表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/135

天使秩序

「はぁ……なんもわからないや」

「うん、わたしもかもね」


 黒鉄鳥に契約してもらったのはいいけれど、その後いくつか質問してみても、まったくわからない。


 なにがわからないか、というのは、わからないから、わからないらしい。


「不明のなかにもうひとつ行方不明らしい」


 でも、それなのにヒイロは、なんだか楽しそうだ。

 どうしたら、不明が楽しいのか。


「ふふ」

「なんで、そんなに楽しそうなの」

「え……アマツキは、スキルを覚えたいんでしょ」

「うん」

「つまりは、なにかしたいと」

「うん」

「ふふ」


 ぼくには、ずっとヒイロの思考は読めないかもしれない。

 この先ずっと、わかる気がしない。


 黒鉄鳥は、ある程度質問に応えてくれたあと、やっぱり忙しいそうに、また飛んでしまった。

 植物園のホールを上手くすり抜けていく姿が、印象的だ。


「もしかして、黒鉄もなにかミレイに頼まれたりしてたかな」

「探しものかもね」

「ミレイの?」

「そうそう」


 そっか。

 ミレイが、まだ休んでいるから、黒鉄は自分で、探しものにでかけているのかもしれない。


「はぁ……スキルムズカシイんだね」

「天使はまた違うって言われたね」


 悪魔と天使の違いを実感すると、なんだかショックだ。

 ヒイロは、基礎スキルも魅了もそれなりに使えていて、図書館でもたくさんの知識を得ているのに、ぼくはまだその辺り空っぽで、置いていかれている。


「黒鉄って賢くて、ずっとぼくよりたくましいんだね」

「ゆっくりやろ」


 ヒイロがのぞきこむようにして、こちらを見ている。

 その眼をあまり見ないようにして、植物園の下側に眼を移す。


 黒鉄鳥がときどき飛ぶ姿が観えるものの、さきほどのとは違う個鳥みたいだ。

 バックにあるノートを取り出して、パラパラとめくる。


 隣にヒイロも来て、ヒイロは遠くをみている。


「ヒイロもみんなも、優しいよ。でも、不安なんだ」

「不安? スキルがなの」

「違うよ。洞窟でもあまり上手くできないし、ミレイが倒れたりして、ぼくはまだ、なにもできないんだ」

「アマツキは、わたしがなにかあったら助けてくれる?」

「それは」

「もし、わたしが崖から落ちそうになったら、アマツキはどうする?」

「そんなの自然と助けることになるよ。そのまま見捨てるなんてできないよ」

「そういうところじゃん。アマツキは、なにもできてなくない。きっと、なにかしてくれようとするよね」

「スキルがあれば、力をつけられれば、もっとできる」

「少し寂しいな。なんだかアマツキは、わたしじゃなくてもいいみたい……」

「そんなことない。けど、力がないことが不安なんだ」

「できれば、あまりアマツキに変わって欲しくないわ」

「ぼくは、もっと鍛えて変わりたい」


 ヒイロが、すっとぼくのノートを奪ってしまう。

 そのままノートを代わりにみてくれる。


「……の……やくには……ちつじよありて……」


「じよう…………やくに……とり……かず……」


「ヒイロ読めるの!?」

「ううん……天使翻訳はほとんどわからないけど、前に共通する部分もあるって」

「秩序?」

「うん。契約と秩序の項目なのかも」

「ありがとう」

「もっと勉強だね」

「これ以上、ヒイロは勉強するの?」

「いやだけどね」

「いやなんだ」

「いや……じゃない」


 もしかしたら、いやなものとそうじゃないものが混ざっているのかもしれない。


「みんなそうなのかな」

「勉強のこと?」

「訓練とか、練習とか」

「練習は好き」

「どっちなんだろう」

「不思議ね」

「ヒイロがね」


 ヒイロが、なんとなくくすくす笑うため、つられてしまう。

 ヒイロは、勉強好きだと想う。

 それは中央図書館にいる前から、たぶんそういう性格なのだろう。


「ぼくは、もっと勉強したい」

「もっと詳しくなろうよ」

「そうだね」


 天使ノートを返してくれる。

 改めてノートを広げるもやっぱりさきほどの文字は、読めない。

 ヒイロは、すごいと思う。

 きっとなんにでも熱心だから、身につくのだろう。

 探検しているときも、いろんな話しをしてくれる。


「秩序……か」

「もう一度読む?」

「ううん。平気。でも条件があるってことかな」

