混乱した悪魔世界
「天使たちの事故現場での争いのあのあと、先輩たちが旅にでて、少ししてからですかね」
そういって、スズネが話しはじめる。
「統括エリアマネージャーの悪魔数が、実質減ってるからか、
その下のオフィサーもしばらくの間、エネルギー体の回収に呼ばれる回数が増えました。
けれど、それ自体は、ただ仕事がいそがしいっていう感じ」
「三悪魔、いないとそうなるわね」
「そしたら、天使たちの回収もどうにも様子がおかしくて、ヒトの世界で、事故事件も重なったからっすかね」
「うん」
「これまで、天使グループと回収地が重なるのなんて、おおきい事故のときだけだったのに、いくつかの場所で、天使グループと重なって、そのたびに、回収地でトラブルが起きたすよ」
「えぇ!」
「クイーンも、あまり見逃せないことが、いくつか発生して、仕事時間を延長したり、秘書たちが号令したり、ときどき朝の準備中に呼ばれたりあったかな」
「うわぁ」
「先輩たちにヘルプ呼ぶタイミングもなく、気づいたときには、悪魔と天使たちがバトルしたり、異界ドラゴンの空間が、エネルギー過多で、順番待ちになったり、なんだろ。泣きそうです。泣いていいすか?」
「よくがんばったね」
「ふえん。メディせんぱい。だきしめて」
「やめい!」
「ミレイ先輩ばかり、いつもずるいです」
「うん。じゃ、ま、今回だけ」
「メディせんぱーい!!」
メディに抱きつくと、スズネは頭や羽をなでてもらっている。
ネネは、笑顔で迎えているけど、内心は複雑だ。
「ちょ、ちょっと、くっつきすぎじゃない」
「ふえん。メディせんぱい、やさしい」
「あの」
「マジ大変だったんす」
「うん」
「もう、メディせんぱいに、会えないかと」
「そこまで」
「うえん」
あんまりにも、スズネがごろごろしているため、
ネネはいらいらしてくる。
でも、ここで怒っては、嫉妬してますよ、ていうようなものだ。
がまん。
がまん。
が、がまん。
うう、がまん。
むう。
くう。
今度は、ネネがなんだか泣きたい気持ちに、させられてきた。
「そろそろ、いいかい?」
「まだ、ダメっす。足りないっす」
「話しの続きが知りたいんだけどね」
教会の端の席で、スズネがごろごろしているため、ヒイロとアマツキは、ミレイの手を引っ張ったり、服を眺めたり、教会の天井を見上げたりしている。
「スズネ、そろそろ放したら」
「せんぱいたち、ずるい。ずっとメディせんぱいをみんなで占領してましたよね。スズネ、まだいま会ったんすよね」
なかなかに、いい攻め具合だ。
ネネもミレイも、考えこんでしまう、
「と、ともかく、説明してよ」
「あ、ええ、だから」
また、スズネのスマホが鳴りだすも、放置している。
「いいの?」
「だから、天使や他種族が、戦闘態勢なんじゃって、ウワサがでてしまい、警戒レベルが上がってるんです」
「は、ええ!」
「ないわよ。そんなの」
「うん」
アヤネとわかれたばかりで、いま天使界から、来たばかりのネネやミレイには信じられない。
「そんなの、デマよ。妖精たちとか、わからないけど」
「なんで、とにかく、警戒しろってなってて、朝早く起こされるし、スマホ鳴ってすぐ対応しろってなるし」
「逃げるか」
「それね」
「いまなら」
「そうね」
「わたしたち、いなかったこと」
「ムリですってば」
スズネが、少し怒っている。
「ごめん。冗談。でも、ホント天使たちは、何も準備なんて、してなかったわ。天使と、さっきわかれたときにも、いい感じの受け答えだったわよ」
「はぁ。ま、ならいいんすけどね」
スズネが、ようやくメディから離れる。
スズネが、少しのびた髪をはらうと、顔つきが、前と違う気がする。
「ねぇ、スズネ、それ以外になにかあった?」
「あ、ええ。いちお、せんぱいたちの代理ってことで、一時統括エリアマネージャーには、なったですね」
「おお」
「頼り」
「ギャルなのにね」
「フリだからね」
「おいおい」
ヒイロとアマツキが、くすくす笑っている。
