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Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜  作者: hanaXIII


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第七十一話 依頼

日常の裏側で動き出す、新たな目的地。

期待に胸を膨らませる者と、重い足取りで役目を引き受ける者。

重なりそうで重ならない、二人の距離に注目です。

「おはようリナ!

お?何見てるの?沖縄の本?!」


「うん!もう楽しみで仕方がないんだぁ!

教えてもらったところ、チェックしてるぅ!」


「例の彼氏ね!どれどれ〜、ほほう、メジャーだけど、初めて行くには、抑えておきたい場所ね!」

「うん!ここは有名だから、行っておきたいんだ!

後は、ガラスを勧められたよ!ほら!ここ!」

「うわお!綺麗なガラス!手造りっていいね!」


「早く行きたいな!そのためにも、今のうちに、勉強しとかなくちゃ!」



「……お、沖縄、ですか?」

「ああ、そうだ。以前と同じく一週間くらい。もちろん、会社が全て負担する。手配も同様に、戸井にやらせるから心配いらん!

頼めるか?」

「様子見とは……スタッフに何かあったのですか?」

「そうだ!高口からの報告で、現場スタッフが何人か辞めそうだと報告があった。

少し、探ってきてくれないか?」

「……わかりました。では、スタッフたちと、面談をします。また、報告書にて、ご報告いたします。」

「おう!そうだ、統括と春馬も連れていけ!本社の上司がいたほうが、締まりがあるからな!」

「承知しました。彼らにも、僕から伝えておきます。」

「おう!頼んだぞ!」


所長は一言で言えば、豪快。

社長はクレバーな数字主義者。

所長は、どちらかというと、現場主体の花を気遣ってくれている。

それもそのはず。

花がリハビリ部門の管理者に就任してから、その部署は3年間離職ゼロ。その上、花はもう一つ兼務している部署があり、2年前から携わるようになって、そこも、離職ゼロ。売上げも伸ばしている。

専門職の採用も、高額な紹介会社を通さず、自らの人脈と信頼で揃えてきた。

経営陣が気付かぬところで、彼は数千万単位のコストを削減し、現場の質を支え続けているのだ。

高齢者分野と、障害分野。医療系スタッフにおいて、二つの分野を掛け持ちで見ている花。

医療の分野は花を中心に回しているといっても過言ではない。

(だが、それを理解しているのは統括だけか……。所長が気遣ってくれるのだけが、唯一の救いだな)

そんな環境の中、花は日々奮闘している。


夏真っ只中では、気候的にもかなりキツイため、少し早めに行くことになる。


(久しぶりの沖縄か………ああ……飛行機が憂鬱だ。)

花は飛行機が大の苦手だった。

そんな憂鬱な気分を抱えて、帰路についた。


寝静まった家。

リビングで一人、夕食を食べながら思う。


(そういや、あいつも沖縄って行ってたっけ?

まあ、時期は被らんだろうが、話のネタにはなるか。)


家族に、沖縄に仕事で行くことを告げる。

すると、プライベートで家族旅行に沖縄に行くと言い出した。

(は?俺が居ないのに、家族旅行だぁ?こいつらの頭の中、まじで終わってるぞ。こっちは仕事で行くんだぞ。その金どっから出るんだ?

そもそも、お前はお金が無いって俺に生活費出すの渋ってるよなあ。

はぁ……もう考えるのも面倒だ。

俺が居なくても、"自分たちこそが家族だ"か。

昔からその辺は変わらねえな。俺は居ても居なくてもどうでもいいってか?

ふ……もう、地獄に落ちても文句言うなよ。

俺は……あいつとは一生は付き合えん。

よし、決めたよ。

ここまで俺を無碍にするならすればいい。その代わり、将来俺が居なくても、一人で生きていけよ。

だって、そうだろ。

俺が居なくても同じなんだからな。

望み通りにそうしてやるよ。)


「さて、今日も潜るとするか。今日はちょっとぼけーっとしてくるか。どうせ、この時間は誰も居ねえだろう。」



シュン


(よし。ログイン完了。)

花はカレッジ前の駅に向かい、港方面へ向かう。

果たして、向かう先とは。


第七十一話 完








最後までお読みいただき、ありがとうございました!

仕事での重責と、家庭での冷え切った関係。花の「決意」は、これからの物語にどう影響していくのか……。現実の重さがあるからこそ、彼にとってALOがどれほど大切な場所なのかが伝わってきます。

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