アマツキのため息
ミレイの療養室から、でるときにヒイロがいた。
そのまま、ヒイロと悪魔治療師を探しにいく。
ヒイロは、とくに話さないため、こちらも黙っている。
ここのビルは、急ぎで泊まってるところなため、案内をあまりみてなかったし、説明もそういえばきいてなかった。
詳しくないため、一度カウンターで聴いたほうがいいのかもしれない。
さっきの話しをしていたことを思い出す。
ミレイは、ヒイロと仲良くしてほしいみたいだ。
それは、ぼくもそうだ。
でも、ミレイの話しはもしかしたら、未来の話しも混ざっていたのかもしれない。
そうなると、未来ではヒイロと離れることもあるのだろうか。
しかも、いまみたいな少しの間ではなくて、ずっととか。
そういえば、アヤネもメディも未来視は、ずいぶん特殊みたいなことを言っていた気がする。
考えごとをしていると、もうカウンターに来ていた。
「悪魔の回復や治療ができる悪魔のことなんです」
「どこか怪我してるの?」
「いいえ。いま休んでる悪魔で」
「あぁ! さっき入ってきた悪魔かしら」
「……たぶんそうです」
「治療師、普段はずっといるんだけど、いま少し忙しそうなのよ」
「そうなんですか」
「急ぎの用なら、こちらに書いておいてもらっていい?」
「あ、急ぎではないので」
「そう。またきてくれるかな」
「はい」
ミレイの着替えを聞きたいため、急ぎではないけれど、いまは不在らしい。
「どうしようかな」
またミレイのところに戻ってもいいけれど、寝ているかもしれないため、少し迷う。
「ミレイと話せたの?」
「うん……でも回復おそいみたい。話せたとき、まだツラそう」
「そっか。わたしが見にいったときには、まだ寝てたから」
ヒイロが歩きだすため、とりあえず一緒についていく。
目的地があるわけではないだろうけれど、ずっとミレイの側にいても、あまり手伝えることはなさそうだ。
少し時間を空けてからにしよう。
「どこいくの」
「うん、ちょっと」
そう言いながら、ヒイロは歩いていく。
さきほど、ミレイの場所にいく前に分かれたときには、なにか探していたようだから、その続きだろうか。
急いでいたにしては、なかなかいいホテルだ。
少し高さがあり、ホールに植物園があり、療養室もある。
あまり景色をみながら、来たわけではないけれど、それなりに都会らしい。
それは、途中の廊下から観た景色がキレイで、それなりに建物が揃っているからだ。
「水の洞窟で、無理してたのかな」
ヒイロがあまり話さないため、ぽつりと言ってみる。
「魔力切れって言ってたから、スキルの作用もあるのかも」
いまだ、ほとんどのスキルを使えないため、まだよくわかっていない。
スキルの訓練は、いろんなところでできるらしい。
でも、メディやネネがいないと、どんなことをしたらいいのかわからない。
ヒイロが、カウンターから離れてまた違う場所にいく。
「ヒイロは、魔力修行していたんだよね」
「してたけど、中央図書館での書籍だけだから、教えてもらったというより、覚えただけなのよね」
魅了にも種類があるのだろうか。
思えば、ヒイロの特技や使う場面は、あまり観られていない。
なにを探しているのか、よくわからないため、とりあえず一緒に歩くと、ホールの植物園の少し高さのある部分についた。
二階か三階なのだろうか。
手すりのあるベランダのようなところだ。
「いた」
ヒイロの見ている部分をこちらもみる。
たしか、黒鉄鳥という使い鳥だ。
「探し鳥?」
「そう! 黒鉄」
すると、羽根つくろいをしていた鳥が、こちらをみて話す。
「なに? たしかヒイロだよね」
「そう。ミレイの黒鉄鳥ですよね」
「そうだよ」
まだ羽根つくろいを続けているのは、ここに来たのが、ひと休みのためなのだろう。
「聴きたいことあるんです」
肩から身体、羽にかかっているバックを持ちなおしている。
「いいよ」
あまり黒鉄鳥の特徴は、わからないけれど、それぞれで個性があるみたいだ。
前にみたメディの黒鉄は、爪を少し伸ばしていて、眼もするどい感じだった。
ミレイの黒鉄は、目もとがキレイで、なんとなく女性っぽい。
「ミレイが未来視つかうと、いつもああいったことになるんですか?」
黒鉄鳥は、少し考えてから応える。
「ここ最近は、ずっとなかったことだから、いつもと違う」
「そうなんですか。無理してつかっていたとか」
「それとは違う」
「違う」
「洞窟にいっていたでしょ。おそらくだけど、水の妖精たちの動作がわからないから、そのたびに使っていたんじゃないかな」
「それじゃ、普段はあまりないんですね」
「そうね。ここしばらくは、なかった」
少し考えてから、ぼくも聴いてみる。
「なにか、回復に必要なのありますか」
「そうね。通常は回復師や治療師たちが処置してるから、それが一番ね」
「う〜ん、なにかできること」
黒鉄が、ややにこやかになる。
「もしかして、あなたたちミレイのためのなにか、探してるの?」
「そんなところです」
ヒイロの返答を聴いて、そうだったのかと思う。
それで、黒鉄鳥に聴きにきたらしい。
「そう……少しだけあるけれど、おすすめではないのよね」
「おすすめできないこと、あるんですか」
黒鉄鳥は、植物園を見下ろすような格好して、考えている。
「ぼくたちで、できそうなら」
「いま、あなたたちは魔力って充分にある?」
ヒイロと眼をあわせてしまう。
ぼくは、素直に言うしかない。
「実は、スキルほとんど使えてなくて、よくわからないんです」
「あなたは?」
「わたしは、しばらく使ってないから平気です」
「ふ〜ん。そう」
言ったきり、また考えてしまうらしい。
黒鉄鳥は、なにか知っているのだろうか。
少し考えているようなため、ぼくらも植物園を眺めてみる。
上からいくつかの陽の光が入り、水も少し流れているようだ。
水の洞窟とは違って、魔力水道から上手く繋がっているのかもしれない。
探しものが一区切りしたら、水道の場所もみてみたい。
「そうね、全部はムズカシイけれど、少しやってみようかしら」
ようやくそう話す黒鉄鳥は、なんだか怪しくみえる。
でも、なにか教えてくれるみたいだ。
「スキルは、少しなら写せるのよ」
「え?」
「あなたたにちには、黒鉄、灰鐘はついていないのね?」
「そうです。契約とかしてない」
「それじゃ、試してみられるかもね」
試されるらしい。
最近は、試してみるばかりだ。
ため息をする。
でも、仕方ない。
「いいです! お願いします」
ぼくが頭を下げると、ヒイロも一緒に頭を下げる。
「それじゃ、ノートを出してみましょうか」
「はい」