「じゃ、クイーンに連絡は、任せるよ」
「ちょっと、せんぱい。一緒にきてください」
「いや、司書のルルファイスにも話しかけにいきたいから、悪魔界のいまの状況詳しいのは、スズネでしょ。頼りにしてるよ」
「うう。そう言われると、やる気になりますが、なんか踊らされてるだけ感、ありっすよ」
「そんなこと、ないわよ」
「そうそう」
「そうね」
「じゃ、そういう感じで〜」
「いや。やっぱり、おかしいす。わたしもついていきます」
「スズネ仕事は?」
スマホをとりだして、いくつか話しをはじめる。
少し経つと
「はい。オケです。たぶん」
「いいの?」
「中央図書館ですよね。いきますよ」
「わかったよ」
スズネが、メディとネネの手をひくため、仕方なく、みんなそれに従っていく。
ネネが、教会の中央を振り返ると、
何名かの悪魔たちが、教会のなにもない正面に向かって、静かに祈っている。
「悪魔って、クイーン以外には、何に祈ればいいのかしら」
「ネネは、あまり来ないの?」
「わたしは、信じてるのは、これだけかも」
ネネは、ネックレスに下がるダイヤモンドをギュッとにぎりしめる。
応えるように、ダイヤモンドは淡く光り、
バラの模様が浮かぶ。
スズネに連れられながら、上空から中央図書館の入口ふきんに降りる。
空も入口ふきんも、悪魔がたくさんいる。
「ルルファイスに用っていうのは、ヒイロとアマツキのことですよね」
ここに来る短い時間で、スズネにアマツキに関することをササッと、説明していた。
「そう。ヒイロだけでなく、アマツキにももっと悪魔たちについて、知ってもらわなきゃ」
「ふ〜ん」
スズネは、改めてアマツキをジロジロみる。
「ヒイロと、同じくらいに見えますけど、天使の羽ってキレイすね。それに、まだ少し幼いけど、未老成長期だから、この先イケメンなりそっす」
「スズネは、アマツキは好みなのね」
「うう〜ん。もう十くらい年齢進んだら、デートはありっちゃあり」
ヒイロが、隣で聞いていて、ムッとした表情な気がする。
「アマツキは、スズネみたいなギャルっぽいのは、イマイチじゃないかな?」
「え、ギャル人気高いよ。それに、権威あるギャルって、サイキョーじゃない?」
「ね、アマツキ、そんなことないよね?」
「アマツキ、ほら、触ってごらん?」
「ヒイロに、スズネ。そんなに言い合わないの。アマツキが、パンクするじゃん」
「はぁ」
アマツキは両腕を押さえられているため、
代わりに、ミレイが伝えてくれる。
「いて」
「あた」
「ほら。アマツキは、まだ子どもなんだから、スズネが誘惑しないの。ヒイロもスズネの言葉通りに受け止めないの」
「「だってぇ」」
「だって、とか言わないの」
「ハハだ」
「ミレイ、ハハがいる」
「わたしは、子どもいない!」
「もう、ハハでいいじゃん」
「ハハになるなら、ネネの子ども育てるからね!」
「ネネとは子どもつくれないじゃん」
ヒイロが、ミレイに言葉の矢を刺してしまう。
「うぐ。ぬぬ! メディがいるからね!? わたし、ネネとメディがえっ○して、子どもできて、そしたら、ハハになるから、いい?!」
もう泣きそうなため、ヒイロもアマツキもスズネも同情してしまう。
「う、うん。なんか、ごめんなさい」
「そうだよね。未来視あっても、ネネとミレイでどんだけヤっちゃっても」
「ヤるとか言うな!」
「えぇ、そこ!?」
いまだに、悪魔通りがおおいこの前で、邪魔だろうと、メディはあきらめて、ネネと先に中央図書館に入っていく。
「ミレイって、ときどきバカよね」
「う〜ん。ネネのことになると、回転がニブるんじゃ」
「回転っていうか、頭のなかがエ○百になってるときって、ミレイ急に、コワレるのよね」
「あぁ」
メディが、なぜか納得したため、ネネは笑ってしまう。
「ルルファイスいるかな」
「襲われないようにね」
「えっ、なんでメディそのこと」
「ネネとミレイが、好みなんでしょ、ルルファイス」
「好みっていうか、たぶん、かわいい子なら誰でもオケなんじゃん」




