決着
「まさか、ヘルヘイムを倒すようなモンスターまでいるとはな」
「当たり前だ」
ヘルヘイムを倒し、トールの背に乗って、スピリチュアルドラゴンとサタナスの間に俺は降り立った。
「大丈夫か?」
『ぬう…貴様…』
「大丈夫だ。俺はお前の味方だ。もともと俺はお前を見に来ただけだし、目の前のこいつにも因縁がある」
スピリチュアルドラゴンは俺の言葉に安心したのか、それともただ体力が尽きたのか、気絶してしまった。
「おい、因縁も何も、俺はおめえを知らねえぞ」
「そりゃあそうだろ。俺がお前に因縁があるのは、お前が七天魔将だからだ」
「七天魔将がなんなんだよ」
「俺はある理由で、七天魔将と帝国の支配者リズベルを倒さなきゃいけなくなってな」
「ふざけんな!リズベルはやらせねえ!」
「ならかかってこい」
俺の方が、悪人みたいだな…だけど、あいつの気持ちとか関係ない。俺だって家に帰りたいし、
このイベントをクリアしたいというモンサモプレイヤーの意地もある。
……なんか、理由もあまり大したことない気がするような?なんにせよ、俺は勝つ。
「いけ!ヨルムンガンド!」
「トール!」
あの構えは、ブレス。トールは俺を乗せ、素早くその場を離脱。直後に紫色の炎が俺たちのいた場所を燃やし尽くす。
「ちっ!あのモンスター、俺のヨルムンガンドと同等の力があるな。だが、次は外さねえ!ヨルムンガンド!」
「グ、ガアアアアァァ!!」
「うお!これは…」
「このままブレスだぁ!」
これは、ただの咆哮じゃない。ヨルムンガンドのスキルの内のひとつ、『覇王の威嚇』。このスキルは、モンサモでは相手の行動を制限させるものだった。このままでは、動きが…
「トール!『戦神の加護』を使え!」
「―――――!」
トールは、槌を持つ手を高く上げる。槌が光、そのまま拡散。俺とトール、そしてスピリチュアルドラゴンに光が入っていく。
「よし!防御だ!」
「―――――!!」
『戦神の加護』はステータスの大幅上昇と状態異常の回復。これにより動けるようになったトールが俺の前に立ち、ブレスを防ぐ。
「これほどとは…まだだぁ!ヨルムンガンド、『神邪王の毒風』だぁ!」
「埒があかない。トール決めるぞ!」
「―――――!!」
『神邪王の毒風』は確かに強力でくらうのは危険だ。だが、ここはあえて受ける!
『―――――ッ!』
「馬鹿かぁ!?くらいやがっただと!」
「こんなのあとで回復すればいい。今だ!『神の裁き』!」
「―――――!!!」
「なっ!?」
トールは毒風を受けながらも、呪文のようなものを唱える。すると、ヨルムンガンドの上に魔法陣が現れ、そこから雷が落ちる。
「グオオオォォォーー!!」
「な、なんだこれは!ヨルムンガンド!」
「それは、指定した相手の力を大幅に落とすスキルだ。やれ!トール!」
「クックソオオオオオォォォーーーーーー!!!」
飛び上がったトールは、雷をまとった槌をヨルムンガンドへと振り下ろした。その瞬間、世界が震えるほどの振動を感じた。
「ぐ、ぐぞぉ……リズべ…ル…すま…ねぇ…」
ヨルムンガンドの下にいたサタナスも無事ではすまない。最後に何かつぶやいているような気がした。
「安心しな。他の奴らもそっちに送ってやるよ」
完全に悪役だな俺…
とにかくこれで一人目撃破だ。
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「そんな…」
先ほど、フードの男に撃ち落とされるもなんとか生きながらえた私は、受けたダメージによって動けないでいた。回復薬などいろいろ治療をして動けるようになった私は急いで、サタナス様の元へ向かった。しかしその時はもう遅く、たった今フードの男によってやられてしまっていた。
「リズベル様へ報告せねば…」
このままでは、リズベル様までも危ない。早急に、サタナス様のことを伝えて対策を練らねば…!
「サタナス様の無念。必ずはらします!」
モンスターを召喚した私は、フードの男に気付かれないように帝国を目指して飛び立つのだった。




