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悪魔な小悪魔ネネの転生者にアレコレしてもう恋しちゃったじゃん  作者: 十矢


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中央図書館クエスト発生中

 朝、ミレイの部屋で準備が済むと、それぞれ部屋をでて、最後にミレイが部屋をでた。

 玄関はオートロックで、ミレイが外にでて、ドアを閉めるだけでいいのだけど、

 それでも、ミレイは二度ほど閉まっているか確認する。



 先に外にでていたヒイロとアマツキは、まぶしい日差しのなかで、走っているけど、ネネは、でた瞬間のまぶしさにまだ少し慣れなくて、眼を細めて、空を見上げた。


 雨は降りそうにない空だけど、

 スマホからの天気ニュース通知では、

 夕方からは、まばらに雨となっていた。


「まぶしい」


 メディとミレイが、話している内容は、

 ルルファイスに聴きそびれた高魔力結晶や高魔力宝石の在り()と、それに、

 転生魔法使いになろうの鍵の開けかただ。



 スズネは、ノビをしているけれど、

 昨日夜や朝の様子と変わらずに、

 なにか考えに(ふけ)っている。


 スズネの様子も気になるのだけど、教えてくれないことに関して、なにかを詮索しすぎるのはよくない。

 スズネの横顔を観ていたからか、

 こちらに気づく。


「せんぱい」

「なに」

「眠い」

「それね」

「いい空ですね」

「それね」


 スズネと眼があう。

 その眼は、やはりなにか隠しているような、そんな少し影のある感じがする。


 こういうとき、ミレイの未来スキルは、羨ましい。

 わたしのクラフトでは、スズネの考えを読み解くことはできないし、

 なにか、役に立ちたくても、

 何も言ってくれないことに対して、

 わたしが、役に立てるのは、持ち合わせていない。


「せんぱい」

「なぁに」


 キュッと、バックのベルトをつかまれて、

 なんだろうと思ったら、

 バックのなかにあった、スマホをスズネに奪われてしまった。


「もらい」

「あ、ちょっ!?」

「ふふん。油断しましたね」

「返して」


 スズネは、サッと離れて、わたしのスマホを背中に隠してしまう。

 二、三歩後ろに歩いていく。

 わたしは、前に進む。


「少しだけ、いいじゃないですか〜?」

「もう、勝手にとらないで」


 わたしは、スズネの後ろに回ろうとすると、スズネは、さらに後ろに歩いたあと、

 羽を拡げて、上空に勢いよく飛んでいく。


 あっ、と思うと、もう上にいる。


「どうしたの」


 メディが声をかけてくるも、わたしはすぐに追いかける。

 少しの間上空で、スズネを追いかけることになる。


「そんなに、みられたくないんですか?」

「それは、そうよ」

「えぇ、気になるぅ」

「先に、許可とってから」

「じゃ、みていいですね?」

「だめ」

「ダメじゃないですか」

「とにかく、まずは返して」


 スズネは、何回かわたしを躱して、

 その間に、なぜだか、スズネも自身のスマホを取り出している。


 なんだろう。


 急に、下に降りると、ヒイロとアマツキの間に入るようにして、

 アマツキの小さい背中に隠れるようにする。

 なにか、アマツキにささやいている。


「はい」

「えっ」

「いいですよ」


 アマツキの背中に隠れて、アマツキを抱きつくようにしながら、

 スズネは、わたしにスマホを差し出す。


「もう、なによ」

「ごめんなさい」

「あ、うん」


 アマツキもヒイロも、よくわかっていないみたいだけど、声をあわせる。


「「どうしたの、スズネ?」」


 観るとスズネは、いつものように無邪気な笑顔ではなくて、

 なぜだか、とても泣きそうになりながら、反省している。



「わたしが # % ” ” #」



 そのあとのスズネの声が、よく聴こえなかったため、聴いてみる。


「なに、返してくれたんだから、いいけど」

「ううん。なんでもないんです。ごめんなさい」

「うん」


 なんだろう。

 不安定なスズネは、何度かみているけど、

 ここまで、様子が変化していると、

 心配になる。


 ヒイロとアマツキは、なにか感じとっているのだろう。

 一度、スズネから離れたあと、

