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弱者を演じる魔物使い~それでも俺は弱者です~(仮)  作者: アルマ次郎
第一章 アーセウス コロモ村編
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主人公はモブを陰らせる光である

2人の英雄によりドラゴンが倒され、一日がたとうとしていた。

現在村では、ドラゴンを倒した2人の英雄達のために宴を開催していた。


「いやー、あの時のことは一生忘れねぇ!まさに一撃必殺!炎龍がひるんだ隙に英雄様の龍が―――――」


「あれは、戦場に現れた『戦女神』のようだった!戦場にいる絶望した兵士たちに、差し伸べる希望の光そのもの!それで―――――」


どこもかしこも、『英雄様』の話でもちきりだった。そしてとうの『英雄様』達は宴の中心で、村人達に囲まれていた。


「キャー!かわいい!こんな子供が英雄様なんてすごい!」


「どうやって倒したんですか?英雄様のモンスター見てみたいです!」


「俺は情けねぇ…こんな子供に守られてしまうなんて…いちから修行だあー!!」


「おいおい、村一番の衛兵カジルが出て行ったぜぇー」


「あっはっは!ほっときな!どうせすぐ戻ってくるさ!」


「英雄様!僕にドラゴン退治の話聞かせてー!」


「これこれ、英雄様が困っているぞ」


「あはは…」


「大丈夫ですよ。私達の旅、ドラゴン退治、なんでも話しますよ。主にこのサトルが」


「えー!!それはあんまりだぁーーー!!」


やっぱり大変そうだな、あの2人…

俺は宴の中心にいる2人の『英雄様』を隅の方で見守っていた。俺もまざるべきかと思ったが、さすがに、宴の中心にいくのはためらわれてしまう。

しかし、よくあの中に居られるもんだと感心してしまう。俺だったら1分も持たずに発狂してしまうぞ…


「それにしても、やっぱり主人公がいると違うな…」


主人公がいるといないとでは大きく違ってくる。あの『英雄様』達が現れただけで、俺は背景に溶け込みやすくなった。あの2人が現れる前は、どうしても成り上がりの主人公みたいに見られて、困っていたのだ。宿屋のおばちゃんなんて出会ったときに『じゃあ坊やは小さな英雄だね』なんて言ってたんだぞ。それを聞いていたザルテがふざけて村中に言いふらそうとするし、あげくのはてには、その一部始終を見ていた村人に『よっ!小さな英雄!』何て言われて…ほんとあの時は焦ったよ。つい、『俺は英雄じゃない!』なんて、らしくない言動をしてしまったんだから。とにかくそんな風に地味ながらも目立ちそうになっていた俺に救いの光を当てたのがあの2人だったんだ。あの2人が来たことで、俺が村に来た時の『小さな英雄』というイメージが跡形もなく消えた。あの2人には感謝だ。


「後は、隅で勇者の話でも聞いているか。ん?まてよ…しまった!このままじゃ…ッ!!」


「あれ?そういえばこの村にも『小さな英雄』がいたなあ」


「そうそう、英雄様たちと同年代で同じモンスター使いのやつ」


「へえ、珍しいですね。この辺でその歳からモンスターを召喚できる子がいるなんて」


「俺も見てみたいな。もしかしたら…」


「おい!アキトはどこにいるー?返事しろー!」


「あれ?さっきまでそこにいたんだが…どこいった?」


「まあ、いいだろ!宴の続きだー!!」


「「「オオオォォォーーーー!!」」」


「アキト…か」



ーーーーーーーーーー



「はあ、はあ…あ、危なかった…」


懸念していた。俺ぐらいの歳の子がモンスターを召喚するのは珍しいのは気づいていた。村の様子を見ると大人の何人かは、モンスターを使役していたが、俺ぐらいの歳の子は誰一人モンスターを召喚していなかった。そんな村に現れたモンスターを操る子供…嫌でも目立つのは当たり前だ。さらに、そこに現れた子供の英雄2人。俺の話をする村人が出てきてもおかしくないとなんで気づかなかったんだろうか。

もう少しであの2人に認識されてしまうところだった。あんな主人公のような2人に目を付けられたら、目立ってしまう。これだと、この村にいるのはまずいかもしれない。村人達が俺を探すなんてこともあるかもしれないし。


「もう少し滞在しておきたかったけど、背に腹は代えられないか」


あの2人がいることで目立たないようになると思っていたが、ここでは逆効果になる。俺は2人に境遇が似ている。近いか同じくらいの歳で同じモンスター使い。それだけで俺は村人達にネタとして2人の前に連れてこられる。そして2人に認識され、なんやかんやと面倒ごとに巻き込まれ……考えただけで寒気がする。


「とにかくもうここは出よう。宿屋のおばちゃんとかに挨拶していかないのは悪いけど、あの2人の前に晒されるよりましだ!」


こうして俺は1人、月明りの中森の方へと消えていったのである。



ーーーーーーーーーー



「そういえば炎龍が出る前に、ゴブリンキングが出たとか言っていたけど、嘘だったのか?」


「雄たけびが聞こえたらしいが、炎龍の雄たけびと勘違いしたんじゃねぇか?」


「でも、ゴブリンの集落にはいなかったんだよな。それって先に逃げたってことじゃあ…」


「それならとっくにここに現れてるはずだぜ。やっぱり炎龍に倒されちまってたんだよ」


「そういうことか。まあ、今更ゴブリンキングが出てこようとここには英雄様がいるからどうってことはないんだがな!」


「そりゃあ違いねえ!」


「そうときまりゃあ飲むぞー!!」


「おうよ!今夜は寝かせねぇ!!」





こうして、密かに村を救った『小さな英雄』の話は語られず宴は終わっていくのだった。



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