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58、絵ハガキ




「ん~、お~~、ほぉぉ~~!」



 自室に響く変な声。


 それは私の声だ。


 これは場所が場所だったら牛が寄って来ちゃうかもしれない。


 でも、安心して。その声を聞くのは私一人だけだから。



「おぉ~~。これいい! これ可愛い!」



 いやいや、私は失念していたよ。


 普通こんなのは、まず最初にチェックする事だよね。


 何で今の今までこんな事を失念してたんだって話よ。


 ほんと、私のおバカちゃん。



 え、何の話かって?



「ひゃ~~何これ~~!! ショタ千聖君さいこ~~!!」



 そう、アルバムですよ、アルバム!


 私の、いやさ私と千聖君の子供の頃のメモリアルフォトアルバム!!



 この間、怜史君が子供の頃の話をしだしたもんだから、色々と気になって探してたら出てきたんだよね。


 いやもう、そこから夢中になって見てるんだけど…。


 これ、鼻血が止まりません!



 何だこれ! 天使じゃん! 


 千聖君も祥子ちゃんも、ものすっごい可愛いんだけど!?


 やばっ、こんなのが町中を歩いてたらお持ち帰りされちゃうよ!



 いやあ、よく今まで無事に生きてこられたもんだね。


 何故か感謝したい気持ちが溢れてきそうになっちゃうよ。うん。




 ……それにしても。


 祥子ちゃんも千聖君も、あまり笑ってる写真が無いなぁ。


 無表情でも可愛いんだけど、笑ってる所も見たい…。



 そんな事を考えながらパラパラとアルバムを捲っていく。



 すると、そこに出てきたのは千聖君と怜史君で祥子ちゃんを間に挟んだ写真。


 相変わらず無表情な祥子ちゃんと千聖君に対して、今と変わらない爽やかな笑顔の怜史君。


 そこに写る三人は三者三様で、当時の三人の関係を何となく窺わせる一枚だ。



 おお、怜史君だ。怜史君も可愛いねぇ。


 確か初等部に入った頃から女の子に囲まれてたんだよね。


 まあ、こんな顔立ちで生まれちゃったら女の子たちも放って置かないか。



 それからまたパラパラと捲っていく。



 そこには、薫子さんや晴香さんの子供の頃の写真もあったり、色んなイベントの写真があったり。


 色んな祥子ちゃんの思い出が数冊に亘って散りばめられていた。



「みんな、可愛いなぁ…」



 アルバムに夢中になる私の口から、そんな言葉がこぼれた。


 と、そこへ――



「何やってんだお前?」


「きゃああああああ!!」



 誰もいるはずの無い部屋で、私の耳元から声がしたのだ。



「お、おい! 急に叫ぶなよ」


「おお、お兄様!? な、何で勝手に入ってきてるんですか!?」


「何度もノックしたろ。聞こえなかったのか?」



 お兄様は指で耳を塞ぎながらそう答えた。



「へ、えっ!? そ、そうだったんですか? それは、ご、ごめんなさい、聴こえませんでしたわ」



 び、びっくりした~~~!


 急に後ろから忍び寄らないでよね!


 何か如何わしい事してたらどうするの、まったくもう!



「ったく、何をそんなに夢中になってるのかと思ったら…、何だアルバムを見てたのか」



 お兄様は私が見ていたアルバムを手に取ると、溜息混じりにそう言った。



「ちょ、ちょっと、勝手に見ないでさい!」


「何だよ、ちょっとくらい良いだろ?」


「ダメですぅ! そんな事より、私に何か用事があったんじゃないんですか? それを済ませてさっさと出ていってください!」



 まったく、さっさとそのアルバムを私に返しなさい!


 

「ああ、用事っていうか。いま家中で噂になっててな」


「噂…?」


「ついに祥子が部屋の中で牛を飼い始めたって」


「ちょっ!?」



 おい、誰だ!


 誰がそれを言い出した!



「ここまで来てみて吃驚だよ。部屋の中から闘牛のような唸り声が――」


「してませんっ!! そんな声してません!! 変な事言わないでください、私の声はもっと可愛い…、こ、小鳥みたいなやつなんですぅ!」



 まったく、失礼な男だねこのバカお兄は。


 どうせ牛の件もバカお兄が言い始めたに決まってるよ。


 このバカお兄め!



