なぜ、こんなことに、ミレイ部屋
ネネと知り合って、すぐのころ、一度だけネネを招いて、部屋に通した。
でも、そのあと、ネネが仕事など、いそがしくなると、それ以降は、だれもこの部屋に入れなかった。
そのころから、魔女隊やヤバジャンにハマったというのもあるし、
あまり、ほか悪魔たちとの関わりを深くしないように、してきたというのもある。
なぜ。
こうなった。
たしかに、わたしの寝室を含む部屋は、けっこう広めの部屋にしたし、
ファッションアイテム部屋などもわけてある。
いちおう、客室もとってあるけど、
ほか悪魔を入れなかったのだから、そこは、普通のベットルームとほぼ変わらない。
ヒイロとアマツキが、その客室としての役割の場所で、寝るとなったはずなのに、
晩ごはんで、果実メニューをつくるのに、リビングに集まったあたりから、どうにも変な怪しい話しになってきた。
「食べおわったら、シャワー浴びたい」
ネネがシャワーを浴びると、話しがでると、メディとアマツキは、
「「寝ておきて、明日朝にするよ」」
なぜか、一緒にそう決めたようだ。
「えぇ、いいけど。でも、ネネ、スズネ、ヒイロ、わたしが入ってる間、どうする?」
「新魔導書あるかな? 少し読んでるよ」
とメディは話し
「ベット、寝てるかも」
とアマツキが話すことで、
片付けをすると、客室のベットを整えることにした。
客室のベットは、少し広い。
ヒイロの分も準備していると、あれ、とわたしは気づく。
「スズネやネネたちは、どこで寝るつもりなの?」
リビングもソファと椅子はあるものの、メディがそこで寝るらしい。
「とうぜん、ミレイせんぱいの寝室です」
「そうよ。三悪魔なら、平気よね」
「え、うん。あぁ、そうなるかぁ」
ネネと寝ることに、素直に嬉しいのと、
誘惑に勝てるのかしらと、不安がきて、そのあと、スズネとネネに、挟まれることに、にやついて、もしかして、今夜は、わたしは、両手にバラじゃん、となって、慌ててしまう。
そんな、わたしを置いてネネは、タオルをもってシャワーにいくと、スズネが、甘いトロンとした声をかけてくる。
「ネネせんぱいが、濡れてベットにくるとか、妄想して、ムラムラします」
「スズネ。もしかして、ネネのそれ見たくて、ついてきたの?」
「まさか。わたしは、ミレイせんぱいひとすじっす。あ、でも、ミレイせんぱいとネネせんぱいが、もし絡みあうなら、それながめて」
腹パンしてみる。
「ほぐ。う、せんぱい、ブローすね」
ただ、黙らせたかっただけなんだけど。
「み、ミレイせんぱいは、メディせんぱいのとこ、いってもいいすよ」
二回めをくらわせてみようかしら。
「じょ、冗談ですよ」
でも、そうか、と想う。
メディがここにいることが、とても不思議だし、こんだけ、わたしの部屋がにぎやかなのもはじめてだ。
「これは、未来視に、なかったわね」
そう想うと、胸がザワつく。
ネネがシャワーからでて、スズネがタオルをもっていき、ヒイロの様子をみにいくと、アマツキとベットの上で、おしゃべりをしていた。
「あら。仲良いわね」
「アマツキが、あんまししゃべらないから、笑わせてたの」
「シャワー、スズネの次だからね」
「はーい」
メディのところにいくと、メディは棚にあった新魔導書をリビングで読んでいた。
そうしていると、メディは仕事をしているような姿にみえ、この悪魔、年中仕事してるんじゃ、って気になってくる。
ミレイは、改めて考える。
これはチャンスかも。
ネネとイチャイチャして、エ○を叶えるのも、それかネネにメディを襲わせて、既成事実をつくるのもいいのか。
いや、秘書として、やってはだめね。
ふっと、息をつく。
いまや、わたしは、ヒイロとアマツキのハハのようだし、てか、ネネがハハで、わたしは愛悪魔なのだけれど。
わたしは、ただの秘書とお世話で、ハハの役割は、やっぱりネネでいいわ。
そんなことを考えていると、メディが声をかけてきた。
「どうした、ミレイ。自分の家なんだし、ゆっくりしてよ」
「そんなぁ。あっちは、シャワーだし、こっちは、ベットだし」
「ほら」
メディが、向かいの席をさすため、とりあえず座る。
「通常なら、ミレイがさとすから、落ち着いて仕事できるのに、ミレイは部屋にいると、落ち着かない?」
「いや、そんなことないわよ。でも、なんだか賑やかすぎて」
う〜ん、と上にノビをしてみるも、やっぱり落ち着くことができない。
そもそも、このメディが、他悪魔の部屋なのに、新魔導書読んで、ゆったりしすぎなのでは。
そんな気がしてきた。
「メディ、わたしの部屋、そんなにゆっくりできる?」
「それはね」
少し本から距離をおいて、テーブルに、一度おく。
こうして、仕事以外で、自身のリビングで、メディと、向きあうのは、そういえばはじめてだ。
「なんか、緊張する」
「え。ミレイが緊張?」
「それは、するわよ」
いちお、仮ではあっても好き悪魔だし。
「ミレイは、ネネ好きだよね」
「ふぇ。うん。そうよ」
「いいよね。ミレイのそういうはっきりしてる発言、みてて好感もってるよ」
でも、メディに言えてないことがある。
そして、ネネにも。
いま、言えればいいのかな。
けれど、未来の視点から観たときに、そういう世界にはできていない。
「ありがとう。でも、未来では、そう、あまり視えてなかったから」
