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美智果とお父さん  作者: 京衛武百十
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自分の親が一人で生きられなくなっても

僕は、妻と結婚して美智果が生まれたことで、自分が割と古い考え方をする人間だということに気が付いた。<国>というコミュニティーを守る為には子供を産んで自分もそれに貢献しないといけないんだなっていう考え方にすごく親和性を感じるんだ。


でも同時に、結婚とか子供を持つとかっていうのを強制されるのも違うって気がする。だから僕は、どっちの考え方も認めるしアリだと思ってる。


美智果が、誰かから結婚しなきゃいけないとか子供を作らなきゃいけないって言われるのも嫌なんだ。でも同時に、子供が生まれないと国が成立しなくなるっていうのも理解できる。


どちらか一方の考え方に拘り過ぎるのは、危険だって思うんだよね。


そんなことを考えつつ、人間の数が多すぎるのはマズいなっていうのも分かるし、だからって人口を減らす為に片っ端から人間を駆除するっていう考え方にも賛同できない。と言うわけで、以前も言ったように、頭のいい人は少子化でも社会が維持できるような方法を考えるべきなんじゃないかなっていう風にも思うんだ。


将来、自分が歳を取った時に介護してもらう為に美智果に来てもらった訳じゃない。育ててやった恩を返せなんて言うつもりもない。でももし、僕が自分のことを自分だけでできなくなった時、ちょっぴり力を貸してほしいとは思うんだ。お互いに助け合って生きるということでさ。


もちろん僕も体を壊したりして寝たきりになったりしないように努力はする。百歳を過ぎても自分のことを殆ど自分でできる人だっているんだからそういう人を目指したいと思う。その上で、どうしてもっていうことはあるんじゃないかな。


自分のことも自分でできなくなって自力では生きていけなくなった親のことを見て見ぬ振りができるって、悲しいことだって気がする。育ててもらった恩とかそんなのは抜きにしても、仮にも家族でよく知ってる人をそんな風に見捨てられるのって、寂しいことじゃないかな。そんなに好きじゃなかったのかな。邪魔だったのかな。自分の子供に邪魔とか思われるなんて、どんな接し方をしてきたのかな。


子供は一人じゃ生きていけないから、その力を持った誰かが助けるんだよ。だったら、年老いて一人じゃ生きていけなくなった人を誰かが助けるっていうのも当たり前なんだろうな。その当たり前のことをしたくなくなる関係って、なんなんだろう。


自分の親が一人で生きられなくなっても手を貸したくないっていう感覚、実は僕にもよく分かるんだ。両親のことを思うとね。両親との関係を思い返すと、年老いた親を見捨てたくなる気持ちも分かるんだよ。


でもさ、自分の親が一人で生きられなくなっても力になりたくないっていう人が、一人で生きられなくなった赤の他人の力になってくれるのかな。


高齢者介護の問題を見る度に、僕は、親子関係っていうものを上下関係だけで考えることの無理を思い知らされるんだよね。



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