「やれやれ…。お前、勉強もせずにアルバムなんか見てていいのか?」


「ふぇっ!? えっ…?」



 お、おい、私の小鳥の件をスルーするな。


 ちょっと恥ずかしいでしょ。



「期末も迫って来てるっていうのに、やれやれお前ときたら…」


「ちょ、ちょっと休憩してただけですっ! たまに息抜きしないと効率が悪いんですから」


「そんな事言いながら、息抜きの方が長いんじゃないか?」



 お兄様は溜息を洩らしながら、私が座るソファーにどかりと腰を下ろしてきた。



 え、何で?


 何で私の隣に座ってくるの?


 もう用は済んだんでしょ?


 だったら早くこの部屋からゲラウェイしなさいよ。そして永遠にファラウェイしなさいよ。



 しかし――



「もう休憩は終わりにする所なので、お兄様は早く――」


「何だよこれ。千聖ばっかりじゃねぇか」



 お兄様は私の言葉も聞かず、アルバムのページをパラパラと捲り始めたのだ。



 ちょっと、何でまた勝手に見るの?


 ダメだってさっき言ったよね?


 え、バカお兄ちゃんには理解できなかった?



「ば、ばっかりじゃありません。それより勝手に見ないでくださいっ」



 奪い返そうと手を伸ばすのだけど、それはお兄様に遮られてしまった。


 ぬぅぅ……。



「…んだよ、俺の写真は無いのか?」



 おい、何で私のアルバムの中に自分の写真を探してんの!


 自分のアルバムを見ればいいでしょ! 自分のを!



「ありません。だから早くアルバムを――」


「あ、これ。確か、何年か前の家族旅行のときのだな」



 ぐぬぅ、このマイペースめ!



「……ど、どれですか?」


「これ、祥子がまだ初等部の頃だな」



 お兄様が見ているその写真は、家族で海外に旅行をしたときの写真だ。


 家族でといっても、うちの場合は使用人家族も一緒だったりするので水入らずという訳ではないんだけど。



 そのお兄様が見ている写真というのは、私とお兄様が二人並んで写ってる写真…。



 二人並んでというか……。



 私の横でピースサインをするお兄様の指が…。



 どう見ても、私の鼻の穴に入ってんだけど!?



 え、え、え? ちょっと、待って。


 可愛い妹だよ? 普通、可愛い妹にこんな事しないよね?


 するはずが無いよ。


 だって妹は無条件に可愛いんだもん。



 だったら何だこの写真は!?



 どういう事だってばよ!!



 しかもこの写真のバカお兄のドヤ顔!!


 何てムカつく顔してんのこれ!!



「お、お兄様、こ、この写真は…?」



 さあ、どういう事なのかお聞かせなさい!


 事と次第によっては、お兄様のお鼻がおもげになるかもしれませんわよ!


 

「傑作だろ? この構図はそうは思いつかないぞ」



 傑作……だと!?



 むきぃぃ!! 腹立つぅぅぅ!!


 その思い出に浸るような顔が余計に腹立つ!!


 何なのその顔!


 妹の鼻に指をぶっ刺しておいて、何でそんな顔が出来るんだ!?




「お、お兄様! そうじゃなくて、これは何をしてるのかって訊いてるんです!」


「そういや憶えてるか祥子、この時の事」


「何がですかっ!」



 まだ何かあるのか!


 これ以上は鼻がもげるくらいじゃ済まないよ!



「旅行って事で浮かれてたよな。現地のサーカス団に興奮したり」


「それは……」



 その時の光景が蘇ってくる。


 確かにこの日は、いつもより浮かれていた。


 お兄様も燥いでいたし、それに中てられてるようにして私も気分が浮かれていたのだ。


 こんな写真も笑い飛ばせるくらいに。



 でもその後に――



「でも調子に乗って食べ過ぎて、それでその夜に寝込んだんだったな」



 そうだ。


 調子に乗って食べ過ぎて、その夜に寝込んで…。


 ホテルのベッドで一晩苦しんで…。



 それでその私に一晩中付き添っていたのがお兄様だった。



「そうですね…。あの時は、お兄様に随分と心配をかけてしまいました」



 一夜明けると。


 目を覚ました私の側で、お兄様はほっとしたように笑みを溢していた。



「何だよ、兄妹だろ。水臭い事言うなって」



 丁度、目の前のお兄様のような。



「お兄様……」




 …………。



 …………。




 いや違う。



 違う違う違う!!