 今度は、スズネの後ろにまわってスズネの背中に抱きつく。


「う、どうしたん?」

「スズネ、なんか寂しそう」

「うん」


 スズネは、抵抗もしないで、

 しばらくの間、背中にいるヒイロとアマツキをそのままにしている。

 メディが近くにくる。


「ネネ、なにかあったの?」

「わからない。でも」



 スズネをみると、

 もう、これまでのスズネと同じ顔つきだ。


「いやだなぁ。そんな心配しないで。ちょっとふざけただけ……すよ」

「ほんと?」

「ほんと! ほんと」

「そう」


 ヒイロとアマツキは、離れると、

 今度は、目の前にきて、スズネの眼をジッとみている。

 ヒイロもアマツキも出逢った頃は、ずっと暗い眼で、なにかに絶望していて、

 アマツキは、合わせてもくれなかった。

 でも、いまはスズネを心配していて、スズネをみつめる眼つきは、真剣だ。


「スズネ、ネネやミレイに話せなかったら、ぼくに話してみてよ」

「アマツキに」

「天使じゃん。悪魔に言えないなら、天使に話してみてよ」

「へ、平気だよ。アマツキそんなに、マジにならないでよ」

「マジだよ!」


 アマツキは、表情を崩さない。

 悪魔に言えないことでも、

 スズネは、天使になら話すだろうか。


 わからない。


 でも、もし天使の役割があるのなら、

 アマツキは、その役割を務めようとしている。


「わかったよ。アマツキ、あとで、話し聴いてね? それでいい?」

「うん。ありがとう」

「お礼は、わたしからなんじゃん」

「いい。あってるから」


 スズネは、ヒイロとアマツキの頭に軽く触れる。

 それは、メディがいつもそうしているような仕草だ。

 ミレイが、スマホをチェックしてから、声をかける。


「中央図書館いきましょ。ルルファイスに、もう一度しっかり聴いて、それから、次にいく場所ね」

「そうだね」



 中央図書館の正面につく。

 昨日の様子と同じで、

 図書館の周りはざわついていて、

 悪魔が上空から降りてきたり、

 飛びさったり、公園で集まったりしている。


「ルルファイス、いるといいね」

「レミリアとライリアは、またでてきてるのかな」

「連続でいると、返って心配になるんだけど」


 図書館のなかに入ると、

 まだ早い時間にも関わらずに、

 司書受付カウンターは、並んでいた。


 ライリアなのか、レミリアなのかわからないけれど、ルルファイスではないみたいだ。


 次のかた、という声が違う。


「並ぼっか」

「そうだね」


 ヒイロとアマツキは、遠くからカウンター

 をみたり、一階の窓の外にみえる公園を観たりしては、感想を言いあっている。

 スズネは、ミレイの腕をとって、くっついている。

 話してる内容は、仕事の話しのようだ。


「メディは、最近 黒鉄(くろがね)鳥と話せてる」

「黒鉄、あまり見かけてないね」

「クイーンからの用が少ないのかな」


 わたしの黒鉄鳥は、天使界に向かった辺りの時期から、いそがしいらしくそばにこない。

 でも、外にでれば、ほかの使い鳥たちは急ぎ羽で上空を飛びまわり、図書館のなかでも、何名かみかける。

 呼んでみようか。


 少し頭に()ぎるも、ルルファイスに話してからでも、いいのかもと思いなおす。



 以前に、用を頼んだのはいつだったかしら。

 手紙を受け取ったのは、けっこう前だった気がする。


「メディの黒鉄は、どんな性格なの」

「そうだね」


 少し考えているようだ。

 使い鳥たちは、基本あまり無駄なことは話さないし、手伝ってくれたあともすぐにいなくなる。

 でも、個々に主張があるみたいで、

 堕悪魔になってしまうと使い鳥たちは、愛想尽かして契約を解除したり、逆にそれでも献身的に、側にいたりもするらしい。


 わたしの黒鉄は、けっこうおしゃべりで、ときどきクイーンの秘書に対する不満を話していた。


「かわいいよね」

「カッコいいかも」

「そうなの」

「黒鉄は、スキルも高いみたいで、契約したことで、閃光も少しつかえるし、なにより知識欲が高くて、悪魔界での知らなかったことをすぐに、探してみつけてくれるからね」

「そうなんだ」

「それに、脚に鉄の羽があって器用に、作業するんだよ」

「すごいわ」


 こうして聴くと、

 使い鳥にも性格や持っているものが、おおきく違うらしい。

