第五十三話 様子
カレッジで再会した三人。
しかし、リサの瞳には、いつもとは違う影が宿っていました。
それを察したハナとランス。二人が不器用ながらも彼女を支えようと動きます。
三人はカレッジで合流した。
「おう、久しぶり。」
リサとランスは顔を見合わせ、首を傾げる。
「あの……半日しか経ってないんだけど?」
「あ〜、さては、あの後一人であんなことや、こんなことしてたんだなあ〜?」
「俺を変態みたいに言うな。まあ、色々探索していたのは事実だがな。」
「やっぱりー!憂さ晴らしだけしてて、そんな満足げに"久しぶり"なんて言わないもん普通!」
「だね。何かイベントを通過した後って感じに見えるよ。」
「お前らは鋭いよなほんとに、ああそうだ。
一つイベントをこなしてきた。」
花は、大まかに鍛冶屋の村のことを二人に話す。
もちろん、隠しイベントの可能性もあるため、防音エリアで話した。
「なるほど、そんな村があるのか。僕はとても興味がある。この武器、実は引き継いだら退化してたんだ。だから専門家に一度見せたいんだ。」
「ああ、今度連れて行ってやる。場所が場所だから、覚悟しとけよ?」
「わたしも行くー!」
「リサは、もう少し修行が必要だな。危険な場所だ。」
「そ、そうかあ……」
(なんか、今日ちょっと暗くねえか?いつもなら突っかかってくるところなんだけどなあ。)
「ま、まあなんだ。俺とランスが居れば行けんこともない。覚悟してついてくるんだぞ?」
「う、うん!わたし頑張るね……!」
(やっぱり変だ。勉強で疲れてるのか?それとも何かあったか?
思い過ごしだといいが……。)
「じゃあ、さっそく資料室に行こう!そこの個室で作戦を練りながらスキルについて話そう。」
「お!いいな、賛成だ。リサもそれでいいか?」
花はリサにさりげなく返事を振った。
「ふえ?う、うん!そうしよう!さっすがランス!頼りになるなぁ!」
資料室に向かう途中。リサは皆の飲み物を買っていくと言う。
「おう!俺はポップコーンも頼む!飲み物はコーラ!」
「オッケー、ランスは?」
「え?!あ、じゃあ、僕も同じで!ありがとうございます!」
「了解〜、じゃあ、二人は先に資料室に入っててくださいな〜」
花とランスは先に向かうこととなる。
「ねえ花。今日のリサさん、なんかおかしくない?上の空というか、なんというか。」
「お前もそう思うか?やっぱり変だよな。まあでも、本人から言ってくるまでは待とう。
受験とストーカーの両立は、ストレスがあって当然だ。
もし、俺たちのどちらかが頼られたら、きちんと受け止める。
そして、きちんと秘密にしてやる。
いいな?」
「う、うん。わかった。もし僕が聞いた場合でも、花に教えなくていいの?」
「ああ、リサが言えと言わん限り、教えなくていい。
誰かに言えんからこそ個別に相談してるんだからな。
そん時はなんとなくサインをくれ、察するから。
逆の場合にも、俺がわかりやすくお前にサインする。」
「わかった。そうするよ。」
(こういうとき、花は頼りになる。僕はこういうのがまだよくわからないから。しっかり勉強しなくちゃ。)
「………いったい、何があったのかなあ。」
「気になるよなぁ。仲間なら当然だ。けどまあ、もしかするとなんもねえかもしれないぞ?」
「え?明らかに様子が変だったけど?」
「……体調が……良くない日なのかもしれない。」
「え?良くない日って?」
(やっぱり……ランスは多分ピュアボーイだ。まあまあ若いとみた……この流れでピンと来ねえもんな。)
「まあ、俺の口からは言えん。周りの大人に聞いてみるんだな。お前が信頼できる人にな。」
「う、うん。わかった。」
(シリアスにならんようボケたつもりだったんだが、真面目な流れになっちまったな。なら……ランスにわかるようにボケるか)
「それか、もしかすると、ウンコ我慢してるだけかもしれねえ。今頃トイレで……」
「あの。ここはゲームの中だよ?本当にトイレならログアウトしなきゃ大変だよ?」
(だめだ……真面目すぎる。)
「冗談だ。俺もこの前トイレって言って、かなり怪しまれた。
じゃあ……パンツ履いてねえ……とか?」
「そ、そ、そんなこと、リサさんに限ってあるわけ……」
(お!やっとボケが成立したぜ!)
「何赤くなってんだランス!さては、想像したなあ?!」
ランスの顔は真っ赤になる。
「そ、そんなこと、想像するわけないじゃん!花じゃあるまいし!!」
「俺は想像なんかしない。パンツは見たことあるからな。……あ……。」
「え‼︎?……今、なんて‼︎?」
「いや………なんでもない。忘れろ……。
そうだ……敵の記憶を消すスキルがだなあ……」
「絶対あやしい!明らかに誤魔化してる!」
花はシリアスな顔を作る。
「さあ、ランスよ。その先が資料室だ。一緒に対策を考えようじゃないか。」
「…………………」
第五十三話 完
最後までお読みいただきありがとうございます!
リサの様子を気にかけるハナとランス。真面目すぎるランスをボケで翻弄するハナのやり取りは、このチームの仲の良さが伝わってきますね。
ハナの口から出た「見たことある」という失言の真相は……?
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