悪魔中央図書館、すれ違い
「えっ、ルルファイスいないの?」
混んでいるカウンターに並んで、
ようやく司書のレミリアの前につくと、いまは出かけている、と言われてしまう。
「いつ、戻るかわからないのよね。今日は、休日だし、そのまま自宅に帰っちゃうかも」
「そっかぁ」
悪魔ヒイロの経過と、天使アマツキのことを報告しておこうと、思っていたから、はずれてしまう。
「あとほかには」
「レミリアは、わたしのこと、覚えてる?」
ヒイロが前にでて、話しかける。
「それは、そうよ。おかえり」
「うん」
「天使とも仲良くなったのね」
「そう。アマツキっていうの」
「ええ。あ、えと混んでいるから、少し待っててもらえるといいかも。時間空きができたら、また声かけたい」
たしかに、ネネたちの後ろにも列が並んでしまい、あまりゆっくりと雑談をする状況ではなさそうだ。
「うん。また」
「はい。じゃ、次のかた」
中央図書館は、広く席もたくさんあるし、
外は公園になっている。
それでも、一階にもおおくの悪魔がいて、
ざわついていて、前にきたような静かな様子とは、おおきく違う。
「お城にいったのかな」
「うん。でも、この様子じゃ、ルルファイス戻ってこないかもね」
「はぁ」
ヒイロもアマツキも残念そうだ。
「お城いってみる?」
「でも、この様子じゃ、お城だって混雑よ。クイーンはたぶん会えないだろうし、ルルファイスがみつかるかどうか」
とりあえずヒイロは、
デビルスマホから、ルルファイスにかけてみるも、通話はつながらない。
「う〜ん。でないね」
カウンターの側にいるのだと、
この混み具合では、邪魔になってしまうため、
二階の喫茶コーナーにいってみることにする。
「中央図書館、こんなに混んでるの、はじめてみるよ」
ヒイロが言うのも無理はない。
一階の司書カウンターだけでなく、階段の本棚前や廊下まで、悪魔たちが探しものをしているのだ。
「ホント、不思議な光景だ」
「アマツキは、天使で目立つかな、て想ったけど、だれもみてこないね」
「うん」
そのまま、二階の喫茶コーナーにいってみると、席はいくつか空いていたため、そこに座る。
「なにか、食べていく」
「そうね。少し早いけど、この様子じゃ、次に食事にはいれるか、わからないもの」
ミレイが、賛成して、ネネとミレイ、スズネが、デビル自販機で、どれにすると話しあっている。
「メディは、どれにするの?」
「魅惑の果実にしよ」
「じゃ、それでね」
ネネが、魔力交換しようとすると、スズネがそれをとめて、スズネがみんなの分を購入してくれる。
「昇給して、魔力修行もしたんで、ヨユーす」
「昇給お祝いしなくちゃね」
「え、そんな、いいすよ。せんぱいたちが、戻ってくれたんで、それで感謝です」
「スズネ、オトナ」
「おっとなぁ」
「ちょ……と、からかわないで。照れてしゃべりかた、崩壊します」
「キャラ崩壊」
「ギャル崩壊」
はぁ、もう、とか言いつつ、悪魔天使数分の果実をみんなに分けてくれる。
「ありがとう。スズネ」
「メディせんぱい。好きっす」
「こらこら。急に告白するな」
ようやく座ると、果実を食べはじめる。
ヒイロもアマツキも慣れたのか、うまく皮をはいだり、かじったりする。
少しだけ、話題がとまる。
ムシャムシャ
パクパク
ムシャムシャ
ネネが、果実の皮をくるくるっと、取りながら、かぶりつき、ムシャつく様子をミレイとスズネが、ジッとみていた。
「な、なによ」
「せんぱい、セクシー」
「ネネ、もっと食べて」
「なによ!」
ぐいっと、口もとの汁を手でぬぐい、
食べる前に、ペロっと舌で口の周りをなめる。
「ネネ、エ○いわ」
「せんぱい、ゾクゾクします」
「もう! ねぇ、メディ、この変態悪魔なんとかなんない?」
メディは、ミレイとスズネをみたあと
「もう、いつものことだね。ネネのこと好きすぎるんだよ」
「これは、好きとかじゃなくて、セクハラで、しかも、わたしをそういう目でいつも観てるって現れじゃん」
ヒイロとアマツキが、同時に話す。
「「そういう目って、ネネのことどう見えてるん」」
「つまり」
「そう。これは」
「うん」
「ネネが、キスするときに、舌をどうつかうのかを観察する機会なのよ!!」
ネネが、スズネとミレイにほぼ同時に、頭と肩をたたく。
「いたっ」
「せんぱい」
「たたくとかひどい」
「こういうのをね」
「うん」
「口は災いのもとって言われるのよ」
メディが、笑っている。
「そうだね。スズネとミレイは、まさにそれかも」
「そんなぁ!」
ようやくみんなが食べおわると、でたクズをメディとアマツキが片付ける。
その間も、ネネとスズネとミレイが、いいあっている。
片付けがある程度済んだところで、メディがたずねる。
「どうしよ。ルルファイスは、しばらく来ないかも」
「ヒイロは、早めにルルファイスに会いたいよね?」
「うん。でも、連絡つかないんだから、いそがしいんだよね。ずっと、この場所で待ってるのも、みんなに悪いよ」
「中央図書館なんだから、時間は、すぐ経つと思うよ」
「ううん。もう一度、レミリアに話したあと、また別の日に来ようよ」
「うん。わかった」
ライリアは、いるかなとメディが気にしていると、ミレイが、混んでるから、二悪魔はいるわよ、と話し、ライリアとレミリアを探すことになった。
レミリアは、変わらず、一階の司書カウンターで、対応をせっせとしていたため、
また列に並んだあと、ライリアのことをたずねる。
「ライリアは、貸し出し禁止エリアか、禁書の対応かも」
「そっか」
「連絡とりましょうか?」
「あ、わたしたち探すよ」
「ええ、ありがとう」
「じゃね」
レミリアは、また次の悪魔の対応をしている。
「ライリアは、二階か三階かな」
「うん」
相変わらず、混んでいる図書館内を歩きにくいけれど、仕方なく進み、三階でみつけることができた。
「ライリア」
「ヒイロ。戻ってきたのね」
「うん。天使いってきた。でも、ルルファイスにはまだ会えてないの」
「そう。ルルファイス休みのなか、呼びだされて、お城にいったからね」
「そう」
「ヒイロと、それから」
「アマツキです」
「アマツキね。泊まるとこあるの? また図書館の封印エリアいく?」
少し考えていると、ネネが提案する。
「この悪魔天使の数だと、せまいでしょ。どこか、別のところで、休めるところを」
「メディのところは」
「う〜ん。みんなで寝るには、狭いよね」
「ネネのところも、似たりかな」
う〜ん。
ヒイロも中央図書館以外には、ルルファイスの部屋が居場所であったけれど、いまは留守にしている。
「ミレイせんぱいのとこ、いったことない」
ふいに、スズネが提案してきた。
「ミレイの部屋、そういえば、だれもいってないかな」
「いこうよ」
「ミレイ」
「ミレイせんぱい」
「あぁ〜、えぇ〜と。うーん」
メディが、じゃ、と言いかけると
「うん。広いから、ま、来てもいいけど、でも、中みて騒いだり、しないでよ」
「メディとネネはどうするの?」
「一緒にいくよ。ミレイのところで泊まろう」
「やったぁ!」
一番喜んだのは、ネネだった。




