ヒイロの目覚め
わたしは、身動きできずにいた。
目を覚ましたあと、動きがとれないため、
右をみる。
ミレイが腕を抑えて寝ている。
左をみる。
ネネが、もう片方の腕を抑えて寝ている。
わたしは、想った。
ここは天国ですか!?
わたしは、美悪魔とかわいい悪魔に挟まれて寝転がり、夜に寝てしまったらしい。
ていうか、動けない。
微妙にミレイとネネの胸が、わたしを圧迫しているのだけど、嬉しいのか恥ずかしいのか、よくわからない。
「はぁ。夢みてた」
そっかぁ、ルルファイスに会ってしばらくのこと、頭がぼんやりしていて、すっかりと忘れていたわ。
メディの部屋の天井を見ながら、考えていると、左のネネが胸につけているダイヤモンドが、眼に入る。
「寝るときは、はずさないのかしら」
わたしが、小さい声で話すと、ダイヤモンドの表面が、淡く光る。
「あれ、この宝石、生きてる」
たしか、図書館で精霊に関する本も少し読んだような、気がする。
「おはよ。ヒイロ」
頭の上から、声がするため頭をぐりぐりと、動かすとロフトの手すりの上から、メディが手を振っている。
「おはよ」
ヒイロは、小さく返事をする。
距離が遠いけど、コソコソっと話してみる。
「メディは、いま起きたの?」
「そう。ネネ、ミレイ、まだ起きなさそうだね」
「メディ、そのネネとミレイ近いんだけど、なんで」
「あぁ、昨日夜にヒイロが寝たあと、すぐに寝ることになったんだけど、ネネもミレイも横で一緒に寝るってなったんだよ」
ヒイロは、少し考えたあと
「なんで、メディはこっちにこないの。わたし、メディと一緒がよかったわ」
メディは、少し驚いたあと、眼をこすりながら話す。
「ありがとう。でも、女の子と一緒は、いけないかな」
「なんでぇ。わたしはいいのに」
メディは困ったあとで
「もうひと眠りしてから、朝の準備をしよう。もう一度おやすみ」
と言って、またロフトで寝転がってしまった。
「うう。ちょっと苦しいのよね」
相変わらず、左にネネの顔が近く、右にミレイの顔が近くにある。
腕を抑えられているため、手もあまり動かすことができない。
「もう。魅了使っちゃおうかな」
ヒイロは、そう想いつつ、とりあえず少しだけ体勢を変えて、もう一度眼を瞑る。
今度は、夢は見なかったらしい。
気がついて、起きようとすると、左腕は、動かせるように、なっていた。
「あれ、ネネ」
少し遠くで、ネネとメディの声が聴こえている。
「メディ、食事手伝うよ」
「うん。果実を切ってもらうくらいかな」
「じゃ、それやるよ」
どうやら、朝の支度をしているみたい。
相変わらず、右手はつかまれているため、
左腕で、少しだけ体勢を変えて、様子見をしてしまう。
「なんか、ネネとメディ、怪しいのよね」
いや、別に、わたしがメディのこと、気になってるとか、そういうじゃないんだけどね! って、わたし、誰に言い訳してるの。
「はい。メディ、一口どうぞ」
「えっ、いいよ」
「ほら、口あけて」
「うん」
「どう?」
「おいしいかな?」
「そう。なら毒入ってないね?」
「これ毒見なの!?」
「そうよ!」
「そっかぁ」
「何だと想ったの、言ってみてよ?」
「いや、別に」
「このこのぉ」
イチャイチャしてる。
ネネとメディ、イチャイチャしてる。
なんだろ。
ネネとメディが仲良しなのは、とてもいいことで、それは嬉しいんだけど、でも、こう胸にもやもやしてる気持ちがあるのも事実あるのよね。
もやもや。
ミレイの腕をゆるくして、右腕をほどいて
「ねえ」
言おうとしたら
「あ、おはよ、ヒイロ」
ミレイが、起きた。
「ミレイ、おはよ」
ヒイロがミレイの顔をみると、若干不機嫌そう。
「あの。ごめんなさい。ミレイ昨日夜に、寝ちゃってから」
「あ、いいのよ。ヒイロ柔らかいし、香り好きよ。まだ、若いところが、そそるのよね」
眼があうと、ミレイはニヤリとする。
「あの。ミレイあんまりそんなじっと見つめないで」
ぷいっと、目線を逸らすと、また腕をつかまれる。
「もう少し、ここにいてよ」
きゅん。
ミレイずるい。
「その。ネネとメディが、いま」
「あぁ、いつものことよ。ネネは、メディの前にでると、すぐにデレデレしてるの」
「そうなんだ」
あれは、デフォルトなのね。
「ヒイロ、柔らかーーい!」
ヒイロは肌をぷにぷに触られる。
さっきまで眠かったのに、いまはカーッと身体が熱い。
「ミレイ、そのあんまり触らないで」
「えっ、イヤよ。ネネは、こんなに触らせてくれないもの。以前はもっとベタベタしてたのになぁ」
ミレイが、寝転んだまま拗ねる姿は、
キュンかわいい。
ネネの"カワイイ"という容姿と、ミレイのこの甘えてくる"かわいい"は、違うのだけど、
ヒイロは、ミレイがこんなに、寝起きが悪く、甘えんぼうだと知ってしまい、ついぷにぷにを許してしまう。
「わたし、こんな弱点があったのね。気をつけないと」
メディとネネが、料理をおえて、キッチンにあるテーブルに、魅惑の果実メニューを並べてくれる。
「ヒイロ、ミレイ起きて」
「イヤ」
「ミレイ、ホントはいつもキリッと起きてるでしょ」
「わたしの寝起きみたことあるの?」
「違うけど、ミレイってきっちりしてるでしょ」
「そんなことないよ。ね、ヒイロ」
「べたぁ、ってしないで」
ネネもミレイも、意外とワガママなのね、
とヒイロは想っていた。