 私の知ってる記憶と何か違う!!




「祥子はすぐ調子に乗る所があるからな。まったく目が――」


「違います!」



 いや確かに全体を通すとそんな感じだった。


 でもそうじゃない!



「――ん? 何だよ、急に大きい声出して」


「お兄様の話が、何だか私の記憶と少し違う気がするんですけど!」


「そうか? まあ、記憶って人によって差異があるからな。見る角度によって違う景色が見えるってやつだ」


「そうではなくて!」


「なんだよ、概ねこんな感じだったろ?」



 いや肝心な所が全然違うよ!!



「違います! 私が調子に乗って食べ過ぎたんじゃなくて、お兄様が調子に乗って私に食べさせたんです!!」


「……そうだったっけ?」


「そうです! お兄様『が!』食べさせたんですぅ!!」


「大した違いじゃないだろ。お前細かい事気にしすぎだぞ。そんな事気にしてたら…、あ、おい、こら、首を絞めるな!」


「一晩苦しんだ私の苦しみを少しは味わうといいんです!」



 あと、日頃の恨みも上乗せして差し上げますわ!



「バカお前、息が出来ないだろ!」


「お兄様は息なんてしなくてもひぃんふぇふ!」


 

 ぬぁっ!?



 ちょ、ちょっと!


 何で私の頬っぺたを抓り上げてくるの!?


 今はお兄様が一方的にやられる場面でしょ!



「ほれ、早く手を離さないと頬っぺたが伸びるぞ」



 ぬぅ、バカお兄め!


 私のラブリーなほっぺに何て事を!



「お兄はまほほ、さっさほてほ……いはいいはい!」


「ははは、何言ってるか分からないぞ」



 くっそーー!!



 何か分かんないけど、私の方が不利な気がする!


 私のほっぺの痛みとバカお兄の苦しみ方が釣り合ってないっていうか…。


 バカお兄が全然苦しんでるように見えないんだけど!



 ぬぅぅ、何故だ!



「ほれほれ、上上下下左右左右…」


「やめひょ~~!!」



 私は思わずバカお兄ちゃんの手をほっぺから振りほどいた。


 その為、バカお兄ちゃんの首から手を離してしまったのだ…。



 くそう、負けた気分だわ……。


 でも、ほっぺは死守したよ。


 そこは偉いよ私。



「はっはっはっ。俺に挑むなんて十年早いぞ」



 いつか息の根を止めてやる!



「ふん! もうお兄様とは口を利きません」



 バカお兄め! バカお兄め! バカお兄め!


 ああバカお兄め! バカお兄め!



 よし、これだけバカお兄を連呼したら少し気が晴れた気がする。


 でも口は利かないけどね!



 さ、お兄様は無視してアルバムの続きでも見るとしますかね。



「あ、祥子。こっちにも旅行の写真があるぞ」



 口利かないって言ってんでしょ!


 あと、私のアルバムを勝手に見るのもやめなさいっての。



「ふんっ」



 そんな簡単に許されると思ったら大間違いですわよ、お兄様。


 いつものように私が泣かされてばっかりじゃ無いんですからね。


 その辺の所を今日という今日は思い知らせてあげますわ、お兄様。いえ、バカお兄様。



「……。お、これ千聖の家と旅行したやつだな」



 ――!?



「ど、どこに…あっ……、ふんっ!」



 おっと、危ない危ない。


 危うく奴の奸計に嵌まるところだった。


 千聖君の名前を出せば私の機嫌が直ると思ったら大間違いだっつうの。


 まったく、考えが甘いんだよねこのバカお兄は。


 私がそんな事で乗せられるわけないって話よ。


 ほんと笑っちゃうくらい甘い甘い――



「あ、千聖の入浴シーンの写真が――」


「――なぬっ!?」



 ちょぉぉっ!