 ミレイの使い鳥の話しも、今度、もう少し話しを聴いてみよう。


 次のかた、という声が聞こえると、また列が進む。


「ネネの黒鉄は、かわいいんだね」

「そう。なんか仕草かわいいし、話してるとときどき、毒舌になるけど、でも、性格良い子なんだよ」

「そっかぁ」


 スズネとミレイが、楽しそうに前で話しているのをみながら、

 隣のメディと会話する。


「ルルファイスと話したあと、また旅にでるんだよね」

「そうなるね」


 ネネは、自身の部屋の様子を少し思い浮かべたあと、話してみることにする。


「ね、一度わたし部屋に戻りたい」

「うん」

「服の着替えもそうだけど、もう少し長くなるかもだから、装備とか宝石(まい)の調整器具とか、少し持ってこなくちゃ」

「いいと想う」

「メディは、必要なものってないの」

「う〜ん」


 少し考えたあと、そっけない返事がくる。


「着替えと細かなものくらいだね」


 もう少し身だしなみに気をつかってほしいし、部屋に戻れば、それなりに必要なのが、でてくるのではないかな。


 でも、そういえば、メディの部屋は生活感はあまりなく、いくつかの音楽プレーヤーと雑誌、小説、それにアクセサリーがあったくらいだ。

 クローゼットもちらりとみえたときには、

 同じような服装しか並んでいなかった。

 悪魔男の子って、そんなもんなのかしら。


「そしたら、スズネも戻るのかな」

「そうよね。てか、スズネもくるのかしら」

「どうなんだろ」


 すぐ前でミレイと話しているスズネは、

 仕事は、平気だと言っていたし、秘書たちに連絡もとれているようだ。

 ヒイロとアマツキのことも気にしている。

 不安があるのは、わたしに話してくれないことがあることと、それに、わたしの事情に、スズネを巻き込んでしまうのではないかな。


 天使アヤネもルルファイスもわたしたちのことを信頼してくれている。


 これから先、ヒイロとアマツキに、なにか起こっても、わたしは、できる限りのことをしたい。

 そのとき、スズネのことは、わたしは置き去りにしてしまわないか。



 次のかた、という声とともに、また少し列が進む。

 カウンターにいるのは、ライリアだとわかる距離にきた。


「ネネは、スズネのことけっこう気にかけてるよね」

「それは、後輩だからね」

「それだけなの」


 ふいに、メディが聴いてきた言葉は、

 わたしにとって、新鮮に聴こえた。

 スズネのことに対して、メディが聴いてくるのは、少し意外な気がするし、わたし自身、改めて考える。

 仕事の後輩として接してるうちに、

 わたしとミレイに好意を向けてくれるようになり、隙あらばわたしの身体を触ろうとしてくる。

 仕事はときどき油断しているけれど、

 ここ最近では、わたしたちと仕事の内容は、それほど変わらなくなってきた。


 悪魔のなかでは、ミレイのように、整った顔や体型でなくても、美形な悪魔だろう。

 こうしてみると、後輩悪魔や同僚には、モテるのではないかな。


「いい後輩だし、少なくともわたしは好きよ」


 こうメディに言うと、前で話していたスズネが、すぐに振りむく。


「いまわたしのこと、愛してるって言いませんでした?」

「言ってない、言ってない」

「なんだぁ、ネネせんぱいからの、愛の告白! かと、聴き間違いでした」


 メディが、くすくす笑っている。


「そういうところよ」

「どういう意味すか?」

「いいから、ミレイと続けてよ」



 また、前のミレイとの話しを続ける。

 メディが笑い顔から、少しだけ視線をヒイロとアマツキに向ける。

 そういえば、メディはよくヒイロとアマツキのことを気にかけている。

 はじめは、冷淡にみえたそのメディの態度も、いまは違う気がする。


「悪魔と天使でも、あぁしてお互いに、いろんなこと話せるのっていいよね」

「メディは、種族や成長で、なにか関係が変わるとおもう?」

「成長や生活のなかでの価値ってあるよね」

「わたしは、ヒイロとアマツキ、メディと話してるの、なにも気にならないわ」


 メディの眼とあうと、その眼はなにか違う意味を探しているような気がした。

 そういえば、以前メディを違う視線で観たときにも感じた気がする。


 あれは、いつだっただろう。



「例えば "転生者" が悪魔として、悪魔や天使と婚約しても、ネネは意識しない」


 わたしは、メディのなかにあるなにかに触れた気がした。