そう、調子が悪いのかもしれないし、
これが正しいのかもしれない。
頭のなかを整理しようとするも
なかなかできないでいる。
だんだんと思考が加速する。
なぜ、どうしてこうなってる。
なぜ。
なんだろう。
みんなが集まっているこの空間は、居心地がよくて、いまは幸せな気分なはずなのに、ひどく不安だ。
「未来視で、みえていないときは、未来が確定してしまったときなのかな、それとも、これから変化する前振れなのかな」
ふいに、メディが言う。
「そう、なのかしら。メディは、冷静よね」
「いいや? そんなことはないよ。ただね」
「うん」
「ミレイのことは、秘書としてとても信頼しているし、よき同僚でよく働くし、それに、未来悪魔として、尊敬しているから」
「そんな」
わたしは、ジワッと、涙がでてくる。
なんだろうな。
感情がいそがしい。
ネネが、ラフな装いで、髪や羽をタオルでふきながら、こちらにくる。
「ミレイは、最後に入るんでいいのよね?」
「え、うん」
椅子の近くまできて、座るとびっくりした表情をみせる。
「え、どうしたの! ミレイ、泣いてる?」
「ううん。そんなこと……ない、わ」
「ちょっと、メディ、なんかしたの!?」
「いや、いや。そんな」
「違うの。メディの話しも嬉しいけど、なんだろ」
「メディ、ミレイめったに泣かないんだけど、どうなってるの」
「さぁ」
あぁ、恥ずい。
ネネにも、ホンの数回しか見られたことないのに。
「なんでもない、のよ。ただ、なんか嬉しいのに、哀しいの」
ネネが隣にきて、背中や羽根をなでてくれる。
「嬉しい。ありがとう」
「やだ。なんかミレイ素直」
「それ。いつも素直じゃないみたいな言い方」
「えぇ、あ、まぁ欲望には素直ね」
「なによ。それ。ちゃんとなぐさめてよ」
「はい。よしよし」
「子ども扱いね」
「文句おおくない?」
「甘えてるのよ」
「甘えかた下手!」
少しの間、ネネに文句を言いつつ
なぐさめてもらうと、気持ちが落ち着いてきた。
スズネが、シャワーをおえて、タオルで髪をふきながら、脱衣室からでてくる。
「スズネ、なにその格好!」
「なにって、ランジェリーっす」
「そんな姿、メディもいるのに!」
「えぇ、シャワーあがりいつもこれなんですよね」
「いいから、なんか着てよ」
「ふぁ。それより、ミレイ姉どうしたんです?」
「ふふっ。笑っちゃうわ」
「え」
「スズネのその姿みたら、少し笑えた」
「えぇ」
「意外と胸あるのよね」
「あ、そうすよぉ。あ、メディせんぱい、さわります?」
ネネが、自身の持っていたタオルをスズネに投げつける。
「もう」
「冗談すよ」
「ハレンチギャル」
「あ、次ヒイロですよね」
「ちゃんと、上着着て」
「はぁ〜い」
ネネがタメ息をつくと、またミレイが笑っている。
「ヒイロ、呼んでくるわね」
「あ、ミレイせんぱいいいですよ。いってきます」
「あ、お願い」
「そのままの格好なの?」
と、とめる暇もなく、タオルを抱えていってしまう。
ヒイロは、まぁいいかもだけど、アマツキ平気かな。
「はぁ。アマツキが、ぶじなことを祈るわ」
「スズネも、アマツキくらいの年齢なら、まだ平気なんじゃ」
「アマツキにあの格好は、刺激すぎない?」
あ、たしかに、アマツキが、急に盛んには、ならないわね。
いちおう、天使なわけだし。
「平気よ」
「そうかなぁ。教育上よくないよね。あとで、スズネ叱らないと」
「ネネって」
「なに?」
「自覚はないわよね」
「なにのよ」
ジーッとミレイは、ネネを観察する。
胸、お尻、腕、口元。
「ほら」
「もう。なんなの?」
「ロリ破壊」
「なにそれ!」
「男の子たちの理性を破壊するからよ」
「ミレイのもだね」
「そうね。わたしもだわ」
ネネが、今度はぷくっと怒る。
「メディまで、なんかあるの」
「いや、とくには」
「ウソ。もしかして、なにか、わたしにえっちぃ期待とかするわけ?」
「そんなことないけど」
「ほら、やめてあげてよ。メディに八つ当たり」
「え、正当な意見ですけどぉ」
スズネが戻ってくる。
「ヒイロもタオル抱えて、これからくるって」
「わかった。ありがとう」
一応、タオルを身体に巻いてから、アマツキのところにはいったようだ。
「なにか、飲みます?」
スズネが、のんびりと聴いてくる。
「果実ジュースで」
「はぁい」
ミレイとネネが、隣に座るなか、
なぜかメディの隣にスズネが座る。
「あれ」
「なんすか?」
「なんで、メディの隣」
「指定席ですね」
「そんなもんない」
「は、はぁん。ネネせんぱいも、メディせんぱいに、こんなことしたり、あんなことしたり」
腕を組んだりしている。
「し、しないもん」
「しないんですね。じゃ、遠慮なく」
「はぁ」
メディが、疲れたように、受けとった果実ジュースを飲む。
腕は、スズネに組まれたままだ。
「なんすか」
「ネネとスズネがいると、子どもが増えたみたいだね」
「ちょっと、せんぱい。子どもじゃないですぅ。オトナな女なんですよ」
しばらく続く、ネネとスズネの言い合いを眺めながら、ミレイはメディと眼をあわせると、ミレイは優しく微笑む。
メディが、アマツキのところみてくるね、と席を立ち、ヒイロがシャワーから、でてくるまでの間も、
ネネとスズネは、仲良く言い合いを続けている。