 何それ何それ何それっ!!


 にゅ、にゅ、入浴シーンとか! 入浴シーンとか!!


 ぬぁぁぁ!! 見たいぃぃ!!


 ど、どこまで、どこまで写ってるの!?


 モザイクは!? モザイクは無しで見られるの!?


 どうなのよ、その辺のとこ!!



「ちょ、そ、そそそれ、どこにそんな写真が…?」


「嘘に決まってんだろ」


「――なっ!?」



 う、う、う、…嘘……だと?



「そんな写真あるわけないだろ。ったく、しょうがない奴だなぁ」


「…………」



 ん? て事は何…?


 え、お宝写真は?



「やれやれ、ちょっと考えば分かるだろうに。ほんとしょうがない奴だな、祥子は」



 ちょっと、え? 


 何? どういう事?


 何でそんな嘘つくの?



「祥子がとんだエロい妹になってしまって、お兄様は悲しいぞ」



 ああそうか、バカだからそんな嘘ついちゃうのね。


 そうかそうか、バカだからね。


 そりゃしょうがないね、うん。


 バカだからね。



「もうあれだな。祥子じゃなくエロ子だな」



 よしコロす!



「……お兄様」


「まったく祥子は…ん? 何だ祥子、どうした? ちょっ、お、おい、やめろ! 痛たた、爪をたてるな!」



 もう絶対コロす!


 確実にコロす!


 完膚なきまでに百回くらいたたっコロす!!



 どうです、バカお兄様!


 この時の為に研ぎ澄まされてきた私の爪、令嬢クローの味は!!




「お兄様、今日という今日は許しませんわ!! 日頃の恨みも込みで刻み込んで差し上げます!!」


「おい待て! ちょっと一旦落ち着けって!」


「いいえ待ちません!! お兄様が日頃の私への行いを悔い改めるまでこの手が止まる事はありませんわ!!」


「おいおい、何をそんなに怒って…ああそうか、あれだな。この間、祥子が作ったハンバーグをゴリラが投げてくるやつじゃねぇかって小声で言ったのが聞こえて――」


「なぁぁっ!! 何ですかそれ!!」



 最近の私の趣味であるお料理の味見役をさせてあげてるのに、何て事を言ってくれてんだこの男は!!


 もうね、とにかくほんと、このバカお兄だけは許さない!


 超許さない!!