 けれど、それがなにか、はっきりとつかめない。

 でも、つかめないまま、返事をする。


「ええ」


 悪魔メディナナタリアは、少しの間考えて、次のかた、という声が合図で、一歩進んだあと、ネネの眼をみつめて言う。


「ネネが、いつもそうしてくれるから、甘えてるのかも。でも、ありがとう」


 一瞬、その言葉が、

 メディの感謝の言葉なのか、

 わかれの言葉なのか、判別がつかなくなる。


「え、メディ、わたしに甘えてるの」


 列が進むと、ヒイロとアマツキの前には、

 ライリアがカウンターで待っていた。


「ルルファイスね」

「そう、いるかな」

「たしか、いまの時間は」


 ライリアは、カウンターのなかにあるのだろう、手元の資料をみているようだ。


「禁書フロアで、資料の整理とそのあと、清掃時間から、司書室で休憩かしら」

「いまは禁書の場所ね」

「あ、会ったらこれ渡しておいてもらえるかしら」

「はい」



 ライリアから、いくつかの蔵書のタイトルが書かれたメモを渡される。


「あと、レミリアが探しものをしているはずだから、見かけたら、カウンターにも一度戻るように」

「伝えますね」

「それから」



 それから、ライリアにいくつかの頼まれごとのようなことを言い渡されてしまう。


 カウンターから、離れたあと、

 ネネとミレイでため息をつく。


「ねぇ、ルルファイスに会うまでに、いくつ用すませるのよ」


 アマツキが、丁寧に天使ノートに描いたメモをみなから、説明してくれるも、苦笑いしかない。


「天使事務所もなにかと、慌ただしかったけど、中央図書館もなんだかね」

「とにかく、一つひとつかしら」


 ヒイロとアマツキが、まるで探偵のような表情で、メモとにらめっこしている。



 天使ノート


 メモ書き


 "a1# ルルファイスに会ったら、

 手渡されたタイトルを伝える

 "b2# レミリアに戻るように伝える

 "c3# 探しものは、ライリアが思い出した

 "d4# ライリアもカウンターから、離れるタイミングがほしい

 "e5# 飲みものは、インクコーラか、天然水がいい

 "f6# BGM用の音楽データを最新のものに更新する

 "g7# 絵の販売妖精がくるはず

 "h8# 悪魔でも天使でもいいから、追加の中央図書館のスタッフを募集中



「最後の八番おかしくない?」

「ポスターでも準備したほうがいいのかな」

「最近は、もうアプリで求スタッフは募集かけてるから、ポスターみるのいるのかな」

「あ、それなら、スタッフ募集のアプリに、登録したらいいのに」

「え、ポスターみるでしょ」

「アイドル悪魔が、ときどき媒体にでてるじゃん」

「ネネは、ポスター持っていっちゃだめよ」

「そんなこと、しない、わぁ」

「なんか、してそう」

「じゃなぁーーーーい!!」


 ミレイが、珍しく盛大につっこみにまわった。


「どうしたの?」

「いやいや、なぜにわたしたちが、中央図書館のアルバイトのように、スタッフの呼びかけにまわらないといけないのかっていう話しよ」

「ライリアに頼まれたから」

「ルルファイス探してるから」

「中央図書館にきたから」

「天使だから」

「キレイなお姉さんの頼みだから」


 ミレイが、その髪をかきあげたあと、

 なにかに絶望したような表情をしている。


「はぁ。ねぇ、わたしたち、どこで間違えたのかしら」

「どうしたのよ」

「わたしたち悪魔なのよね。アマツキは天使だけど」

「悪魔よね」

「うん」

「へ、平気よ。気にしない。悪魔だって頼りにされたら嬉しいし、うっかり手伝ったり気分で優しくしたり、するじゃない?」

「たしかに、そうだけどさぁ」

「そうそう」

「悪魔って……アクマじゃん」

「そうよね」

「天使は、ほら……天使って感じじゃん」

「そうそう」


 ミレイが、言ってるところは、微妙な言い回しではあるものの、しっかりと伝わってはいる。


「はぁ」

「そんなに、落ちこまないで。さ、やるからには、丁寧にいきましょ」

「そうしよぉ」

「せんぱい、応援してます」

「スズネもよ」

「わかってますよぅ、あ、ちょっとスマホ鳴ってるんでこれで」

「一度も鳴ってないわよ」

「あれぇ! おかしいすね」

「逃さないわ」

「に、逃げるだなんて、いや、逃げるのはお得って前に、だれか言いませんでしたか」

「逃げ(とく)

