ヒイロ旅のはじまりに
「いこっか」
「うん」
ヒイロ、ネネ、ミレイ、そしてメディは、
ヒイロの過ごす世界を拡げるために、旅をする。
「ねぇ」
「うん」
「なんで、ここに来たんだっけ?」
「それはね」
四名の悪魔たちは、いま天使たちの住むエリア、天使界の最下層らしいところにきている。
朝、メディナナタリアの部屋をでるときに、連絡が入った。
統括エリアマネージャーのメディは、そのなかでも、対応が早いと評判で、デビルスマホが、よく鳴る。
基本休みのときには、でないようにしているらしいのだけど、部屋をでる前から鳴りはじめ、でてからヒイロと話しているときにも鳴るため、仕方なしとでてみた。
「どうした?」
「うん。うん」
「そうなのか」
「あぁ」
「はぁ。わかった」
電話を終えたあと、メディが謝る。
「ごめん。ヒイロ、仕事だよ」
「どうしたの?」
「けっこうおおきめな事故らしい」
「うん」
「天使たちが多数集まってるなか、悪魔陣営の数が少なく、指揮が不充分で、エネルギー体の回収が、うまく回らないらしい」
「えぇ、でもメディは、休みなんだから」
「現場近いから、このままいってくるよ」
「はぁ。わたしもいくわ」
ミレイもメディの契約があるため、同行するらしい。
「じゃ、みんなでいこっか」
あれっ、と想いつつ、四名で仕事の現場に羽駆けつける。
「それで、状況は」
「はい。それが」
ビルの建設作業中、一階部分でクレーン作業をしていた作業車が、風で転倒し、
足場ともに、上の機材が崩れてきた。
多数死傷者がでてしまい、天使と悪魔たちが羽駆けつける。
天使たちの回収班と悪魔回収班が、ともに区別がつかないまま、話しを拡げてしまい、その結果。
「悪魔班、少し黙っててくださらない。回収の邪魔ですわ」
「いいえ。天使たち、貴方たちが、手当たりしだいに声かけるから、負傷者と、死者の区別がつかなくて」
「いえ! 天使だけで回るところ、悪魔たちの声がかかるから、ややこしくて」
メディとネネとミレイは、現状をみて、ため息しかない。
「ひどい状況だね」
「ですね」
「だね」
報告をしてくれた後輩悪魔の肩をひとつ抑えて、声をかける。
「まかせて」
「まかせます!」
メディは、後輩悪魔の頭を抑えて、
ネネ、ミレイ、ヒイロに声をかける。
「頭下げて、それから、姿勢低く」
「うん!」
「わかった!」
サッと三名と後輩悪魔が、下がるのをみた瞬間、メディの閃光が円状に拡がり、その場で、立ってケンカ状態の悪魔や天使たちを吹き飛ばしていく。
「うわぁ」
「なにこれ」
「きゃーー」
「えっ」
二十名はいただろう悪魔天使たちは、もうすべて、地にふせている。
「ふぅ。なにやってるんだ、両方!」
悪魔の姿を見えていないはずのヒトたちまで、なにかを感じたのか、おびえているのがわかる。
「ネネ、ミレイ」
「はい!」
「まずは、負傷者と、死者の区別。端末でリストを更新して、全員共有」
「天使もですか?」
「とにかく、全員だ」
「はい!」
「それから、瓦礫と煙が多いから、風と水で、辺りをクリアに」
「はい」
「ほかに崩れてくる前に終わらせる」
「はい」
「上部に注意をすること。警戒して速やかに」
「はい」
「空いてる悪魔がいたら、負傷者の道をつくれ。出口まで案内する」
「はい」
「あの」
「なんだ。天使たち」
「わたしたちは、こちらで確認することがあって」
「いいから、速く動くんだ。また崩れてくる」
「はい」
天使たちまでも巻き込み、倒れていた悪魔天使たちは、揃って急に仕事を再開する。
ヒイロの隣にきて、ネネがこそっと話しかける。
「ね、メディかっこよき」
「だね」
「ネネも速く」
「はい!」
メディの読み通りに、ビルの一角が妙な音がしだして、パラパラと破片が落ちてくる。
メディが端末からリストを受け取ると、それをメディ班と合流した悪魔たちに共有し、天使たちにも、要求する。
「本来は、悪魔たちと共有することなんて、規約違反です」
「それなら、悪魔界のクイーンに直接いってくれ。さぁ早く」
メディの指示で、天使たちの端末にも、現況を共有していく。
死者やこれから死に至るものは、悪魔や天使たちが声をかけていき、ひとりずつエネルギー体を回収していく。
その間に、悪魔数名が瓦礫の道を風や水のスキルで道をつくり、負傷者たちが、逃げやすいように、形を整えていく。
けれど、あまり時間がないようだ。
「急ぎだ」
「はい」
「天使たちも」
「わかってます!」
回収作業を終えて、仕方なく動けない身体の者や倒れてそのままのヒトを悪魔たちは、自身の持っているスキルで、移動させていき、ビルの現場から外に送りだす。
そして、全員がでた数秒もしないうちに、さらに上部が崩壊し、すごい音とともに、また瓦礫の山ができた。
救急隊や警察は、何が起きていたか、把握できないようだ。
「ふぅ。さぁ、引き上げるよ。ヒイロもついてきて」
「うん」
「あの。待ってください」
「なにか?」
「これ」
現場にいる天使の統括管理をしているらしいその天使は、端末から連絡先を交換したいようだ。
メディは、さっと連絡先を交換すると、すぐに出発する。
ネネたちは、上空に飛んだあと、異界のドラゴンのところまで、転移していくことにする。
転移の直前に、下を観ると、
ヒトだかりのなか、まだ天使たちは、ほかの作業をしているようだ。
「あれ、そういえば、あの天使の娘、前にみた天使かも」




