敵役は主人公を輝かせるスパイスである
「なんだって…それはどういう意味?」
「ですから!サタナス様が撃破されたと…」
「そんな…ありえないよ…」
帝国『アベルクス』の王城内、いつものようにどうやって『ボルク』を落とすかその場にいたレヴィアとルシフで話し合いつつも、サタナスの帰りを今か今かと待っていた僕に来たのは、サタナスの部下アメクによるサタナスが撃破されたという知らせだった。
「いったい、誰にやられたというの~?」
茫然自失となった僕の代わりに、レヴィアが答えてくれた。サタナス、君に何が起きたんだい?
「はっ!私とセメトとブロンズ。そして、サタナス様の四人は予定通りにスピリチュアルドラゴンがいるとされる、『太古の大森林』へとたどり着けました。しかしそこに、謎のフードの…男だと思います。その男が突然現れたのです」
「フードの男?」
「はい、その男はまだ背が低く、声も発達しているようにも感じなかったので子供だとは思いました。ですが、『太古の大森林』に子供がいるのは異常だと思います。サタナス様もどこか違和感を感じていたようですが、その場を私達に任せ、一人スピリチュアルドラゴンの元へ行きました」
「子供だと…それはありえんな。今の勇者達でもあの森は危険なはずだ」
「さすが、勇者に負けた男ねぇ」
「俺様は負けておらん」
「お二方!今はそのフードの男が子供かはおいておきましょう。それよりもそのフードの男の強さです」
「強さ?まさか貴様らそのフードの男にやられたというのか?」
「はい…しかし、あの男の強さは異常でした。私、セメト、ブロンズの三人がかりでも敵わず、みすみす逃してしまいました。セメトとブロンズはやられ、私も重症を負い、なんとか動けるようになりサタナス様の元へ向かったときはもう…」
「そんなことが…サタナスが負けるなんてぇ、あり得ることなのぉ~?」
「私も信じられませんでした。ですが、はっきりとサタナス様がやられるところを私は見ました」
「わかったよ。ありがとう、アメク」
「リズベル様…」
「サタナスがやられた…それは予想外の出来事だよ。いったいどこの誰がやったのかはわからないけど…よくもやってくれたねって感じだ」
サタナスは、帝国でも大きな戦力だった。いや、それ以外にも大切な部下だった。
「今すぐにでもそいつを殺しに行きたいけど、今はやめておこう」
「なぜですか!サタナス様を失って悲しいのはあなた様も同じはず!まだあいつはあの森にいるはずです!だから今すぐにでも隊を編成して―――――」
「それがまずいとリズベル様は言っているのだ!」
「ッ!」
「まあまあ、ルシフ。そんな大声で言わなくてもいいよ。でもアメク、ルシフが言ってることは本当だよ。今帝国は戦力が必要なのに、サタナスがやられてさらに戦力が低下してしまったんだ。今動いてこれ以上戦力を減らすわけにはいかない」
「そんな…」
「まあ、大丈夫。そいつは必ず見つけ出して殺すから。それよりも今は、失った戦力を増やすべきだ。レヴィア!他のみんなは?」
「は~い!ベルフィとデウスは、戦力強化に努めてるわ~。ベルゼとマモーは新しい戦力になるモンスター集めねぇ」
「ありがとう。一度集めてサタナスのことは言うけど、今の体制は変えないから。しばらくは大きな動きはしないで、ひたすらに戦力を増強させよう。サタナスの分も考えると結構な時間がかかるけど絶対に世界は僕の物にするよ」
「「「はっ!!!」」」
確か、フードの男だったかな?とりあえず今はフード君としよう。フード君、よくもサタナスやってくれたね。君のことは絶対に見つけ出して殺してあげよう。そして、『ボルク』の侵攻を止めた勇者君たちも覚悟しててね。しばらくの間は静かにしているけど、いずれ後悔させるからさ。
「さあ、やることがいっぱいできたね。、まずは、戦力の増強よろしくね」
少なくとも二年はかかっちゃうかな?とにかく、その時の勇者君たちの顔が楽しみだ。