「ほら、アマツキが、変なこと覚えちゃうじゃない」

「わたしのせいなんすか」

「スズネ、ダメよ。悪魔の道に誘いこんでは」

「悪魔ですよね!? わたしたち悪魔ですよね!!」


 そう言いながら、

 ヒイロを先頭にして、メディと天使ノートに書かれたメモを見ながら、

 どれから、手をつけていこうかと、話している。


「簡単なのは、飲みものよね」

「飲みもの持っていったら、またカウンターに並ばなくちゃ」

「そしたら、音楽の曲の更新は」

「それなら、簡単だね」

「音楽データは、どうするの」

「ディスクとメモリと、なんだかよくわからない旧式のと、オンラインストアのがあるって」

「オンラインなら簡単じゃない」

「図書館の音楽再生のは、一階のカウンターかな」

「前禁書フロアで変えなかった」

「再生用の端末と、本体の更新じゃ違うかもよ」

「じゃ、中央図書館の音楽端末を探さなきゃだね」

「あ」


 ヒイロが、突然立ち止まるため、

 メディも一緒にとまる。


「なにかわかった?」

「中央図書館のデータセンターは、カウンターの裏に入った二階にあったんだけど、操作端末は、貸し出し禁止エリアのどこかで、ルルファイスがしてるところみたよ」

「二階だね」



 ヒイロとメディで、どんどんと進んでいくと、後ろから、アマツキ、スズネ、ネネ、ミレイがにぎやかについてくる。


「ヒイロは、なんだかミレイに似てきているかな」

「う〜ん。少し違う」

「そうなの」

「ルルファイスのところでしばらく、泊まってたとき」

「うん」

「生活必需のところ以外は、とくになにも言ってこないんだよね」

「そうなんだ」

「そしたら、キッチンになぜか置き忘れがあったり、服がほつれてるのに、なぜかそれがいいのっていったり」

「うん」

「そういうの、気にしないのかしらって聴いたら」

「ルルファイスなんて言ったの」

「あなたがいるから、安心してるのって」

「え」

「ヒイロがみててくれるから、すっかり安心。一緒にいてくれると、助かるって」

「そうなんだ」

「ルルファイスって、ほめ上手だよね。そんなに、大したことしてないし、わたしいてもいなくても、ルルファイスには影響しないのに」

「少しわかる」

「え、なに」

「一悪魔でいるとラクだけど、仕事のときに、ミレイがいると、しっかりしないとっていうのと、あぁこれは、ミレイがきっとみててくれてるなって」

「ダメじゃん」

「そうかも」

「メディって意外とダメ悪魔なのね」

「そうかもね」


 そう言いながら、

 ヒイロはなんだか嬉しそうな表情だ。

 二階の壁に向かいつつ、なにか端末や操作できるなにかをとりあえず、探してみる。



「二階は、喫茶と自販機コーナーあるけど、そっちはない」

「うん。違うとおもう」

「貸し出し禁止のなかなんだね」

「たしか」


 ヒイロが、前に進んでいくなか、

 メディも壁や床、棚になにかないか、目線をさ迷わせてみる。

 壁のそばを歩きまわり、棚の真ん中に移動して、

 反対側の壁にいきつき、フロアをいったりきたりする。

 ときどき他の悪魔の視線を感じるけれど、

 それは、後ろのみんなが騒がしいせいではないだろうか。


 何周か、フロアをいったり来たりしているうちに、これは、とネネが気づく。


「ねぇ、この壁の部分」


 ヒイロとメディが言われた場所でとまる。

 肩あたりの壁の位置に、右うえと左下二か所小さく青い光が点滅しているみたいだ。

 よくみると、小さくタッチマークが真ん中にある。


「ここだわ」


 ヒイロが、バックから中央図書館のマークのあるカードを取り出す。


「ねぇ、ヒイロ、なんでそれ持ってるの」


 アマツキが、横から聴いている。


「ルルファイスが、自由に使ってねって言ってたよ」



 青い光の点滅するその真ん中にカードをかざすと、小さい音がしたあと、壁の板がズレて、パネルが現れた。


「パスワードって書いてあるみたいね」


 パネルには、数字と文字が打てるようになっている。

 ヒイロがためらいなく、六文字ほど打っていく。

 すると、パネルの左がわの壁に突然、

 機械がみえるようになった。


「魔力音楽端末ね」


 当然、スズネがたずねる。


「ねぇ、なんでヒイロパスワード知ってるんすか」

「ライリアとレミリアが、ナイショだよって、教えてくれたよ」


 ネネは、メディの耳もとでささやく。


「中央図書館のセキュリティ、心配になってきたわ」


 メディがそれに答える。


「ルルファイスたちが、ヒイロに心を許してるからだよね」


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