第七十九話 テンプレ
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王都へ降り立った花が出会ったのは、何やら怪しい集団に追われる謎の美女、アユ。
「魔法が使える」と語る彼女と、トラブル続きの王都散策が始まります。
テンプレ展開に呆れつつも、花は彼女に興味を惹かれていき……?
(お、追われてる?!この女性が?どういうことだ?このテンプレみたいな展開は?)
ひとまず花は路地へ逃げ込む。
数人のプレイヤーが通り過ぎるのをじっと待った。しかし、あたりをまだ捜索している気配がする。
「ここじゃ危ない、移動しよう。」
「い、移動?ここは行き止まりじゃあ……」
花は女性を抱えてジャンプする。
(ん?なんか、楽に飛べるぞ?)
建物の屋根の上を、ジャンプで移動する。
ひとまず、王都が一望できる教会の塔の上まで移動した。
「助けてくれて、ありがとう。あなたはプレイヤー?」
「ええ、まあ、プレイヤーです。」
「敬語はやめましょう?見たところ、歳も同じくらいだし。」
「これは、アバターだぞ?」
「ん〜?多分、あなたのアバターはほぼ本人だね。見ればわかる。」
「なんでだ?……ああそうか、なるほどな。
もしアバターなら、もっとイケメンにするか、高身長にするか、だよな?
ぷっ、あんた、なかなか鋭いな。
この顔、どう見ても後付けでやるアバターじゃないわな」
「気を悪くしないでね?あなたがブサイクだと言ってるんじゃないの。アバターを変えてる人って、なんか、独特というか、あからさまだから。」
「全然大丈夫だ。ガキの頃から自覚してるから、なんも思わねえよ。」
「ガキのころって、数年前のことを昔のことみたいに、あなた、面白い人ね。」
「いんや、数十年前だぞ?」
「……え?………ま、まあ冗談はさておき、あらためて、助けてくれてありがとう。
わたしの名前はアユ。よろしくね。」
「俺は、花、よろしくな。
ところで、なんで追われてたんだ?」
「……なんでだと思う?」
(あ?ちょっとめんどくせぇなあ、まあ付き合ってるやるか。)
「まあ、ナンパだろ?」
「んー……惜しい!正解は、これです。」
アユは、花に対して手を当てる。すると、花は光に包まれた。
(?!なんだこれは、体が、軽い?!)
「今は先頭じゃないから、あまり実感がないかもしれない。わたしは、魔法が使えるの。」
「ま、魔法?!」
(う、うおお!ついに、ゲームっぽいやつが現れたぞ?たしかに、まだ見たことなかったなあ。)
「もしかして、魔法使いは、珍しいのか?」
「ええ、しかも、このビギナ大陸では、新規ユーザーがほとんど。
魔法を覚えられるのは、ダイニー大陸にある、"magical college"に通わないと、会得できない。
だから、その……この時点で魔法を扱える私を、みんな勧誘してくるの。」
「いや、それだけじゃねえと思うけどなあ。」
「へ?……はっ!」
アユはガバッと胸元を隠す。
「あ、あなた、そっちが目的だったの?!」
「はあ??目的って、俺は追いかけてたわけでもねえだろ?
ただ、そんな格好でいたら、魔法使える云々の前に、そりゃあ吸い寄せられるって。
自覚した方がいい。」
「だって……おしゃれは、したいじゃない?」
アユは恥ずかしそうなら下を向く。
「魔法か……そんなこともできるのか……どんな感覚なんだろうな。憧れるぜ。
てかよう。なんで、このビギナ大陸の時点で、魔法が使えたら、貴重なんだ?」
「あ、あなた……花は、チュートリアルとか、いろんな情報って見てないの?」
「めんどくせぇから、ほとんど見てねえ。行き当たりばったりで、知っていく感じだ!」
花はドヤ顔では自信満々な態度をとる。
「そ、それは、自信満々に言うことじゃないと思うけど……どう?助けてくれたお礼がしたいんだけど……どこかで落ち着いて話せる?」
「ほう……どこかで落ち着いて……話す、ねえ。」
「ちょっと?そっちは無しだからね!ぷっ。あなた、面白いわね。久しぶりに面白い人に会ったわ。」
「なーんだ、全然焦らねえじゃねえか〜。ぷっ、俺も、久しぶりだ。こんなノリで対等に話すのは。大抵変態扱いされたり、こっちからいじってるんだけどなあ。」
「あら、それは、私がピュアじゃないって、言いたいのかしら?……は、な、さん?」
アユは、胸元を強調して、花に近づく。
「わ!ちけえよ!わーった、わーった!どこか近くだな?
とりあえず、あの辺なんかどうだ?俺は今日初めてきたから、全然王都のことは知らねえんだ。」
アユはマップを開く。
「この辺りに、王都直営のお店があるわ。そこなら安心だから、ここまで行きましょう。少し歩くけど、ごめんね。」
「おお、ここね。じゃあ。しっかり捕まれよ?」
花は、アユをお姫様抱っこする。
ヒョイ。
「へ?ああ!ちょっと!」
「時間がもったいねえから、急ぐ!いくぞ!」
ドン!
花は飛び上がり、何度か着地しながら屋根の上を高速で移動する。
スタン!
「よし!着いたぞ!ここで間違いないか?おい!大丈夫か?」
アユはぐったりしている。
「ちょ、ちょっと……もっと、優しくしてよね。こ、怖かった〜。」
「あ、すまない。つい本気で……立てるか?」
「もう……ちょっとふらつくから、腕かして!」
そういって、アユは花の腕に絡まる。
(こいつ、なかなか慣れてるな。変な縁だが、まあいい。魔法のこと、ちょっと興味ある。)
「さあ、ここよ。花は魔法に興味があるって言ってたわね。
じゃあ、お礼に、色々おしえて、あ、げ、る!」
「普通に話してくれたんでいいからな、よろしく頼む。」
第七十九話 完
第七十九話をお読みいただき、ありがとうございました!
突如現れた魔法使い・アユ。彼女が語る「魔法の秘密」とは?
そして、花とタクの王都での邂逅は近づいているのか……。次回の王都直営店での対話、お楽しみに!
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