「あれ、違ったのか? じゃあもう別に思い当たる事は無いな…」


「むきぃぃぃーー!!!」


「うわっ、待てって! 痛たた、分かった、分かったから待てって!!」


「問答無用です!!」



 こうして、私と愚かな兄との死闘が繰り広げられた。



 それはそれは壮絶を極め、三日三晩に渡っての大乱闘になる――。



 ――かに思われたそのとき。



 私がお兄様に襲い掛かったその拍子に、一冊のアルバムがどさりとソファから滑り落ちたのだ。



 思いの外に大きな音を出したその音に、私とお兄様は思わずその動きを止めてそちらへと視線が移った。



「……何だ? 何か挟まってるみたいだぞ」



 アルバムに挟みこんでいたそれ。



 落ちた弾みではみ出していた。


 一見しただけでは何であるかは判別が難しいそれ。



 他の誰が見ても分からないだろう。



 でも。



 それが何であるか、私にはすぐに分かった。



「これは……」



 私はゆっくりとそのアルバムに手を伸ばす。



 そしてパラパラとページをめくり、そこにあった物に私の胸は締め付けられた。



「……何だそれ?」



 それは、可愛らしい花柄のジッパーバッグ。


 祥子ちゃんがアルバムを見る時に常に傍らに置いていたものだ。



「何でもいいでしょ。お兄様には関係の無いものですぅ!」


「何だよ教えてくれてもいいだろ」


「ちょっ、大事な物なんですから気安く触らないでください!」



 そうこれは大事なもの。



「大事な物って、そんな物がか?」



 大事な大事な宝物だ。



 私はその中身をゆっくりと取り出すと、その大事な宝物を目に映す。



 それは一枚の絵ハガキ。


 異国情緒のあふれる風景写真が一面に飾られた、何の変哲もないハガキ。


 こんな何の変哲もないハガキが、私にとっては代え難い宝物なのだ。



「何だ、絵ハガキか…」


「何だとは何ですか。まったくもう、失礼なお兄様ですわね!」


「んで、誰からのなんだ?」


「ふんっ、お兄様には教えませんよ~だ」



 誰からって、そんなの決まってるじゃない。



 それは当然、千聖君からだ。



 初等部の頃に、一度だけ千聖君から送られてきた一通の絵ハガキ。


 ハガキを裏返せば、そこには千聖君の字で書かれた文面がある。


 内容はいたって普通で、まるで定型文の様な暑中見舞いの挨拶が書かれているだけ。



 たったそれだけの絵ハガキ。



 たぶん海外に旅行に行ったときのだろう。


 それで気まぐれか何かで送ってきたんだと思う。



 そんな、千聖君にとっては気まぐれのようなハガキだったのかもしれない。



 それでも。



 祥子ちゃんはこのハガキを何度も何度も読み返していた。



 彼が自分の為に書いてくれたこの文章を、飽きることなく何度も…。



 それは、この絵ハガキに幾つかの皺を作るくらいに。



 

「ハガキか…。俺も貰う事あるけど、手書きのものは書いた人の体温を感じる気がするんだよな」



 感傷に浸る私にお兄様はそう声を掛けた。



「お兄様にもそう思う時がありますか?」



「ああ、時々な…」



 珍しくまともな事を言うお兄様。


 その表情はどこか物憂げに見える。



「そうでしたか……」



 きっと、お兄様にもそう想える相手がいたのだ。


 お兄様をこんな表情にさせる相手が。



「だからお前の気持ちはよく分かるよ」


「お兄様……」



 いつもの憎まれ口はどこかに消えたように。



 お兄様からは私の気持ちを汲むような言葉が洩れる。



「最近は少なくなったけど、昔はよく貰ったよ」


「そうなんですか」


「色んな女子生徒から」



 ………。



 ……ん?



「……色んな、女子生徒から?」



「ああ、それこそ毎日のように貰っていたな」



 ……。



 なるほど。



 それは、恋する気持ちを綴った情熱的な手紙。


 きっとその中にお兄様の心を強く動かしたものがあったのだろう。



「そうですか。それはさぞ想いのこもった手紙だったのでしょうね」



 だけど、その相手とはもう…。



「ああ、それはもう迫力のある文面だよ。気迫が込められてるっていうのかな、まさに鬼気迫る文面ってやつだ」



 ……。



「ひょ、表現方法は人それぞれですから…」


「もしかしたら呪いをかけられてるのかと思うようなのもあったな」



 このおバカちゃんは何を言っているの?



 さっきから何なの、その話は?


 もっと心温まる話だったはずでしょ?



「あ、あの、話が少しずれているような気がするんですが…?」


「お札みたいなのが入っててそこに妙な文字が――」


「そ、そういう話ではなくて、大事な人からの手紙とかです! さっき体温を感じるとか言ってたでしょ!」



 まったくこのバカお兄は。

 

 呪われろ。そのまま呪われろ。呪われてしまえ。



「体温感じるだろ。背筋の凍るようなやつを」


「心が温まるやつです! なんで私のハガキからそんな話になるの!」


「ん? そんな内容じゃなかったのか? なんだよてっきり不幸の手紙か何かかと」



 お兄様はそう言って、やれやれと溜息を洩らす。


 そして――



「なっ!? 私に不幸の手紙なんかが来るわけないでしょ!」



 私の反応に鳩が豆鉄砲を食ったような顔になり。



「………お、おう。そうだな」



 目を逸らしてそう言った。




 ……。



 ……。




 よしコロす!



いつもお読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


久しぶりの更新でございます。

忘れ去られてませんか?('ω') 心配です(;'ω')

ゆっくりにはなりますが今後も続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


ではまた次回にお会いしましょう

ブクマ、評価等、よろしくお願いいたします

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