第五十二話 独り言
今回は、
バトル多め……かと思いきや、
ほぼ「独り言」です。
戦いながら考えていること、
考えているつもりで、
本当は整理できていないこと。
そんな頭の中を、
そのまま覗く回になっています。
肩の力を抜いて、
ページをめくってもらえたら嬉しいです。
ーー20年前。
「あんたは、私にどれだけ迷惑をかけてるかわかってるの?留年までして!
留年した年の奨学金は自腹になるんだからね!わかってんの?!」
(また言ってるよ。気に食わないときはいつもコレだ。
そもそも自分が勉強する時間をバイトに使えって強要するからこうなった……自業自得なんだよなほんと。
自分が下した判断なのに、結果が悪けりゃ俺のせいか。
この人の頭ん中、どうなってんだ。
そもそも、その停止期間の半分の学費は、ばあちゃんが出したぞ。なら残りは七十万円ほどだ。
俺たち家族がどれだけお金に関して我慢してるか……そんな中で、あんたが旅行に行かずに貯金してりゃあ、充分間に合う金額じゃないか。
ほんと、勝手だよ、あんたは。」
◆
昔を思い出しながら、向かってくるモンスターを淡々と狩り続ける。
(リサは医大か……俺はやっと最近になって、高校と専門の奨学金が終わったなあ。
あいつの家、アイドル目指してるってほどだから、きっと裕福なんだろうなあ。
スレてねえし、育ちも良さそうだ。
うん……それがいい。裕福が一番だ。
貧乏だと、人柄が露呈する。
もうウンザリなんだ。
リサみたいな子は、しっかり誰かに守ってもらうのが一番だ。)
独り言をブツブツこぼしながら、狩っていく。
森からはモンスターが溢れてくる。
「なんだぁ?この数は異常じゃねえか?
そういえば、ここは分かれ道の辺りか?
確かにあっち側は空気が違うなあ……もしかして、あっちから湧いてきてんのか?
でもまあ、とりあえず無視だな。
今はリサの対策が優先だ。
鍛冶の村は運が良かったぜ。」
溢れてくるモンスターを軽く薙ぎ払いながら、カレッジの裏門を目指す。
(後は、タクの野郎をどうケリつけるかだ。
あの野郎……リサへの執着には理由があんだろうなあ。
芸能っつったら、見た目がいい子なんか腐るほどいる。
なら、あいつはリサ自身を気に入ってるってことだ。
ストーカーとはいえ、あの野郎なりに想いがあるのかもな……。
まあ、リサにはリスクでしか無い。
出来ればリサはすぐに離脱させて、俺らでなんとかおさめたいところだな。)
モンスターは少しずつ落ち着いてきた。
(このルート。誰でも連れてこれる場所じゃねえな。
モンスターの数が半端ねえ。
リサはもう少しレベル上げしねえと、すぐ置いてかれそうだな。
ランスはまあ……言うまでもねえか……)
門のところまでついた。
冒険者の証を見せつけて素通りする。
ひとまず、ログアウト予定より早く到着できた。
花は、せっかくなので、カレッジ内を少しウロウロすることにする。
(おっ、これはイベントか?)
エントランスの電光掲示板のモニターには、様々なイベントが飛び交っていた。
(日本開催、歌姫コンテスト?優勝賞金100万円。ALO内賞金50万ギル。
あとは、オーナー主催、ビギナ大陸のコロッセオスタジアムでPvP大会。優勝賞金は各ブロックで50万。統一戦優勝は更に50万。)
「へぇ……現実の方にも賞金出るのか。すげえなこの運営も。
きっと課金者も多いんだろうなあ。
まあそうか。こんだけリアルに人生出来るんだ。
こっちの世界を取ろうとする奴らも出てくるんだろうな、そのうち。」
「おう。良いところに気がついたなあ!」
花は振り向く。
「ああなんだ、コモン………………副校長か。」
「おい!取ってつけたように、仕方なく"副校長"って言ったなぁ??
さてはお前、学校では問題児だったろう?」
花は無視して立ち去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て!冗談はさて置き!
花、あれに興味あるのか?」
コモンは掲示板を指差して問いかける。
「……………あるわけないじゃん。だって、あれ"歌姫"って書いてあるぜ?頭、大丈夫か?」
「違うわーーー!その横だ!!お前、わざとだなぁ!」
「ああ、PvPか。いや、全く興味が無い。
好きな人は勝手にやれば良いさ。
お祭り騒ぎは苦手なんだ。
待ったとしても観るだけだろう。」
「何ぃ??あんなデタラメな戦闘スキルがあるのにか?!面白いと思うがなあ。」
「俺は、目立つのが好きじゃないんだよ。
特別な理由が無い限りは出ない。」
「そ、そうか。残念だ。お前は才能がある。この俺が見込んだ良い戦士だと思うんだが。」
コモンは本当にしょんぼりしている。
花は電光掲示板を再度、よく観察する。
「優勝予想……的中で300万円山分け……」
「あ。……オホン!……なんだ?そのけしからん設定は!まったくけしからん!」
(今、"あ"って言ったじゃん。わかりやすー。)
花は静かに立ち去ろうとする。
コモンは後ろでうなだれていた。
「まあ、気分が向いたら……出るかもな。」
コモンは立ち上がって叫んだ。
「そうか!よーし!その時はお前に賭けるぞーーー!」
(ぷ。言ってんじゃん!面白いオヤジだなコモンは。
まあでも、賞金か。こんだけかき集めりゃあ……いや、余計なおせっかいだ。何考えてんだ俺は。向こうから見てもただのゲームの仲間だぞ。やりすぎはいかん。それじゃあタクと同じになっちまう。)
花はもう一度電光掲示板を見る。
(ま……参考までに、視野には入れとくか。)
第五十二話 完
最後までお読みいただきありがとうございます!
ハナさんの過去、そしてリナの状況を知ってしまった後の「賞金」への反応。彼らしい不器用な優しさが垣間見える回でしたね。
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皆様からの感想やコメントも、一文字ずつ大切に読ませていただいております。
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