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とある少女の苦悩

ここは、『アーセウス』のとある森。

私はある任務を請け負い、『アーセウス』にある例の場所へと向かっていた。


「はあ……眠い……」


いつもならぐっすりと寝ていたかったんだけど、私にとって今回の任務は何が何でも受けたかった。


「なんで……死んだの……?」


最愛の彼が死んだ。

とても強くて、いつも私のあこがれだった彼。いつも気高く、怒った時の彼は特にかっこよかった。でも、そんな彼は死んでしまった。あれほどの強さを持つ彼がなんで…


「だから私は……ここに来た……」


こうして、七天魔将の一人。私ことベルフィは、この『太古の大森林』へと降り立ったのだった。




ーーーーーーーーーー




「潜入?」


「そっ、潜入捜査だよ」


これは、私が『太古の大森林』へと降り立つより、数日前のこと。半年前からより一層眠るようになり、ただ毎日を怠惰に暮らしていた私を動かすほどのことだった。


「どこに……?」


「『アーセウス』」


「ッ!?」


半年前に、最愛の彼サタナスが死んだと知った私は、普段では考えられないほどに暴れた。破壊の限りを無駄に繰り返した私に待っていたのは無気力。いつも私は無気力な方だったけど、あの時は本当に何もする気になれなかった。


それから半年間、ただ、だらだらと過ごしていた私に、上司のリズベルは潜入捜査を進めてきた。それもあの彼が死んでしまった『アーセウス』へと。


「サタナスが死んで、もう半年もたったよ…あの時はまだゴタゴタしていて、とても動ける状態じゃなかったからね。でも、半年もたって僕たちの戦力も少しは回復した。そこで、ベルフィには潜入捜査を行ってもらいたいんだ」


「なんで私……?」


「君は七天魔将の中でもほとんど顔を知る者はいない。他の国の潜入にはもってこいだ。それに強いしね」


「それだけ……?」


「いや、今のもそうだけど、君だって知りたいだろ?サタナスが死んでしまった理由が」


「……」


「君は少なくともサタナスのことが好きだった。あいつはどうだったかはわからないけど…とにかく、君は他の誰よりも知りたいはずだ。サタナスを倒したやつのことを」


「そんなの……当たり前……」


「僕もサタナスの死についてはとても知りたい、君にも負けないほどにね。でも僕は動けない。この国の長である以上、むやみやたらと動くわけにはいかないんだ」


「だから…私…?」


「そういうこと」


姿を知られていず、サタナスを愛していた私だからこそできる潜入任務。確かに、このままだらだらと過ごすより、サタナスを倒したやつを見つけるべき。なんで気づかなかったんだろ?


「うん。じゃあ…行く…」


「良かった~。この半年間、元気がなくて心配してたんだよ?まあ元気っていうより復讐心に燃えてる感じだけどね」


「フフッ……絶対に見つけ出して……殺す」


「…さすがにちょっと怖いかな?」


「早速…行く…」


「わあ!ちょっと待った待った!その前にこれを付けてって」


「何…これ…?」


「『魔封じの腕輪』。ベルフィは半年間何もしなかったからって、強さは変わってないんだ。例え顔が知られてなくても力を知られるのはまずい。というわけでこれを付けてもらう」


「なんの意味が……?」


「これを身に着けていれば、力を隠すことが出来る。ただ、少しだけ力が抑制されちゃうけど。でも、力を感知しそうな人たちがいても気づかれないはずだから、よほどのことがない限りは外さないでね」


「わかった…じゃあ…」


「あっ、あと、出来るだけ『アーセウス』の情報もちゃんと得てきてね。いずれ攻め込む予定なんだから」


「わかってる…」


「よし!この任務は長期間でいいから、出来るだけの情報を集めるんだよ。それじゃあ、行ってらっしゃい!」


「うん―――――」




ーーーーーーーーーー




「ふう…」


そんなわけでこの『太古の大森林』まで来たわけだけど、私がこの地でやることはまず、この『太古の大森林』で何があったのかを調べて、サタナスを倒した人の捜索。捜索をしながら『アーセウス』についても情報を集める…かな?王都にも行ってみるものいいかも…


「絶対に見つけるからね……どこかの誰かさん…?」



サタナスのためにも、絶対に見つけて殺してやると私は誓うのだった。


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