉しくなってしまうのとは根本的に違ってたんだ。



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