「ジョウケン。少し違うのかも。状態とか運営みたいな」

「ヒイロの魅了は、条件とかありそうだよね」

「まぁね。でも読んだ感じは違うと想う」

「そっか」



 少し考えたくなって一度戻って、下にいくことにする。

 植物園のなかにいきたくなった。

 ヒイロも後ろをついてくる。


「未来視は、禁書だよね」

「うん。たしかそう言ってた」

「それなら禁書のスキルは、ぼくには無理だから、未来視とは違うんだね」

「クラフトでもなさそう」

「時間は」

「有限にしてはじまるも変化する」

「刻は、無限にして始まりの刻」

「それ、あの説明文だよね」

「そうね」


 ヒイロといくつか探検していたときに、絵の説明にそんなことが描かれていた。

 それは、時間の絵なのか、とても抽象的だったことは覚えている。



 下につくと、一度廊下を回ってから、また植物園に入る。

 今度は、一階だ。


「さっきのは、二階かな」

「二階半かもね」


 上を見上げると、さきほどいた場所が少し隠れてみえる。

 いくつか黒鉄が飛びまわっている。

 外を観たときにもいたから、いまは連絡で忙しい時期なのかもしれない。


「ヒイロは、使えそうなの?」


 一階の自然にあふれている場所を少し散歩しながら、話す。


「もう少し、かなぁ」

「わかればってこと」

「スキルは、言葉だけじゃないからね」

「魔列車の……」

「あの調節みたいな」


 そうか。

 たしかに魔列車に乗るときに、魔力調節の話しをしていて、転移のときも内側と外側の話しを聴いた気がする。

 でも、あのときには、酔いがひどくてあまり聴いていなかった。

 ヒイロは、よく覚えている。

 スキルの捉えかたがいいのか、それとも理解力の差なのか。


「さっきの言葉と、魔力調節」


 割と自然にかこまれた場所のほうが、頭がすっきりするのかもしれない。

 今度は部屋にばかりいないで、外でも頭を動かしてみよう。


 天使ノートを取り出して、手にキュッと持ったまま、少し魔力を意識してみる。


 ヒイロは、自然のほうに興味があるのか、いろんな植物を観察している。

 植物は、いろんな種類のが植えられているようだ。

 葉っぱが下がるのもあれば、上に実がついていもの、刺とげしているもの、木の枝がよく拡がっているものなど、観ていてあきない。


 どうして自然のカタチは安らぐのに、天使はこう不器用なのだろうか。

 なぜ天使は、より多くのヒトや仲間たちと有意義に過ごせないのだろう。


 アヤネが、悩んでいたことは、そのことだろうか。


「魔力は、内側と外側。より自然に近いような……」


 ヒイロが、なにか話しかけている気がするけれど、意識が遠い。

 いや、よりなかにあって、外の意識が薄いのかもしれない。

 魔力って、ぼくのはなんだろう。

 あまり、上手く言葉にならないようなことを考えていた気がする。


 ヒイロが眼の前で、にこりとしていて、そこで、いまなにか触れた気がした。


「アマツキ……アマツキ……るわよ」

「うん……なに? なにか言った?」

「天使ノート、みえてないの?」

「ノート。手には持ってるよ」


 みると、文字が淡く光っている。

 その瞬間に景色が違うものが、視える。

 ヒイロが、抱きしめてくれていることと、その手になにか持っているような景色だ。


「できてるわよ」

「……なにが?」

「スキルいま使ったんじゃないの」

「スキルかぁ。そういえば、いまなにか視えたよ」

「それよ!」


 なにか別の声が聴こえた気がする。

 よく聴こえないけれど、ヒイロなのに、ヒイロじゃない声が聴こえる。


「え」


 ようやくヒイロの表情を意識すると、少しずつ景色が戻っていく。


「消えかけのみたいだけど、スキルよ」

「これスキルかぁ」


 ミレイの視えている景色をぼくも体験できたようだ。


「よかったわ」


 ぼんやりとではあるけれど、四種類の景色や声が重なってみえた気がする。


「ミライ?」


 未来の欠片だろうか。

 未来視とは違うと言われたから、それよりも簡単なもの。


「どちらかしらね」

「移動してたら転移だよ」

「どう」

「時間の絵のなかみたいだったかも」


 頭の隅で、声の残響がある。



 秩序は、天使に必要なもの。

 セカイにとっての揺りかご。

 りんごの果実酒。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