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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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超合理的で究極の利己

愛情って、突き詰めれば、ふわふわした綺麗事なんかじゃ決してなくて、超合理的で究極の利己だっていうのを、僕は美智果を育てて感じてた。


だって、僕が美智果を好きなのは、完全に僕自身の為だから。僕自身の納得が最後の目的だから。その為になら命だって投げ出すかもしれない。


『愛、愛、言うけどさ、じゃあ、家族の為なら命だって投げ出せるのか?』


みたいなことを言ってた人がいたと思うけど、今なら僕は自信を持って言えるよ。


「それ、家族の為じゃないから。本当は自分の為だから。もちろん死にたくはないけど、もし結果として自分が死ぬことになったとしても、自分の為にやったことなら納得できると思う」


ってね。


『死にたい奴は死なせてやればいい』


と言う人もいる。だったら分かる筈だ。『自分が納得したいから家族を守って死ぬ』ってことも。それは突き詰めれば、『家族を守る為なら自分の命だって投げ出したいと思う自分の為』なんだよ。そんなのが綺麗事に見える?。


自分の命を守りたくて家族を見捨てるのも、自分が納得したくて家族を守って命を投げ出すのも、本質的には同じことなんだ。どっちも『自分の為』なんだから。単に、『自分にとっての納得できる答えが違う』っていうだけなんだからさ。


オタクって、自分が好きなことの為なら自分を犠牲にするよね。それも<愛>ってやつなんだろうなって僕は思うんだ。だから美智果オタクである僕が美智果の為に自分を犠牲にするのも何も変じゃないだろ?。


愛は綺麗事じゃない。究極の利己主義だって実感しかない。そう考えれば、愛ゆえに好きな相手を殺してしまう人間の行動原理だって理解できてしまう気がする。


でも僕の場合は、美智果に死んでほしくない。美智果に生きていてほしい。僕は美智果に生きていてもらうことを選択する。そう選択するのが僕の為だから。僕には、愛ゆえに好きな相手を殺す人間の選択は理解できない。その選択肢は僕の中にはない。


ただ、もし、生き続けることで美智果がどうしようもなく苦しむなら、死以外ではこの子を救えないと思ったら、その時は、この子を苦しめたくないと思う自分の為に、美智果の死を選択してしまうかもしれない。


だけどそんなことがあって欲しくないとも思うんだ。死以外では救われないなんていう状況とか滅多にあることじゃないと思うんだ。だから僕は、最後の最後まで諦めたくない。たとえ体が動かなくなったって、幸せを感じる方法はあると思いたい。僕はその方法を探し続ける。自分が納得したいから。


美智果が生きて幸せを掴むことが僕の幸せなんだ。それ以外の答えでは、僕は何も納得できないだけなんだ。



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