第一話 ご褒美
※本作は
・アラフォー主人公
・フルダイブVR
・人生やり直し(?)
そんなお話です。
ゆるく始まりますが、少しずつ人間ドラマも増えていきます。
気楽に読んでいただけたら嬉しいです!
俺の名前は花峰佑城。
今年で40歳になる、どこにでもいるサラリーマンだ。
背も高くない。
顔も良くない。
運動神経も並以下。
――つまり、何一つ自慢できるものがない。
人生の折り返しを迎え、ふと、自分の人生ってなんなんだろうと、絶望する日々を送っている。
妻と子供はいる。
ただ、結婚して子供がいる。
それでほんとに幸せと言えるのだろうか。
どんな人と過ごし、どんな風に生きていくのか。
俺は毎日悩んでいる、、、、
そんなところに、あるゲームがきっかけで、俺の人生は再び動き出すのだった。
◆
5年前、クリスマス一週間ほど前
「よし、これは娘の、、これはエリ、、これはお義母さんの分、、っと、できた」
俺は家族の分のクリスマスプレゼントを用意していた。
「みんな、喜ぶかな、、、」
一通り終えて、ふと思う。
(、、、俺は、誰かにクリスマスプレゼント、、、もらえるのか?、、、いや、別に貰えないからどうこうってのは無いが、、、)
俺は経営者をしていたじいちゃんからこう教わっていた。
「佑城、良いかよく聞け。人にして与えることは、ドブに捨てたものと思え」
「?、、じいちゃん、どういうこと?あげるものを捨てるの?」
「そうじゃない、自分が誰かに尽くすというのは、見返りを求めてやるものじゃあ無いということだ。」
「じゃあ、僕は何もしてもらえないの?」
「そうじゃない、誠意というものは、自分がその人を幸せにするためにどうしたいか、一方通行で良いんだ。
自分がしたことに対して、相手がどう自分に尽くしてくれるか、そんな考え方は見返りだ。
そしたら、佑城はワシから、今までこんだけしてあげたんだから、何でも言うことを聞きなさいと言われたら、どんな気持ちになる?」
「うーん、、、嫌だけど、聞かなきゃいけないのかなって思っちゃうかなあ」
「そんなことを後で言うてくるやつと、お前は仲良くしていけるか?」
佑城はクビを横に振る
「嫌だなあ、それなら、初めからその人に、何もしてほしくないや、後でそう言ってくるんでしょう?」
「そうだ。だから、人に何かをするときは、見返りを求めないのが前提でやりなさい。そうすれば、自然と周りも同じような考え方の人が増えて、お前の回りは良い人たちで囲まれるからな」
「うん!わかったよじいちゃん!」
そんな昔のことを思い出していた。
(けどじいちゃん、、、俺、、未熟なのかな、、、そんな風に思えないや、、、自分に嫌なことをしてくる人、嫌だと伝えても理解してくれない人に、、、善意でなんか出来ないよ、、、じいちゃん、、、)
そう。
俺は妻と折り合いが悪かった。
結婚したから価値観が合わないことが増えてきて、その度に衝突。
子供が出来たら変わるかもと思ったが、それは無かった。
俺は絶望していた。
そんなある日
家電量販店で、話題のゲームに出会う。
フルダイブ型のゲームがついに発売するとのことだ。
(ああ、アニメとかであるやつか、、良いなあ。もう現実逃避したい。、、、俺、こんな頑張ってるんだ、、、自分で言っちゃじいちゃんに怒られるかもだけど、ほんとに頑張ってるんだ、、、よし、自分へのご褒美に買おう。)
俺は即買いした。
そしてその日から俺はゲームに没頭することとなったのだった。
人生に絶望し、ストレスの捌け口もない。
価値観の合わない妻。
このゲームを中心に、俺の人生は少しずつ変化していく、、、しかし、この時の俺はまだそのことを知らない。
どこにでもある人生の理不尽さ、みんなはどう向き合ってる?
これから俺は、その理不尽な絶望に立ち向かっていく。
そんな一人のアラフォーの物語。
――そのゲームの名前は、
まだこの時の俺は、深く考えていなかった。
まさか、五年間も“初期の街”から出られなくなるなんて。
第一話 完
ここまで読んでいただきありがとうございます!
「40歳主人公ってどうなの?」と思った方、
たぶんこの先で少し印象変わります(笑)
次話もよろしくお願いします!




